大松俊紀 / 大松俊紀アトリエによる、椅子「LYR」

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大松俊紀 / 大松俊紀アトリエによる、椅子「LYR」

architecture, design, feature

all photos©清田千裕

大松俊紀 / 大松俊紀アトリエがデザインした、椅子「LYR」です。

今日まで様々な椅子がデザインされてきた。その形状は、数え切れないほどの種類があり、すでに形自体に大した意味はなくなりつつある。かといって、単純に素材だけで、新しい椅子の在り方という問題を乗り越えられるわけではないであろう。
ある時はその存在自体がありふれた風景の一部になり、またある時はその存在が異常に存在感を表徴する。そんな椅子が作れないかと思っている。

ドット(斑点)が、与えられる対象とは全く無関係に、あるモノの表面を覆い尽くしたらどうなるであろうか? 絵画やグラフィックデザインではよくあることかもしれないが、それが家具や建築のレベルで立体的に表面を侵食したら、そのモノ、空間自体がどのように変容するのであろうか? 

変容の様子を素直に見届けるため、椅子の形状は出来るだけ普通のものとし、素地は出来るだけ白い木肌でかつ硬い木質を持つハードメープルを使用。すべての厚みを40mmに統一することで、出来るだけ見慣れた普通の椅子の形状を装い、各部(座面、脚、背もたれなど)の在り方の差異を無くそうとした。
椅子にドットを施すために、すべての表面にメラミン板を貼り、特殊なルーターで均一に球状の穴をあけた。そうすることで、各部の在り方は更に均質になる一方、いわゆる椅子の触感は激変した。

※以下の写真はクリックで拡大します

以下、建築家によるテキストです。

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LYR

今日まで様々な椅子がデザインされてきた。その形状は、数え切れないほどの種類があり、すでに形自体に大した意味はなくなりつつある。かといって、単純に素材だけで、新しい椅子の在り方という問題を乗り越えられるわけではないであろう。
ある時はその存在自体がありふれた風景の一部になり、またある時はその存在が異常に存在感を表徴する。そんな椅子が作れないかと思っている。

ドット(斑点)が、与えられる対象とは全く無関係に、あるモノの表面を覆い尽くしたらどうなるであろうか? 絵画やグラフィックデザインではよくあることかもしれないが、それが家具や建築のレベルで立体的に表面を侵食したら、そのモノ、空間自体がどのように変容するのであろうか? 

変容の様子を素直に見届けるため、椅子の形状は出来るだけ普通のものとし、素地は出来るだけ白い木肌でかつ硬い木質を持つハードメープルを使用。すべての厚みを40mmに統一することで、出来るだけ見慣れた普通の椅子の形状を装い、各部(座面、脚、背もたれなど)の在り方の差異を無くそうとした。
椅子にドットを施すために、すべての表面にメラミン板を貼り、特殊なルーターで均一に球状の穴をあけた。そうすることで、各部の在り方は更に均質になる一方、いわゆる椅子の触感は激変した。

球状にあけられた穴からは、素地のハードメープルが見え、そして感じることもできる。表面のメラミン板は、経年による多少の色のくすみはあるものの、大きな色の変化は起こらない。それに対し、穴から見えるハードメープルは、無塗装にすることで、色などが経年変化していく。メラミン板を白にしたのも、当初のハードメープルの白さから経年変化していく際の色のコントラストを少しでも際立たせるためである。

ドットのような単純なグラフィックが、ある対象を覆い尽くすことは、その対象の存在を希薄にすると同時に顕著にもし、その対象の存在自体の在り方を問うであろう。
平面的なグラフィックと違い、ドットが球体として、立体的にあるものを均質にくり抜くことで、くり抜く球体と、くり抜かれた対象の間で、ポジとネガの関係が発生し、その関係は見方によっては反転もする。
つまり我々は、そこに残された物質的な白い椅子を見ると同時に、くり抜かれたいくつもの球体という立体的なグラフィックパターンの虚体群を想像することも可能である。
ドットに意識を集中すると、椅子はありふれた普通の椅子として意識から遠ざかり、風景へと溶け込んでいく。また白い地の部分に意識を集中すれば、ドットの施された椅子は、普通とはかけ離れた、あまりにも異様な椅子に見えてくる。
この椅子は、そういった意識と無意識の狭間を漂い続ける。
今後この実験家具は、机などにも展開していく予定である。

■作品概要
製作年:2018年
デザイン:大松俊紀(大松俊紀アトリエ)
製作:フルスイング
主材及び仕上げ:ハードメープル、メラミン板(AICA CORE「C-6000BG」)
撮影:清田千裕


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