小林一行+樫村芙実 / テレインアーキテクツが設計した、ウガンダ・ナンサナの教育施設「TERAKOYA」です。
親を亡くした子供達が通う学校の計画、大らかで自発的利用を促す場所を求めて周辺スケールと呼応する5m角ユニットを構成した建築を考案、教室とテラスの空間が相互に補完し合い様々な状況に応える事が意図されました。
ウガンダの首都郊外に計画された学校である。
クライアントであるNGOは、親を亡くした子どもたちのために初等教育支援「TERAKOYA」事業を行ってきた。
サポートを必要とする子どもたちの増加に伴い、教室の拡張・新築を行なった。年齢、学習の習熟度、家庭環境の異なる子どもへの授業のみならず、ダンスや音楽などの活動、養育者への職業訓練やカウンセリング等、活動は多岐にわたる。想定される全て対応することを考えるのではなく、「今日は木陰で授業をしよう」というような、おおらかで自発的な利用を促すような場所のあり方を探っていった。
敷地は、比較的小さなスケールの住宅が建ち並ぶ緩やかな丘陵地にあり、東西に細長く、長手に沿って傾斜を持つ。周辺のスケールに近い小さな屋根を連続させることで、傾斜を吸収しつつ、繋がったり離れたりする空間──ひとつだけでは小さく、機能を満たすには少し足りない「未」完成のユニットが互いに補い合うことで、周辺の環境と共に全体をつくれないだろうかと考えた。
屋根は5m四方に組まれた架構の上に載る。上屋は妻面のハイサイドで2方向から光を採り、下屋は隣の上屋から流れてくる雨水を受ける。煉瓦壁と建具によって閉じることのできる5つの「教室」は、屋根のみが架かり四方に常に開いている隣の「テラス」、さらに隣の「教室」とも繋がっていく。
一見ランダムに配置されたように見える23のユニットは、教室とテラス(内部と外部)という関係だけではなく、時には教室がステージの袖になったり、はたまた3つのユニットが繋がった大きい部屋になったりと、互いに機能と環境を補完し合う関係となることで、全体が出来上がっていった。