大島碧+小松大祐 / 風景研究所が設計した、静岡・富士宮市のオフィス「富士の裾庭」です。職人達の休憩所兼事務所で身体と心を緩める場所として構想、敷地内の溶岩の断面を転写したパターンでスクリーンを作成し、採光しつつ周辺環境から切り離し空間と富士の空気をつなぎ直すことが意図されました。
敷地は静岡県富士宮にある。クレーン工場の職人たちの休憩所および事務所としての機能が求められた。
光を採り入れつつ、周囲の環境から切り離し、富士の空気とつなぎ直して、職人たちがひと時身体と心を緩めるような場所ができないかと考えた。敷地を歩き回ると、真っ黒の溶岩が廃材と一緒くたに無造作に置かれていた。岩を割ってみると、青みを帯びた灰色の面に、冷えて固まった気泡のパターンが現れた。
庭はスカートのドレープのような三次曲面のFRPパネルで囲まれている。パネルには、拾ってきた溶岩の断面を転写して作ったパターンをあて、工場の職人たちが仕事の合間に穴を開けてくれた。割られた岩たちは庭の飛石になった。西向きの庭とトップライトによって、内部空間に入る光は一日中変化し続ける。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は静岡県富士宮にある。クレーン工場の職人たちの休憩所および事務所としての機能が求められた。
晴れた日にはこの場所からは富士山が望めるが、点在する民家が全景としての富士の姿を遮っている。工場・クレーン・駐車場・隣家とその畑など、雑然としたよりどころのない景色が次々に目に入ってくる。
光を採り入れつつ、周囲の環境から切り離し、富士の空気とつなぎ直して、職人たちがひと時身体と心を緩めるような場所ができないかと考えた。敷地を歩き回ると、真っ黒の溶岩が廃材と一緒くたに無造作に置かれていた。岩を割ってみると、青みを帯びた灰色の面に、冷えて固まった気泡のパターンが現れた。
庭はスカートのドレープのような三次曲面のFRPパネルで囲まれている。パネルには、拾ってきた溶岩の断面を転写して作ったパターンをあて、工場の職人たちが仕事の合間に穴を開けてくれた。割られた岩たちは庭の飛石になった。西向きの庭とトップライトによって、内部空間に入る光は一日中変化し続ける。
午前中はトップライトから斜めに光が差し、午後になるとパネルを通過した光が室内に入ってくる。
溶岩の気泡から落ちる無数の光の粒が空間を満たすとき、この場所はふたたび富士の裾野の一端となる。
■建築概要
所在地:静岡県富士宮市
用途:オフィス
延床面積:96㎡
設計:風景研究所
構造:木造
協力:AOI Landscape Design(ランドスケープ設計)
施工:桐山(建築)、永代機械工業株式会社(FRP)
写真:升本尚希