鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 俯瞰 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 南側外観 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、リビング photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、キッチンとダイニング photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所 が設計した、愛知の「M邸」です。
3世代が住み継いだ家の増改築です。建築家は、住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案しました。また、合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示されています。
3世代に住み継がれてきた土地の中央に築55年の家が建ち、南側には木造小屋(築40年)と庭、北側には1台分の駐車場があった。
当初の家主である今回の建主の祖父は設計者で、当時は仕事で不在が多く、家族を守るため家を頑丈な壁式RC造で建てた。その目論み見通り、躯体は今尚健全な状態だった。
継承可能な躯体に対し、南側を覆う木造小屋と生い茂った樹々による閉塞性と設備の老朽化、管理しきれない庭や駐車場不足があり、建主が求める住環境(広さ・開放性)と機能面(設備・駐車場3台)を備えるために、RC躯体を残し増改築することになった。
工場やアパート、交通量の多い裏道に面した雑多な周辺環境や、大胆な改修が不向きな壁式構造という状況の中で、周辺から守ると同時に開き、家全体を開放的にする増築のあり方を考えた末、南面の外構を整えるように増築を考えていくことにした。
RC棟南面を、駐車場を外して間口いっぱいに木塀でぐるりと囲み、西側半分を庭、東側をダイニングキッチンとする。ダイニングは4本の壁柱で天井が高く持ち上げられた開放的な場所とし、キッチンのうえに住空間を包み込むようなL型の勾配屋根を架けた。
勾配屋根と木塀は周辺環境から開く・閉じるべき方向を見定め、寸法を決定。既存バルコニーは一部解体し、その端部を既存と同断面のR形状でつくり、造形の独立性を強調した。また、既設のバルコニーと新設の木塀、勾配屋根、壁柱が同等の存在感になるように、それぞれのスケールと造形、仕上げを検討した。
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鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 俯瞰 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 俯瞰 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 北側外観 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 東側外観 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 東側外観 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 南側外観 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 南側外観 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 南側外観 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 南側外観 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、玄関 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、和室 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ホール photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ホール photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、左:リビング、右:ホール photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、リビング photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニングとキッチン photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、キッチンとダイニング photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、キッチンとダイニング photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニングから外部を見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニングから外部を見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニング photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニング photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、キッチン photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、キッチンとダイニング photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニングから2階のベランダを見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニングから2階のベランダを見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 庭とキッチンの詳細 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニングからリビングを見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、キッチンからダイニングとリビングを見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 1階、ダイニングからリビングを見る。 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 庭から増築部を見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 増築部、北側外観 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 増築部、詳細 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 2階への階段 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 2階への階段 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 階段の詳細 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 2階、子供室2から外部を見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 2階、ベランダから増築部の方を見る。 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 左:既存RC部、右:増築棟 photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 平面図 image©鈴木隆介一級建築士事務所
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 断面図 image©鈴木隆介一級建築士事務所
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示 既存写真 image©鈴木隆介一級建築士事務所
以下、建築家によるテキストです。
外構を増築する
3世代に住み継がれてきた土地の中央に築55年の家が建ち、南側には木造小屋(築40年)と庭、北側には1台分の駐車場があった。
当初の家主である今回の建主の祖父は設計者で、当時は仕事で不在が多く、家族を守るため家を頑丈な壁式RC造で建てた。その目論み見通り、躯体は今尚健全な状態だった。
継承可能な躯体に対し、南側を覆う木造小屋と生い茂った樹々による閉塞性と設備の老朽化、管理しきれない庭や駐車場不足があり、建主が求める住環境(広さ・開放性)と機能面(設備・駐車場3台)を備えるために、RC躯体を残し増改築することになった。
必要面積130㎡に対しRC棟は105㎡なので、RC棟内では更新しにくい水回り設備が入るダイニングキッチン棟(16㎡)と洗面浴室棟(9㎡)の計25㎡を増築し、設備が軽いリビングと個室はRC棟に配置した。
工場やアパート、交通量の多い裏道に面した雑多な周辺環境や、大胆な改修が不向きな壁式構造という状況の中で、周辺から守ると同時に開き、家全体を開放的にする増築のあり方を考えた末、南面の外構を整えるように増築を考えていくことにした。
RC棟南面を、駐車場を外して間口いっぱいに木塀でぐるりと囲み、西側半分を庭、東側をダイニングキッチンとする。ダイニングは4本の壁柱で天井が高く持ち上げられた開放的な場所とし、キッチンのうえに住空間を包み込むようなL型の勾配屋根を架けた。
勾配屋根と木塀は周辺環境から開く・閉じるべき方向を見定め、寸法を決定。既存バルコニーは一部解体し、その端部を既存と同断面のR形状でつくり、造形の独立性を強調した。また、既設のバルコニーと新設の木塀、勾配屋根、壁柱が同等の存在感になるように、それぞれのスケールと造形、仕上げを検討した。
RC棟の南側をバルコニー、勾配屋根、木塀、壁柱で囲まれた親密な雰囲気がありながら、それぞれの隙間から大きく外が入り込んでくる開放的な場所でもある。RC棟南側のリビングや個室から外を見ると、外構に計画された部位の一部が断片的に見えて全体性を感じられる。堅牢な躯体で各部屋の繋がりが無く閉塞的だった家を柔らかく解きほぐし、光や家族の気配を奥まで導く明るい環境をつくるための、外構のような増築のあり方を目指した。
増改築の可能性
既存は建設会社の設計部に勤めていた建主の祖父によって設計され1968年に建設された。
本物件は建て替えから計画がスタートしたが、既存躯体の状態の良さとRC住宅の解体に掛かる費用(600~700万円)から増築も提案し、採用に至った。旧耐震RC造への増築で確認申請を出すには、耐震診断(中性化・圧縮試験)を行う必要があるため、既存躯体をコア抜きし、試験をした。
既存部と増築部の2棟でひとつの住宅になる増築は、新築よりも合理的に複雑で多様な場をつくることができ、単純な改修よりも計画の自由度が高い。住宅を計画するときの選択肢として、増改築という選択に可能性を感じた。
■建築概要
作品タイトル:M邸
住所:愛知県
設計:鈴木隆介一級建築士事務所
担当:鈴木隆介
施工:誠和建設
構造:小松宏年構造設計事務所
担当:小松宏年
地域地区:第一種住居地域 22条区域
道路幅員:西面4.645m
駐車台数:3台
階数:地上2階
敷地面積:210.50m2
建築面積:81.26m2(既存53.79m2+増築27.47m2)(建蔽率38.61% 許容60%)
延床面積:131.73m2(既存105.99m2+増築25.74m2)(容積率62.58% 許容185.8%)
1階:79.53m2
2階:52.20m2
設計期間:2020年10月〜2022年4月
工事期間:2022年5月〜2023年3月
写真:RYUSUKE SUZUKI、TAKASHI UEMURA
建材情報 種別 使用箇所 商品名(メーカー名) 外装・壁 外壁 桧羽目板 t15mm(野地木材工業 )
オスモ塗装
ガルバリウム鋼板
外装・屋根 屋根 ガルバリウム鋼板
外装・建具 開口部 樹脂複合サッシ
内装・床 キッチン床 フレンチオーク複合フローリング(東京公営 )
内装・壁 キッチン壁 桧羽目板 t12mm(野地木材工業 )
オスモ塗装
内装・天井 キッチン天井 PB t9.5mm EP
内装・床 ダイニング床 フレンチオーク複合フローリング(東京公営 )
内装・壁 ダイニング壁 PB t12.5mm シルバー塗装
内装・天井 ダイニング天井 PB t9.5mm EP
内装・床 リビング・ホール・トイレ・洗面所床 フレンチオーク複合フローリング(東京公営 )
内装・壁 リビング・ホール・トイレ・洗面所壁 PB t12.5mm クロス貼り
内装・天井 リビング・ホール・トイレ・洗面所天井 PB t9.5mm クロス貼り
内装・床 浴室床 サーモタイル
内装・壁 浴室壁 バスパネルU
内装・天井 浴室天井 バスパネルU
内装・床 寝室・子供室1、2床 カバ無垢フローリング t12mm
内装・壁 寝室・子供室1、2壁 PB t12.5mm クロス貼り
内装・天井 寝室・子供室1、2天井 PB t9.5mm クロス貼り
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This project is the renovation of a 55-year-old house that has been passed down for three generations. The original house was built with strong wall-type reinforced concrete by the grandfather of the current owner to protect his family. However, the wooden cabin, unmanageable garden, and insufficient parking space posed challenges for the current owner, who wanted a spacious and open living environment. The decision was made to expand and renovate while preserving the RC structure. The south side was expanded to create a protective yet open living space. A wooden fence was added to enclose the southern facade, and an L-shaped sloping roof was constructed to envelop the living space above the kitchen. The design aimed to create a bright living environment that softens and opens up the previously closed-off house with a robust structure.