藤井亮介建築研究所が設計した、沖縄・中頭郡のアパレルショップ「Chocolate Jesus」です。店舗の公式サイトはこちら。
スケートボードの起源については諸説あるが、サーファー達が波のない時、サーフィンの代わりとして木の箱に車輪を付けて道路で遊んだのが始まりとされている。
陸にあがったサーファー(のちのスケーター)たちは海には戻らず、そのままその道具を使って街に繰り出し、そこにある段差やスロープをコースに見立てて滑走した。波を待つのではなく、街を立体的に読み解くことで、自らの手で都市の中に波(コース)を見出したのだ。
それがスポーツへと発展する過程で、街の中にある複雑な立体をより抽象的な形状へと変容させたのが現代のスケートパークにつながっている。パークの代表的な造形でもあるボックス(段差を使った技などをするための直方体の箱)やランプ(曲面のスロープ)などは、階段や坂道など都市のランドスケープの読み替えの産物であるとも言える。
ここでは読み替えの集積でもあるスケートパークのランプをさらに読み替え、ショップ内のランドスケープとして還元することにした。
このようにスケートボードの文化を読み替えしてつくられた空間は、当然のことながらさらに読み替え可能である。実際この場所は単なるリテールショップではなく、カフェやイベントスペースなどの複合用途が想定されており、機能ごとの境界も流動的なので、随時読み替えをしながら使われていくことが考えられる。
スケーターたちが紡いできた読み替えの文化に対し、この空間が新たな読み替えの土壌になることを願っている。