竹口健太郎+山本麻子 / アルファヴィルによる、京都・上京区の住宅「New Kyoto Town House 4」。国内外を活発に移動する施主家族の家。高密度化する都市で求められた“外部空間”を作る為に、傾いた軸の“立体的に配置された坪庭”を考案。四方へ広がる空間を感じさせ“新しい表情”を切り取る photo©矢野紀行
竹口健太郎+山本麻子 / アルファヴィルによる、京都・上京区の住宅「New Kyoto Town House 4」。国内外を活発に移動する施主家族の家。高密度化する都市で求められた“外部空間”を作る為に、傾いた軸の“立体的に配置された坪庭”を考案。四方へ広がる空間を感じさせ“新しい表情”を切り取る photo©矢野紀行
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竹口健太郎+山本麻子 / アルファヴィル が設計した、京都・上京区の住宅「New Kyoto Town House 4」です。
国内外を活発に移動する施主家族の家として計画されました。建築家は、高密度化する都市で求められた“外部空間”を作る為に、傾いた軸の“立体的に配置された坪庭”を考案しました。そして、四方へ広がる空間を感じさせ“新しい表情”を切り取りました。
京都は従来、短冊状の敷地に町家が軒を並べる平面的高密度である一方、低層建物が並ぶ断面的低密度であるため、通り庭や坪庭といった外部空間を平面的に配置することで、豊かな住空間を確保してきた。しかし現在、平面的高密度は変わらない中、断面的には中・高層建物が求められるようになり、住宅にも街の特質を活かしながら、新しい状況に有効な外部空間の取り入れ方を工夫しなくてはならない。
住まい手は日本人家族だが、アメリカでビジネスを展開しながら、日本で学校へ通い、長期休暇はアメリカで過ごすといったように、この家は大きなサイクルのひとつの拠点であり、そのような生活の舞台となることが望まれた。そこで、パティオ、テラス、光庭といったアクティブな家族が必要とする外部空間を、住宅から立体的に削り取り、この削り取ったところを中心に展開する生活を考えた。
削り取りの補助線として、敷地の対角線方向、住宅が面する賑やかな寺町通りへと広がるよう、都市グリッドに傾いた軸を導入して、室内から外部空間越しに街へと視線が広がり、光や風が通り抜ける。立体的に配置された坪庭である。人や視線や自然を通過させるために、傾いた軸上には耐力壁ではなく、片がけブレースを1階から3階まで連続させた。
これらの外部空間はそれぞれが多角形のプリズムのように働いて、細長い住宅の中に暮らす人に、奥深かったり、空へ抜けたり、街をはすかいに見おろしたり、四方八方へ広がる空間を感じさせ、また、京都を新しい表情で切り取っている。
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竹口健太郎+山本麻子 / アルファヴィルによる、京都・上京区の住宅「New Kyoto Town House 4」。国内外を活発に移動する施主家族の家。高密度化する都市で求められた“外部空間”を作る為に、傾いた軸の“立体的に配置された坪庭”を考案。四方へ広がる空間を感じさせ“新しい表情”を切り取る photo©矢野紀行
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以下、建築家によるテキストです。
竹口健太郎+山本麻子によるテキスト「坪庭を積み重ねる」
京都は従来、短冊状の敷地に町家が軒を並べる平面的高密度である一方、低層建物が並ぶ断面的低密度であるため、通り庭や坪庭といった外部空間を平面的に配置することで、豊かな住空間を確保してきた。しかし現在、平面的高密度は変わらない中、断面的には中・高層建物が求められるようになり、住宅にも街の特質を活かしながら、新しい状況に有効な外部空間の取り入れ方を工夫しなくてはならない。
住まい手は日本人家族だが、アメリカでビジネスを展開しながら、日本で学校へ通い、長期休暇はアメリカで過ごすといったように、この家は大きなサイクルのひとつの拠点であり、そのような生活の舞台となることが望まれた。そこで、パティオ、テラス、光庭といったアクティブな家族が必要とする外部空間を、住宅から立体的に削り取り、この削り取ったところを中心に展開する生活を考えた。
削り取りの補助線として、敷地の対角線方向、住宅が面する賑やかな寺町通りへと広がるよう、都市グリッドに傾いた軸を導入して、室内から外部空間越しに街へと視線が広がり、光や風が通り抜ける。立体的に配置された坪庭である。人や視線や自然を通過させるために、傾いた軸上には耐力壁ではなく、片がけブレースを1階から3階まで連続させた。
これらの外部空間はそれぞれが多角形のプリズムのように働いて、細長い住宅の中に暮らす人に、奥深かったり、空へ抜けたり、街をはすかいに見おろしたり、四方八方へ広がる空間を感じさせ、また、京都を新しい表情で切り取っている。
柳室純によるテキスト「空間の質に呼応するブレース」
前後のスキップフロアを、中央吹抜部の階段やスロープで連結する構成は、これまでのNEW KYOTO TOWN HOUSEを踏襲している。今回注力したのは、オーソドックスな町屋のボリュームとは別の論理で中央吹抜け部に挿入される、ボイド空間(パティオ、テラス、光庭)を引き立てることであった。
部屋が多く壁のある道路側と奥側のゾーンでは、ブレースを壁内へ配置し「ブレース=壁」とする一方、中央吹抜け部では、ボイド空間の独立性を保持するためブレース現しとすることを是とし、スタンスを大きくとることで片がけブレースを用い、人が通り抜けられる「ブレース≠壁」とすることで、空間の質に呼応した使い分けを試みた。
■建築概要
作品名:New Kyoto Town House 4
住所:京都市上京区
主要用途:一戸建ての住宅
設計:竹口健太郎+山本麻子/アルファヴィル
担当:竹口健太郎 山本麻子 前岡光一
構造:柳室純構造設計 担当/柳室純
施工:株式会社カミゾノ工務店 担当/神薗弘伸
設備:ミズキ総合設備 担当/板東廣行
電気:株式会社松浦電気商会 担当/松浦秀樹
大工:白樫工務店 担当/白樫忠司
家具:カタオカ工芸株式会社 担当/片岡厚志
板金:株式会社一板金 担当/板倉一晃
左官:有限会社上田左官店 担当/板橋良和
サイディング:有限会社巧人舎 担当/太田勝
家族構成:4名
階数:地上3階
主体構造・構法:在来軸組工法
基礎:べた基礎
敷地面積:122.09m2
建築面積:92.66m2(建蔽率75.90% 許容80%)
延床面積:218.95m2(容積率179.32% 許容300%)
1階床面積:90.54m2
2階床面積:90.94m2
3階床面積:37.47m2
軒高:8850mm
最高の高さ:9080mm
設計期間:2018年4月~2018年12月
工事期間:2019年1月~2019年8月
撮影:矢野紀行