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【ap job更新】 竹内巌 / ハル・アーキテクツが、新たなスタッフ(経験者・既卒)を募集中
【ap job更新】 竹内巌 / ハル・アーキテクツが、新たなスタッフ(経験者・既卒)を募集中
【ap job更新】 竹内巌 / ハル・アーキテクツが、新たなスタッフ(経験者・既卒)を募集中

竹内巌 / ハル・アーキテクツの、新たなスタッフ(経験者・既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

私達のアトリエでは各計画を丁寧に検討し、各々の建築に独自の空間、時間軸を生み出す事を目指しています。

その為、形態に加えて内面的で目に見えない感覚も大切にしており、コンセプトに応じた形態や空間など、デザインをする範囲は多様です。

現在、住宅から集合住宅、商業建築、オフィス、インテリア、リノベーション等の計画に携わっており、スタッフにはそれらの計画を最初から最後迄担当する事で、建築を部分的な理解に止めず総合的に把握し活躍してもらう事としています。

設計監理の経験者に加え新卒及び若手建築士を募集します。建築計画のスタートからゴールまで、すべてを経験することができます。設計以外にも、プロジェクトのマネジメントや、さまざまな企業との仕事を通して、コミュニケーションマナーも学べます。

スタッフは自分の担当プロジェクトを持ち、設計・監理・デザインを行う中で、各個人の個性を発揮するチャンスを与えられます。

オフィス環境は大きな森を望む景観の中で、とてもアットホームで、自分の仕事に責任を持つ限り、自由に仕事をするチャンスを与えられます。世界中の建築家の本がたくさんあり、知識を増やすために自由に使うこともできますので、前向きな姿勢と元気のあるチームを作りたいと考えています。
(スタッフ:アンタラ・バス・パンデー記)

代表:竹内 巌
一級建築士。1960年・東京都生まれ。’83年・法政大学工学部建築学科卒業。’90年・リチャード・ロジャース・パートナーシップジャパン入所。’91年・アーキテクト・ファイブ入所。2000年・城戸崎建築研究室勤務を経て、ハル・アーキテクツ設立。

OMA / クリス・ヴァン・ドゥインによる、中国の「JOMOO本社」。高層ビル群と森林に覆われた丘陵に挟まれた敷地。“二重性”のある環境の受容を意図し、基壇とタワーを融合させた“連続的で彫刻的な形態”の建築を考案。国の都市拡張を担ってきたタワーの類型の再解釈も意図
OMA / クリス・ヴァン・ドゥインによる、中国の「JOMOO本社」。高層ビル群と森林に覆われた丘陵に挟まれた敷地。“二重性”のある環境の受容を意図し、基壇とタワーを融合させた“連続的で彫刻的な形態”の建築を考案。国の都市拡張を担ってきたタワーの類型の再解釈も意図 photo by Xia Zhi, courtesy of OMA
OMA / クリス・ヴァン・ドゥインによる、中国の「JOMOO本社」。高層ビル群と森林に覆われた丘陵に挟まれた敷地。“二重性”のある環境の受容を意図し、基壇とタワーを融合させた“連続的で彫刻的な形態”の建築を考案。国の都市拡張を担ってきたタワーの類型の再解釈も意図 photo by Chen Hao, courtesy of OMA
OMA / クリス・ヴァン・ドゥインによる、中国の「JOMOO本社」。高層ビル群と森林に覆われた丘陵に挟まれた敷地。“二重性”のある環境の受容を意図し、基壇とタワーを融合させた“連続的で彫刻的な形態”の建築を考案。国の都市拡張を担ってきたタワーの類型の再解釈も意図 photo by Chen Hao, courtesy of OMA
OMA / クリス・ヴァン・ドゥインによる、中国の「JOMOO本社」。高層ビル群と森林に覆われた丘陵に挟まれた敷地。“二重性”のある環境の受容を意図し、基壇とタワーを融合させた“連続的で彫刻的な形態”の建築を考案。国の都市拡張を担ってきたタワーの類型の再解釈も意図 photo by Xia Zhi, courtesy of OMA

OMA / クリス・ヴァン・ドゥインによる、中国の「JOMOO本社」です。
高層ビル群と森林に覆われた丘陵に挟まれた敷地での計画です。建築家は、“二重性”のある環境の受容を意図し、基壇とタワーを融合させた“連続的で彫刻的な形態”の建築を考案しました。また、国の都市拡張を担ってきたタワーの類型の再解釈も意図されました。


こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)

OMAが設計したアモイのJOMOO本社が完成

2025年7月8日、アモイ — OMAは、中国最大の衛生設備メーカーであるJOMOOの初のオフィスキャンパスであるアモイのJOMOO本社を完成させました。市の中心業務地区の端に位置するこの新本社は、すでに使用が開始されており、JOMOOがグローバルブランドへと変革を遂げる上での重要な節目となっています。

この建物は、対照的な二つの環境の交差点に位置しています。一方には都市の高層ビルが密集し、もう一方には森林に覆われた丘陵があります。このデザインは、基壇とタワーを融合させた連続的で彫刻的な形態によって、この二重性を受け入れ、従来のオフィスのタイポロジーを再解釈しています。

OMAのパートナーであるクリス・ヴァン・ドゥイン(Chris van Duijn)「JOMOOの新本社の完成は、私たちの事務所が過去10年間に中国で設計してきた一連の高層プロジェクトの第一弾です。杭州、アモイ、深センといった急速に成長する都市に位置するこれらのプロジェクトは、周囲の都市環境との新たな関係性を探求し、中国の近年の都市拡張を形作ってきた主流のタワータイポロジーを再解釈しています」

白いセラミックのストライプで構成されたファサードと、公共機能と企業機能を統合したプログラムを持つJOMOO本社は、職人技とハイテク生産の両方を反映しており、それらはいずれも同社の使命の一部であり、アモイの過去と現在の文化の特徴でもあります。

この設計は、OMAのパートナーであるクリス・ヴァン・ドゥインと、プロジェクトアーキテクトのリンシャオ・チャン(Lingxiao Zhang)、チェン・ルー(Chen Lu)によって主導されました。

保坂猛による、東京・港区のオフィス「ECD 地球中心デザイン研究所」。環境配慮の徹底も意図した計画。企業コンセプト“地球中心”の体現を求め、“古代からの地図”を印刷した15台のテーブルを中心とする空間を考案。既存部材の数量調査を行って“ほぼ全ての再利用/再生”も実現
保坂猛による、東京・港区のオフィス「ECD 地球中心デザイン研究所」。環境配慮の徹底も意図した計画。企業コンセプト“地球中心”の体現を求め、“古代からの地図”を印刷した15台のテーブルを中心とする空間を考案。既存部材の数量調査を行って“ほぼ全ての再利用/再生”も実現オフィスが入居する建物の外観。夜景(建築家による解説:オフィス9Fが青く光る) photo©井上登
保坂猛による、東京・港区のオフィス「ECD 地球中心デザイン研究所」。環境配慮の徹底も意図した計画。企業コンセプト“地球中心”の体現を求め、“古代からの地図”を印刷した15台のテーブルを中心とする空間を考案。既存部材の数量調査を行って“ほぼ全ての再利用/再生”も実現「地球の間」から「ブルーカウンター」を見る。夜景(建築家による解説:暗くなるにつれて地図の写像はくっきりと照射される。この空間の様相の変化は、水平横長窓から入る自然光の変化によるもので、1日の時間の流れを身体で感じながら仕事ができるワークプレイス。人類が地球について考えてきた時間と空間の延長の上に、この「地球の間」が今から地球について考える時間と空間となることを願い計画した) photo©井上登
保坂猛による、東京・港区のオフィス「ECD 地球中心デザイン研究所」。環境配慮の徹底も意図した計画。企業コンセプト“地球中心”の体現を求め、“古代からの地図”を印刷した15台のテーブルを中心とする空間を考案。既存部材の数量調査を行って“ほぼ全ての再利用/再生”も実現「地球の間」から「ブルーカウンター」側を見る。 (建築家による解説:昼間自然光が強い時間は床面にうっすらと写像が照射される) photo©井上登
保坂猛による、東京・港区のオフィス「ECD 地球中心デザイン研究所」。環境配慮の徹底も意図した計画。企業コンセプト“地球中心”の体現を求め、“古代からの地図”を印刷した15台のテーブルを中心とする空間を考案。既存部材の数量調査を行って“ほぼ全ての再利用/再生”も実現THE EARTH TABLE no.11 [ Brown’s Map of Asia] photo©井上登

保坂猛が設計した、東京・港区のオフィス「ECD 地球中心デザイン研究所 超環境配慮型内装工事」です。
環境配慮の徹底も意図した計画です。建築家は、企業コンセプト“地球中心”の体現を求め、“古代からの地図”を印刷した15台のテーブルを中心とする空間を考案しました。また、既存部材の数量調査を行って“ほぼ全ての再利用/再生”も実現しました。

TBWA HAKUHODOが設立した新会社「ECD(地球中心デザイン研究所)」のオフィス内装計画。

設計から竣工まで環境配慮を徹底し、既存オフィスの建材や家具の再利用、再利用できないものは「産業廃棄物マニフェスト」を徹底管理し再利用100%を達成、超環境配慮型内装工事を行った。
この条件下で「地球中心」をコンセプトに地球のことを考えるための空間デザインを行った。

建築家によるテキストより

ECDの会社コンセプト「地球中心」を元に「地球について考えるための空間と時間をもつオフィス」を計画。
古代からの地図をガラスに印刷して製作した15台のガラステーブル「THE EARTH TABLE」が並ぶ「地球の間」は、ガラス天板の地図が床面に写像として浮かび上がる。
自然光の変化により写像の濃さが変化する地球を感じる空間である。

夕方になると45mの水平窓辺空間が青く点灯する「ブルーカウンター」は、宇宙空間から見た地球のサーフェイス(アースリム)を彷彿とさせ、毎日の決まった時刻に地球について考える時間を与えてくれることを願い計画した。
大人数のイベントに対応する「シロクマホール」にはTHE EARTH TABLE製作時の端材を用いて廃材再生士により製作されたシロクマが佇んでいる。

建築家によるテキストより

環境負荷を最小限とすべく、施主・設計・施工が三位一体で「解体時の廃棄物やCO2排出量をできる限り減らす、超環境配慮型の内装工事」に挑戦した。
まず、既存を全て拾い上げ「発生材数量調書」を作成(ガラス、自動ドアや引戸、タイルカーペット、ライダク、家具、家電など全て)、
この中で
[再利用1]:新オフィスで可能な限り再利用
[再利用2]:新オフィスで再利用できないものは、他の場所で再利用
[リサイクル]:再利用できないものは、資源としてリサイクル「産業廃棄物マニフェスト」を徹底管理
により、建材ほぼ100%、家具・設備100%再生/再利用することに成功した。

建築家によるテキストより
佐藤充 / SATO+ARCHITECTSによる、宮城・仙台市の「中山の家」。林縁の雛壇状に造成された敷地。擁壁を“副産物”ではなく“生活に寄り添う‘壁面’”と捉え、建築との“親密な関係”の構築を志向。擁壁を跨ぐように建築を配置して其々に暮らしに寄与する様々な役割を与える
佐藤充 / SATO+ARCHITECTSによる、宮城・仙台市の「中山の家」。林縁の雛壇状に造成された敷地。擁壁を“副産物”ではなく“生活に寄り添う‘壁面’”と捉え、建築との“親密な関係”の構築を志向。擁壁を跨ぐように建築を配置して其々に暮らしに寄与する様々な役割を与える外観、南側の道路より見る。 photo©中山保寛
佐藤充 / SATO+ARCHITECTSによる、宮城・仙台市の「中山の家」。林縁の雛壇状に造成された敷地。擁壁を“副産物”ではなく“生活に寄り添う‘壁面’”と捉え、建築との“親密な関係”の構築を志向。擁壁を跨ぐように建築を配置して其々に暮らしに寄与する様々な役割を与える1階 下、左:ホビールーム、右:「アプローチテラス」 photo©中山保寛
佐藤充 / SATO+ARCHITECTSによる、宮城・仙台市の「中山の家」。林縁の雛壇状に造成された敷地。擁壁を“副産物”ではなく“生活に寄り添う‘壁面’”と捉え、建築との“親密な関係”の構築を志向。擁壁を跨ぐように建築を配置して其々に暮らしに寄与する様々な役割を与える1階 上、リビングからダイニングを見る。 photo©中山保寛
佐藤充 / SATO+ARCHITECTSによる、宮城・仙台市の「中山の家」。林縁の雛壇状に造成された敷地。擁壁を“副産物”ではなく“生活に寄り添う‘壁面’”と捉え、建築との“親密な関係”の構築を志向。擁壁を跨ぐように建築を配置して其々に暮らしに寄与する様々な役割を与える1階 上、左:「ユーティリティテラス」、右:衣裳部屋 photo©中山保寛

佐藤充 / SATO+ARCHITECTSが設計した、宮城・仙台市の「中山の家」です。
林縁の雛壇状に造成された敷地での計画です。建築家は、擁壁を“副産物”ではなく“生活に寄り添う‘壁面’”と捉え、建築との“親密な関係”の構築を志向しました。そして、擁壁を跨ぐように建築を配置して其々に暮らしに寄与する様々な役割を与えました。

敷地は、1960年代に山を切り開き宅地造成された住宅地と山林のエッジにある。
もともと山林の一部だった斜面地を数年前に切土と3枚の擁壁によって雛壇状に造成された敷地であり、接道レベルに駐車場、擁壁上の平地に建築を配置するという定型化された建ち方が真っ先に想像される。
それは、私たちが無意識のうちに土木と建築を一切関係しあうことなく切り離して風景を捉えているからに他ならない。

建築家によるテキストより

「南光台東の家」を設計した際に、擁壁の崩壊メカニズムとその上に建つことの危うさについて把握していたことから、80坪という比較的ゆとりのある敷地に対し、安全に計画可能な敷地面積は、ごく僅かであることが見て取れた。
そこで、擁壁を宅地造成による「副産物」としてではなく、生活に寄り添う「壁面」と捉え、擁壁と建築が親密な関係を構築することで都市の風景、そこでの体験を豊かなものに変えることができないだろうか、と考えた。

建築家によるテキストより

2段目の平地を構成する擁壁の底盤を避けてヴォリュームを配置し、道路レベルの平地から立ち上げたヴォリュームと擁壁を跨ぐように上部で接続させた。上下2つの基礎と既存擁壁を刺し筋で接合し、せん断力の伝達を担保することで一体性を確保し、さらに3つの地面のレベルに合わせて3枚のスラブを配置し、全ての生活空間に雛壇状の地形との関係性を持たせている。

擁壁が成す微かな角度を手掛かりに、前面道路から1枚目の擁壁は、内外に貫入し、空間の流れを生むとともに、建主の趣味の観葉植物やサーフボードのメンテナンススペースとなり、2枚目の擁壁は、物干しスペースや家事の合間の気分転換を図るユーティリティーテラスを構成し、さらにレフ板として太陽光を北側から回折させ住まいの奥まで陽光を導く。

建築家によるテキストより
トラフ建築設計事務所による店舗「Hirotaka 福岡店」。大型複合施設の商業フロアにあるジュエリー店。“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとし、“柔らかさ”や“艶やかさ”を基準に素材・色彩・形態を決定。“懐かしさ”と“新しさ”が全体に広がる空間を作り上げる
トラフ建築設計事務所による店舗「Hirotaka 福岡店」。大型複合施設の商業フロアにあるジュエリー店。“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとし、“柔らかさ”や“艶やかさ”を基準に素材・色彩・形態を決定。“懐かしさ”と“新しさ”が全体に広がる空間を作り上げる共用通路側から空間全体を見る。 photo©太田拓実
トラフ建築設計事務所による店舗「Hirotaka 福岡店」。大型複合施設の商業フロアにあるジュエリー店。“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとし、“柔らかさ”や“艶やかさ”を基準に素材・色彩・形態を決定。“懐かしさ”と“新しさ”が全体に広がる空間を作り上げる共用通路側から什器を見る。 photo©太田拓実
トラフ建築設計事務所による店舗「Hirotaka 福岡店」。大型複合施設の商業フロアにあるジュエリー店。“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとし、“柔らかさ”や“艶やかさ”を基準に素材・色彩・形態を決定。“懐かしさ”と“新しさ”が全体に広がる空間を作り上げる什器と壁面の棚 photo©太田拓実

トラフ建築設計事務所が設計した、福岡市の店舗「Hirotaka 福岡店」です。
大型複合施設の商業フロアにあるジュエリー店です。建築家は、“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとし、“柔らかさ”や“艶やかさ”を基準に素材・色彩・形態を決定しました。そして、“懐かしさ”と“新しさ”が全体に広がる空間を作り上げました。店舗の場所はこちら(Google Map)。

福岡・天神の新たなランドマーク「ONE FUKUOKA BLDG.」にオープンした、ジュエリーブランド「Hirotaka」の九州初となる直営店であり、国内10店舗目となる店舗の内装計画。
約40㎡の正方形に近い区画に、“ミッドセンチュリーモダン”をテーマとした空間を構築した。

建築家によるテキストより

素材や色彩の選定には、柔らかな光沢をもつ真鍮、染色を施した木部、艶のあるアイボリートーンの塗装などを用い、什器のフォルムには丸みを与えることで、どこかレトロフューチャーな印象を漂わせている。

中央には、複数のボリュームを積層させた彫刻的な什器を配置。正面には、オランダのデザイナー、ディルク・ファン・デル・コーイによる再生プラスチック製の照明「The Fresnel」を設置し、柔らかな光が空間全体に広がるよう計画した。

建築家によるテキストより

背面には、民族的な盾を想起させるヴィンテージのオブジェを据え、静けさと象徴性を備えたアクセントとしている。鏡面仕上げの真鍮や木、光を受けて際立つ縁取りが重なり合い、まるで“現代のトーテム”のような佇まいを見せる。

床には吸音性のある圧縮フェルト調のカーペットを敷き、共用部の硬質な石貼りから一歩足を踏み入れた瞬間、空気の質がふわりと変わるような感覚を生み出す。

天井近くまで立ち上がるミラーや、壁の出隅に仕込まれた間接照明が空間の輪郭をやわらかく浮かび上がらせる。どこか懐かしく、同時に新しさを感じさせる空気が、空間全体に静かに広がっている。

建築家によるテキストより
ネリ&フーによる、上海の店舗「インサイド / アウトサイド」。系列の2つのブランドの店舗を隣接して計画。“人間の根源的な空間”を探求し、より“原始的な存在の状態への回帰”を呼び起こす空間を志向。製品と呼応する“木造の小屋”と商品を輝かせる“洞窟の住居”を考案
ネリ&フーによる、上海の店舗「インサイド / アウトサイド」。系列の2つのブランドの店舗を隣接して計画。“人間の根源的な空間”を探求し、より“原始的な存在の状態への回帰”を呼び起こす空間を志向。製品と呼応する“木造の小屋”と商品を輝かせる“洞窟の住居”を考案 photo©Pedro Pegenaute
ネリ&フーによる、上海の店舗「インサイド / アウトサイド」。系列の2つのブランドの店舗を隣接して計画。“人間の根源的な空間”を探求し、より“原始的な存在の状態への回帰”を呼び起こす空間を志向。製品と呼応する“木造の小屋”と商品を輝かせる“洞窟の住居”を考案 photo©Pedro Pegenaute
ネリ&フーによる、上海の店舗「インサイド / アウトサイド」。系列の2つのブランドの店舗を隣接して計画。“人間の根源的な空間”を探求し、より“原始的な存在の状態への回帰”を呼び起こす空間を志向。製品と呼応する“木造の小屋”と商品を輝かせる“洞窟の住居”を考案 photo©Pedro Pegenaute
ネリ&フーによる、上海の店舗「インサイド / アウトサイド」。系列の2つのブランドの店舗を隣接して計画。“人間の根源的な空間”を探求し、より“原始的な存在の状態への回帰”を呼び起こす空間を志向。製品と呼応する“木造の小屋”と商品を輝かせる“洞窟の住居”を考案 photo©Pedro Pegenaute

ネリ&フーによる、上海の店舗「インサイド / アウトサイド ジスファン&ウーヴン・ムーンライト」です。
系列の2つのブランドの店舗を隣接して計画しました。建築家は、“人間の根源的な空間”を探求し、より“原始的な存在の状態への回帰”を呼び起こす空間を志向しました。そして、製品と呼応する“木造の小屋”と商品を輝かせる“洞窟の住居”を考案しました。


こちらは建築家によるテキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)

インサイド / アウトサイド
ジスファン&ウーヴン・ムーンライト

上海で初の旗艦店をデザインしてから4年、ネリ&フーは再びジスファンと協力し、盤龍天地開発(Panlong Tiandi development)内にある2つの店舗のデュオを創り上げました。隣接する2つの空間は、ひとつはジスファン・ブティックのため、もうひとつは姉妹ブランドのウーヴン・ムーンライトのためのもので、それぞれが独自性を持ちながらも、互いに対話をしています。ジスファン・ブティックは内部に木造の家を含み、ウーヴン・ムーンライトはコンクリートの住居であり、それぞれが異なるブランド・アイデンティティと多様な空間的要件に合わせて作られています。

ジスファン・ブティックのデザインコンセプトは、すべての建築の基本的な原型とされるロジエの「原初の小屋(Primitive Hut)」に着想を得ています。装飾や様式を取り払った原初の小屋は、人間と自然界との関係を築き、シェルターの役割と自然とのつながりの両方を提供します。これは、リネン素材を日常生活と自然の文字通りの「糸」として捉えるというブランドの精神と一致しています。挿入された木造の構造体は、住まい、居住するための精神的な空間を形成すると同時に、製品を展示するための非常に機能的な要素でもあります。ホワイトオークは自然の木目と色をそのまま残し、床には手作りのセラミックタイルを組み合わせています。これらの温かみのある素材が、リネン製品の質感と調和しています。上部の傾斜屋根は空間の高さを最大限に活用し、人々がこの広々とした聖域を楽しめるようにしています。一方で、ファサードから差し込む柔らかな光と切り取られた眺めが、外のにぎやかな商業通りとの穏やかなつながりを生み出しています。

最も注目を集めたトピックス[期間:2025/6/30-7/6]
最も注目を集めたトピックス[期間:2025/6/30-7/6]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2025/6/30-7/6)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 安藤忠雄とアントニー・ゴームリーによる、韓国の「グラウンド」。美術館の庭園地下に埋設されたアートスペース。美術館体験の拡張を求め、7体の彫刻を内包した“パンテオンも想起させる”ドーム状の空間を考案。彫刻・建築・自然と鑑賞者をひとつの瞬間の中で結びつける
  2. 藤本壮介による、森美術館での展覧会の会場写真。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開
  3. ファラによる、ポルトガル・ポルトの住戸改修「oasis under a building」。“穴の空いた靴下”のような“反転したガラスの家”。ひとつとも複数ともいえる空間で構成。天井は“明るい空”のように機能させる
  4. 青木淳+品川雅俊 / AS、小堀哲夫、仙田満 / 環境デザイン研究所、日建設計が参加する、滋賀の「守山市民ホール大規模改修」プロポの公開プレゼンが開催
  5. 山路哲生建築設計事務所による、東京・世田谷区の「代田の家」。住宅街の“当たり前の再編集”も意識した計画。奥行の深い土地で“広がり”を獲得する為、短辺方向の壁面の代わりに“ブレース”を吹抜などに配する建築を考案。時代と呼応する“斜めの大黒柱”としても位置づける
  6. ピタゴラスイッチ等の創作で知られる、佐藤雅彦の展覧会の入場チケットをプレゼント。横浜美術館で開催。多様な作品の創作プロセスを紹介し、その独創的な“作り方”を紐解く内容。ピタゴラ装置の実物も展示
  7. ネリ&フーによる、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」。既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設。全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案。元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出す
  8. 藤本壮介建築設計事務所による、沖縄・石垣島のヴィラ「NOT A HOTEL ISHIGAKI『EARTH』」が開業。約3000坪の敷地にたった一棟のみ建てられた建築。“円形のフォルム”と緑化された“すり鉢状の屋根”が特徴。プール・サウナ・ジムなどの機能も内包
  9. ネリ&フーによる、台北市の集合住宅「ザ・ラティス」。新旧の建物が混在する地域。“時代を超えた美学”の体現を求め、同国の格子を再解釈した“カテナリー曲線のスクリーン”をRCグリッドの中に配する建築を考案。対照的な素材を調和させ繊細なバランスを実現する
  10. 大阪・関西万博の、若手建築家が設計を手掛ける全20施設のパース画像とコンセプト(前編)。前編では、休憩所・ギャラリー・展示施設・ポップアップステージの10施設を紹介
  11. 佐藤尚巳建築研究所による、群馬・高崎市の「ハルナイノベーションセンター」。山裾にある商品開発の拠点施設。近隣の山並みから着想した切妻屋根を持ち、高窓から日光が入り“どこにいても自然が感じられる”建築を考案。雁行した平面は内部空間に“流れ・溜まり・適切な分節”をもたらす
  12. リナ・ゴットメによる、大阪・関西万博の「バーレーンパビリオン」。“海をつなぐ”をテーマに計画。同国と海の繋がりを伝える施設として、“伝統的な船の製造技術”の参照に加えて“日本の木組の技術”も融合させる建築を考案。持続可能性を考慮して殆どの材料を再利用可能とする
  13. 阿曽芙実建築設計事務所による、兵庫・淡路市の「dots n / 農園付き住居」。農業希望者に体験機会を提供する為に市の施設として計画。新しさと懐かしさのある“ここだけの風景”を主題とし、田の字型平面で寄棟と換気塔を特徴とする建築を考案。屋根や壁などに地域の“土の素材”も用いる
  14. MADによる、オランダ・ロッテルダムの美術館「フェニックス」。歴史的な倉庫を転用した施設。“移民”に関する美術館として、困難な物語と同時に未来への希望も伝える存在を志向。“旅”を象徴する約500mの“反射仕上げの螺旋階段”を中央に据える建築を考案
  15. 相坂研介設計アトリエによる、埼玉の「本庄の医院・住宅」。医院の改築と院長の居住部分を独立させ新築する計画。医院は、元の造形を活かした“塗分け”を行うと共に機能や動線の改善を実施。住宅は、将来のデイサービスへの転用も考慮した“木架構”が特徴の建築とする
  16. フォスター+パートナーズによる、大阪・関西万博の「サウジアラビアパビリオン」。国の魅力を伝える場として、町や都市を探訪する体験を想起させる存在を志向。迷路の様な曲がりくねる路地を探索する空間構成を考案。ローカルアーキテクトとして梓設計も参画
  17. 蘆田暢人と川上聡による、大阪市の「長源寺の庫裡」。親と子の二世帯が暮らす住まい。法規や住替えの与件に対し、庭を囲む様に平屋の親世帯と三階建の子世帯を配置する構成を考案。。自由な内部空間を実現する“リブフレーム”構造は世帯間の視線交錯の回避にも寄与
  18. 藤本壮介による、森美術館での展覧会の入場チケットをプレゼント。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開
  19. ザハ・ハディド・アーキテクツによる、アラブ首長国連邦の「ハリド・ビン・スルタン・シティ」。砂漠に隣接する敷地に都市を造る計画。砂丘の流動的な形状からも着想を得て、“線形のオアシス”を中心として7つの半円形の住宅街を配置する構成を考案。各施設の配置や日陰の創出などで歩行移動を主にする
  20. 竹中工務店による、VS.での「たてものめがね まちめがね展」。建築や街への人々の関心の向上も意図した展覧会。面白さの“理解しやすい形での発信”を目指し、“縮尺:スケール”を切口とする計画を考案。“一間ブロック”で日常を切り取った“等身大になる部屋”などを作る

ピーター・ズントーとSOMの設計で竣工した、ロサンゼルス・カウンティ美術館の新本館の動画。2025年6月に公開されたもの

ピーター・ズントーとSOMの設計で竣工した、ロサンゼルス・カウンティ美術館の新本館の動画です。2025年6月に公開されたもの。正式なオープンは2026年を予定しているようです。

磯崎新による「旧大分県立大分図書館 / アートプラザ」(1966年竣工) の現在の様子を紹介する動画。大分市の制作で2025年7月に公開されたもの

磯崎新が設計した「旧大分県立大分図書館 / アートプラザ」(1966年竣工) の現在の様子を紹介する動画です。大分市の制作で2025年7月に公開されたもの。

ネリ&フーによる、台北市の集合住宅「ザ・ラティス」。新旧の建物が混在する地域。“時代を超えた美学”の体現を求め、同国の格子を再解釈した“カテナリー曲線のスクリーン”をRCグリッドの中に配する建築を考案。対照的な素材を調和させ繊細なバランスを実現する
ネリ&フーによる、台北市の集合住宅「ザ・ラティス」。新旧の建物が混在する地域。“時代を超えた美学”の体現を求め、同国の格子を再解釈した“カテナリー曲線のスクリーン”をRCグリッドの中に配する建築を考案。対照的な素材を調和させ繊細なバランスを実現する外観、北東側から見る。 photo©Studio Millspace
ネリ&フーによる、台北市の集合住宅「ザ・ラティス」。新旧の建物が混在する地域。“時代を超えた美学”の体現を求め、同国の格子を再解釈した“カテナリー曲線のスクリーン”をRCグリッドの中に配する建築を考案。対照的な素材を調和させ繊細なバランスを実現する外観、北西側から見る。 photo©Studio Millspace
ネリ&フーによる、台北市の集合住宅「ザ・ラティス」。新旧の建物が混在する地域。“時代を超えた美学”の体現を求め、同国の格子を再解釈した“カテナリー曲線のスクリーン”をRCグリッドの中に配する建築を考案。対照的な素材を調和させ繊細なバランスを実現する1階、共用ラウンジ photo©Studio Millspace

ネリ&フーが設計した、台北市の集合住宅「ザ・ラティス 至善レジデンス」です。
新旧の建物が混在する地域での計画です。建築家は、“時代を超えた美学”を体現を求め、同国の格子を再解釈した“カテナリー曲線のスクリーン”をRCグリッドの中に配する建築を考案しました。対照的な素材で繊細なバランスを実現させました。


こちらは建築家によるテキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)

都市は冗長である――何かが記憶に残るように、それは自らを繰り返す。
記憶も冗長である――都市が存在し始めるために、それは印(しるし)を繰り返す。
― イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』

台北は、コミュニティの感覚や人間的なスケール感を保っている現代的な大都市です。新しいガラス張りの高層ビルのそばには、1970年代の魅力的なアーケード付き低層建築が共存しており、亜熱帯の気候は豊かな緑が生い茂り、都市の風景全体に織り込まれていくことを可能にしています。このプロジェクトの敷地は、士林区(Shilin District)の天母(Tianmu)の一部である至善(Zhishan)に位置しており、特に豊かな文化的背景を有しています。そこはかつて外国文化の玄関口であり、現在でも多くのインターナショナルスクールが集まる地域です。天母の住民は、この異文化的なアイデンティティを誇りに思っており、都市のより商業的な地域の喧騒から離れた、スローライフなライフスタイルを楽しんでいます。台北および至善という文脈の中で、ネリ&フーがこの高級住宅建築に込めた設計意図は、構築的な形態と触感的な素材を用いることで、時代を超えた美学を体現することでした。

セットバックを考慮したうえで、この建物のボリューム構成戦略は、通り沿いにおける力強い存在感を維持するため、北側の角にしっかりとした直角のエッジを持たせる一方、南側は鋸歯状の平面形によって柔らかく処理されています。立面は、上品な比率を持つ柱と梁によるグリッドでシンプルに表現されており、そして淡いグレーの石で仕上げられています。構造フレームの表現に軽やかさを加えるための、開放的なコーナーディテールもあります。グリッドの各フレーム内には、銅色の金属でできた逆カテナリーアーチ形のスクリーンが挿入されており、バルコニーを囲い、背後のガラス面に重ね合わせています。台湾各地の古い建物の窓上に見られる数多くの「花格子」スクリーンから着想を得て、ネリ&フーはこの見慣れた意匠を、洗練されたパターンと上質な素材によって、より大きなスケールで再解釈しています。構造とスクリーンという対照的な二つの要素が、男性的と女性的、歴史的と現代的、クールさと温かみ、理性的と表現的との間の繊細なバランスを達成するために、調和しながら機能しています。

【ap job更新】 次世代型のオフグリッド建築“WEAZER”の開発などを手掛ける「株式会社ARTH」が、設備設計のスタッフ(経験者)を募集中
【ap job更新】 次世代型のオフグリッド建築“WEAZER”の開発などを手掛ける「株式会社ARTH」が、設備設計のスタッフ(経験者)を募集中
【ap job更新】 次世代型のオフグリッド建築“WEAZER”の開発などを手掛ける「株式会社ARTH」が、設備設計のスタッフ(経験者)を募集中WEAZER西伊豆 外観

次世代型のオフグリッド建築“WEAZER”の開発などを手掛ける「株式会社ARTH」の、設備設計のスタッフ(経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

「地球上の美しい場所をアート作品としてプロデュースする」 

世界中、日本中にある美しい自然、美しい建築、美しい街並み。
私たち自身がワクワクするような場所を、その土地に根付いた価値を大切にしながら建築、食、サービス、アートの力でプロデュースする。

それが私たち株式会社ARTHの目指すビジョンです。

そこにある美しさを壊すことなく快適に過ごせる空間を創り出すために自社開発した世界初(自社調べ)のオフグリッド建築「WEAZER」。
太陽光発電システムと雨水濾過循環システムを搭載し、オフグリッド環境でも電気/水を自給できる次世代型の居住ユニットです。

現在は1棟貸しホテル「WEAZER西伊豆」がすでに稼働中。今後はホテル、医療関連施設、災害時滞在スペースなど多用途での全国拡大を予定しています。

事業拡大に伴い設備の専門的知見を有するメンバーを新たに募集いたします。

決まりきったものを黙々と設計するというよりも、新しいシステムを実現するために設備設計士の目線で企画し、プロダクトを創りこむ役割を期待しています。
新しい技術や世の中にないプロダクトを創り出すことにやりがいやモチベーションを感じる方、ぜひ一度お話をしてみませんか?

安藤忠雄とアントニー・ゴームリーによる、韓国の「グラウンド」。美術館の庭園地下に埋設されたアートスペース。美術館体験の拡張を求め、7体の彫刻を内包した“パンテオンも想起させる”ドーム状の空間を考案。彫刻・建築・自然と鑑賞者をひとつの瞬間の中で結びつける
安藤忠雄とアントニー・ゴームリーによる、韓国の「グラウンド」。美術館の庭園地下に埋設されたアートスペース。美術館体験の拡張を求め、7体の彫刻を内包した“パンテオンも想起させる”ドーム状の空間を考案。彫刻・建築・自然と鑑賞者をひとつの瞬間の中で結びつける photo courtesy of Museum SAN
安藤忠雄とアントニー・ゴームリーによる、韓国の「グラウンド」。美術館の庭園地下に埋設されたアートスペース。美術館体験の拡張を求め、7体の彫刻を内包した“パンテオンも想起させる”ドーム状の空間を考案。彫刻・建築・自然と鑑賞者をひとつの瞬間の中で結びつける photo courtesy of Museum SAN
安藤忠雄とアントニー・ゴームリーによる、韓国の「グラウンド」。美術館の庭園地下に埋設されたアートスペース。美術館体験の拡張を求め、7体の彫刻を内包した“パンテオンも想起させる”ドーム状の空間を考案。彫刻・建築・自然と鑑賞者をひとつの瞬間の中で結びつける photo courtesy of Museum SAN

安藤忠雄とアントニー・ゴームリーによる、韓国の「グラウンド」です。
美術館「ミュージアムSAN」の庭園地下に埋設されたアートスペースです。建築家とアーティストは、美術館体験の拡張を求め、7体の彫刻を内包した“パンテオンも想起させる”ドーム状の空間を考案しました。そして、彫刻・建築・自然と鑑賞者をひとつの瞬間の中で結びつけます。施設の場所はこちら(Google Map)。


こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)

グラウンド:芸術、建築、ランドスケープの瞑想的な融合

グラウンドは、アンソニー・ゴームリーと安藤忠雄が共同で制作した恒久的な建築介入作品です。ミュージアムのフラワーガーデンの下に埋め込まれたグラウンドは、直径25m、高さ7.2mの地下ドームで構成されており、オクルス(天窓)から自然光が内部に差し込むようになっています。パンテオンを想起させるグラウンドは、人工的な構造と韓国の周囲の地形を融合させています。

訪問者はまず庭園のレベルから地下の観察室へと降り、そこでゴームリーの「ブロックワークス」シリーズからの鋳鉄製彫刻7体を、パノラマのガラス越しに目にします。これらの立つ、しゃがむ、座る、横たわる姿の像は、思索を促すような心理的な状態を呼び起こします。

そこから訪問者は中央のドームへと進み、彫刻と直接的に関わりながら、その空間体験の一部となります。その体験はランドスケープへと広がり、そこではひとりの像が遠くの山々へと視線を導く支点となり、彫刻、建築、自然、そして鑑賞者をひとつの瞬間の中で結びつけます。

グラウンドは、従来のホワイトキューブ型展示形式を超えて美術館体験を拡張しようとするミュージアムSANの取り組みを体現しています。空間、芸術、自然をひとつの体験へと変容させながら、グラウンドは「つながるために、離れる」というミュージアムSANのミッションステートメントの集大成であり、その具現化でもあります。2013年の開館以来、ミュージアムSANは従来のギャラリーモデルを超えてそのヴィジョンを継続的に拡張し、ジェームズ・タレル・パビリオン(2013年)、メディテーション・ホール(2019年)、スペース・オブ・ライト(2023年)など、独自の建築的介入を導入してきました。グラウンドによって、ミュージアムはこの創設時のビジョンをさらに深化させ、芸術、建築、自然との没入的な出会いを通じて、訪問者が今この瞬間と再びつながることを促します。

藤本壮介による、森美術館での展覧会の会場写真。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開
藤本壮介による、森美術館での展覧会の会場写真。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開「思考の森」、会場の様子 photo©architecturephoto
藤本壮介による、森美術館での展覧会の会場写真。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開「開かれた円環」、会場の様子 photo©architecturephoto
藤本壮介による、森美術館での展覧会の会場写真。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開「仙台市(仮称)国際センター駅北地区複合施設(2024年提案版)1:15模型」、2025年 photo©architecturephoto
藤本壮介による、森美術館での展覧会の会場写真。活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開「未来の森 原初の森—共鳴都市 2025」、会場の様子 photo©architecturephoto

藤本壮介による、森美術館での展覧会「藤本壮介の建築:原初・未来・森」の会場写真です。
活動初期から進行中の計画まで網羅的に紹介する大規模個展です。模型・図面・写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型なども公開されています。会期は2025年11月9日まで。展覧会の公式ページはこちら
また、アーキテクチャーフォトでは、本展のチケットプレゼント企画を、2025年7月4日締切りで実施中です。

本展は、藤本にとって初の大規模個展です。活動初期から世界各地で現在進行中のプロジェクトまで8セクション構成で網羅的に紹介し、約30年にわたる歩みや建築的特徴、思想を概観します。

展示には、模型や設計図面、竣工写真に加え、インスタレーションや空間を体験できる大型模型、モックアップ(試作モデル)なども含まれ、建築に携わる人だけでなく、だれもが藤本建築のエッセンスを体感できる、現代美術館ならではの展覧会です。さらに、藤本による未来の都市像の提案を通し、建築の存在意義や可能性についての考察も試みます。

環境への配慮、人と人との変わりゆく関係性、分断されたコミュニティをつなぐ機能、テクノロジーの発展に影響される生活など、今日、建築や都市には従来以上の役割を担うことが求められています。そのような時代に、建築は私たちの暮らしをどう変えうるのか。藤本の実践をとおして、みなさんとともに考えます。

リリーステキストより
【ap job更新】 建築・インテリア・家具を一体と捉え、身体スケールからのデザインを大切にする「.8/TENHACHI」が、設計スタッフ(既卒・経験者)と アルバイトを募集中
【ap job更新】 建築・インテリア・家具を一体と捉え、身体スケールからのデザインを大切にする「.8/TENHACHI」が、設計スタッフ(既卒・経験者)と アルバイトを募集中
【ap job更新】 建築・インテリア・家具を一体と捉え、身体スケールからのデザインを大切にする「.8/TENHACHI」が、設計スタッフ(既卒・経験者)と アルバイトを募集中Floating on the Ridge / photo by Takumi Ota

建築・インテリア・家具を一体と捉え、身体スケールからのデザインを大切にする「.8/TENHACHI」の、設計スタッフ(既卒・経験者)と アルバイト 募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

インテリアデザインから建築設計まで幅広く手がける .8/TENHACHI では、現在進行中および新規のプロジェクトに携わる内装設計・建築設計スタッフを募集しています。

.8/TENHACHIは、隈研吾建築都市設計事務所で国内外の建築・内装・家具デザイン・インスタレーションの経験を積んだ佐々木倫子と、設計事務所で建築の経験とイデーで家具のデザインと制作の経験を積んだ佐藤圭が共同主宰する設計事務所です。
私たちは、建築・インテリア・家具を一体として捉え、身体スケールからの空間デザインを大切にし、短期的な効率性や利益追求を目的とするのではなく、「Fermenting Architecture – 発酵建築」というテーマのもと、時間とともに味わいが増し、長く愛される建築を目指しています。

当事務所では、基本計画から実施設計、監理まで一貫して携わることで建築設計全体の流れを実践的に学べるほか、インテリアや家具のデザイン力、施主・施工者との対話を通じたコミュニケーション力やマネジメント力も身につけることができます。こうした設計活動を通じて幅広い経験を積み、自身のスキルや視野を着実に広げることができる環境です。
互いに意見やアイデアを気軽に交わしながら、チームで一つひとつのプロジェクトに丁寧に取り組んでいます。スキルを磨きながらじっくりと働きたい方にも、将来を見据えて経験を積みたい方にも、安心して成長していける環境を整えています。

デザインには決して妥協せず、ときには厳しさもありますが、常に「本当にいいもの」を目指して真摯に向き合っています。担当したプロジェクトは、独立後のキャリアにしっかり残るような、誇れる仕事になるはずです。
独立後のサポートも行っており、卒業したスタッフと協働してプロジェクトを進めることもあります。小さなチームだからこそ、一人ひとりの事情に耳を傾けながら、柔軟に働き方を調整しています。子育て中や家庭の都合で時短勤務を希望される方も安心してご応募ください。

事務所は、渋谷駅から電車で約20分の神奈川県郊外にあり、都心に近い利便性と広々とした落ち着いた環境を兼ね備え、豊かな設計活動が行える場を目指しています。

小大建築設計事務所による、中国・広州の店舗「THE NORTH FACE URBAN EXPLORATION」。アウトドアブランドの“都市生活者向け”ラインの為に計画。製品コンセプトの体現を求め、テントの膜素材を用いた“都市のシェルター”を中央に据える空間を考案。都市の無骨さの表現も意図して“黒皮鉄”も用いる
小大建築設計事務所による、中国・広州の店舗「THE NORTH FACE URBAN EXPLORATION」。アウトドアブランドの“都市生活者向け”ラインの為に計画。製品コンセプトの体現を求め、テントの膜素材を用いた“都市のシェルター”を中央に据える空間を考案。都市の無骨さの表現も意図して“黒皮鉄”も用いる共用通路からガラス越しに内部を見る。 photo©堀越圭晋 エスエス
小大建築設計事務所による、中国・広州の店舗「THE NORTH FACE URBAN EXPLORATION」。アウトドアブランドの“都市生活者向け”ラインの為に計画。製品コンセプトの体現を求め、テントの膜素材を用いた“都市のシェルター”を中央に据える空間を考案。都市の無骨さの表現も意図して“黒皮鉄”も用いる左:「ジオドーム」、右:売場 photo©堀越圭晋 エスエス
小大建築設計事務所による、中国・広州の店舗「THE NORTH FACE URBAN EXPLORATION」。アウトドアブランドの“都市生活者向け”ラインの為に計画。製品コンセプトの体現を求め、テントの膜素材を用いた“都市のシェルター”を中央に据える空間を考案。都市の無骨さの表現も意図して“黒皮鉄”も用いるキャッシャー側から「ジオドーム」の内側を見る。 photo©堀越圭晋 エスエス

小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所が設計した、中国・広州の店舗「THE NORTH FACE URBAN EXPLORATION」です。
アウトドアブランドの“都市生活者向け”ラインの為に計画されました。建築家は、製品コンセプトの体現を求め、テントの膜素材を用いた“都市のシェルター”を中央に据える空間を考案しました。また、都市の無骨さの表現も意図して“黒皮鉄”も用いられました。

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)がアウトドアで培った機能性と合理性を、ファッションに落とし込み都市生活者向けに提案する「THE NORTH FACE URBAN EXPLORATION(ザ・ノース・フェイス・アーバン・エクスプロレーション)」。

本プロジェクトでは、そのURBAN EXPLORATIONというブランドコンセプトを体現する空間を目指した。

建築家によるテキストより

都市特有の過酷な環境において、機能性とデザイン性を兼ね備えた提案を行うUE。その哲学を表現するために、空間デザインには黒皮鉄をメインマテリアルとして採用した。黒皮鉄は素材ごとに個体差があり、都市の無骨さや力強さを引き立てる。

さらに、その力強い環境の中に、テントに使用される柔らかい膜素材で構成した「Urban Shelter(都市のシェルター)」を売り場としてデザインした。

建築家によるテキストより

この対照的な要素を掛け合わせることで、UEのプロダクトが持つ機能性とデザイン性のバランスを空間全体で表現した。

建築家によるテキストより
ネリ&フーによる、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」。既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設。全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案。元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出す
ネリ&フーによる、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」。既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設。全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案。元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出す photo©DONG
ネリ&フーによる、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」。既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設。全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案。元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出す photo©DONG
ネリ&フーによる、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」。既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設。全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案。元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出す photo©DONG
ネリ&フーによる、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」。既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設。全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案。元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出す photo©Runzi Zhu

ネリ&フーが設計した、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」です。
既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設です。建築家は、全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案しました。また、元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出しました。


こちらは建築家によるテキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)

私たちの新しい複合用途のクリエイティブ開発の設計は、大連の中心部にあり、大学のキャンパスやソフトウェアパークの近くに位置しています。既存の敷地には、40年前に建てられた6棟の建物があり、かつては化学研究所のオフィス、倉庫、そして寮として使われていました。私たちの設計における課題は、高さがさまざまで、以前に改修が行われた特徴的な外観を持つこれらの建物を統一することができる建築的な言語を見つけることでした。敷地内で最も目立つ建物は、かつての作業員用の寮であり、過去に修理作業に使われていた一連の木製の門とガレージ区画を備えています。

ザ・ヤードの背後にあるコンセプトは、このプロジェクトが位置する文脈への考察に由来しており、それは都市の中の隠れた内向的な場所にあり、まもなく忘れ去られようとしている都市の記憶の小さな安息の地です。再活用プロジェクトとしてのこの計画の目的は、敷地を地域社会や学生たちに貢献する目的地へと変えることです。プログラムには、ギャラリー、ライフスタイル小売、ホスピタリティ、映画館、劇場、そしてオフィススペースが含まれています。

既存の建物はU字型の構成で配置されており、本質的に内向的で、大きな空の駐車場の方を向いていました。私たちの計画は、U字型の形を、壁やスクリーン、キャノピーによる新たな空間システムで構成された囲まれた中庭へと変えることで完成されます。中国庭園から着想を得て、都市の騒音から逃れる静かな思索の場として、この敷地の隠れた性質を称えています。連続した形状が広場を包み込み、プライバシー感を生み出すとともに、大きな岩の造形を囲み、さらに新旧の間を調和させる第二のファサード層として機能します。

触感的な素材のパレットは、既存のスタッコ仕上げの外観を引き立てるために、最小限かつ無加工のままに保たれています。コールテン鋼が、主要な表面素材として使用されています。風化し変化することで時間の経過を記録するという、工業素材としての適性があるためです。インテリアデザインの戦略は、新旧の間にある緊張関係を称えています。新しいしっくい仕上げと、部分的に露出したレンガや構造要素を並置することで、過去と現在の対話が生み出されています。

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