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堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る
photo©朱潤資

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architecture|feature
上海中国北京炎黄設計院図面あり堤由匡店舗建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・床)朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る外観、夜景 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る2階、シューズディスプレイ photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る3階、イベントスペース photo©朱潤資

堤由匡建築設計工作室が設計した、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」です。
洋風建物に入居する日本のブランドの店です。建築家は、空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案しました。また、各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気を作る事も意図されました。

上海で最も開発が進んでいる淮海中路のエリアに1921年に建てられたスペインバロック様式の歴史建築物群が残っている。
スポーツブランドのアシックスがここにフラッグショップを出店することになり、我々がコンペにより指名を受けた。

大都市上海、中華民国時代の洋風建築物、日本発のスポーツブランド。多岐にわたる価値観が混ざり合う中で、普遍性を持ちうる力強い空間を作ることが我々の最大の目標であった。

建築家によるテキストより

既存の建築は、3階建てで細かい部屋に分かれており、さらに前後で高さが異なる複雑な構成であった。我々は、いかに顧客を奥へ、上階へと誘うかということを重点的に検討した。前後を隔てる壁は全て撤去してスキップフロアとして移動できるようにし、フロアの一部に大きな吹き抜けを設け、アシックスの代表的なロゴ「アシックス・スパイラル」を意識した螺旋階段を設置することにした。

建築家によるテキストより

1階は主にシューズがディスプレイされる。テクノロジーに裏付けされた商品にふさわしいインダストリアルな空間を意識し、テラゾー、木毛セメント板、鏡面ステンレス、木目プリントのアルミルーバーなどの工業製品を採用し、壁面にはLEDディスプレイを設置した。シューズ売り場は木毛セメント板の半円形の壁面で覆われ、発光するアクリル板上に商品が陳列される。
鏡面ステンレスの天井により発光アクリル板が反復され、近未来的な売り場を作り出す。奥には試着室があり、エンボス加工のステンレスが青白い光で照らされ、海中のような不思議な体験をすることができる。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る外観 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階、アパレル売場 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階、アパレル売場 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階、シューズ売場 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階、シューズ売場 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階、シューズ売場 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階、シューズ売場 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階、試着室の出入口 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階、試着室 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る2階、シューズディスプレイ photo©朱潤資
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堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る2階、アパレル売場 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る2階、アパレル売場 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る2階、天井の詳細 photo©朱潤資
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堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る3階、イベントスペース photo©朱潤資
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堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る3階、イベントスペース photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る3階、イベントスペース photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る階段室からイベントスペースを見る。 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る外観、夜景 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る1階平面図 image©堤由匡建築設計工作室
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る2階平面図 image©堤由匡建築設計工作室
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る3階平面図 image©堤由匡建築設計工作室
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る断面図 image©堤由匡建築設計工作室
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る断面図 image©堤由匡建築設計工作室
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る断面図 image©堤由匡建築設計工作室
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作るドローイング image©堤由匡建築設計工作室

以下、建築家によるテキストです。


上海で最も開発が進んでいる淮海中路のエリアに1921年に建てられたスペインバロック様式の歴史建築物群が残っている。
スポーツブランドのアシックスがここにフラッグショップを出店することになり、我々がコンペにより指名を受けた。

大都市上海、中華民国時代の洋風建築物、日本発のスポーツブランド。多岐にわたる価値観が混ざり合う中で、普遍性を持ちうる力強い空間を作ることが我々の最大の目標であった。

既存の建築は、3階建てで細かい部屋に分かれており、さらに前後で高さが異なる複雑な構成であった。我々は、いかに顧客を奥へ、上階へと誘うかということを重点的に検討した。前後を隔てる壁は全て撤去してスキップフロアとして移動できるようにし、フロアの一部に大きな吹き抜けを設け、アシックスの代表的なロゴ「アシックス・スパイラル」を意識した螺旋階段を設置することにした。

1階は主にシューズがディスプレイされる。テクノロジーに裏付けされた商品にふさわしいインダストリアルな空間を意識し、テラゾー、木毛セメント板、鏡面ステンレス、木目プリントのアルミルーバーなどの工業製品を採用し、壁面にはLEDディスプレイを設置した。シューズ売り場は木毛セメント板の半円形の壁面で覆われ、発光するアクリル板上に商品が陳列される。
鏡面ステンレスの天井により発光アクリル板が反復され、近未来的な売り場を作り出す。奥には試着室があり、エンボス加工のステンレスが青白い光で照らされ、海中のような不思議な体験をすることができる。

2階はライフスタイルに合わせたアパレル売り場であるため、比較的落ち着いた空間を目指した。天井は木毛セメント板に木目アルミで作った格天井とし、天井際にライン照明を仕込んでスポーツブランドらしい躍動感をイメージした。半階下がったエリアはシーズン毎にテーマが変わるイベントスペースとなっており、売り場とはガラス棚板の透過性のある什器で仕切られている。

3階は既存建物の構造を活かしたVIP用のイベントスペースとなっている。1、2階と異なり落ち着いた雰囲気とするため、ウォールナットと真鍮を組み合わせた空間とした。真鍮色のエキスパンドメタルが天井、螺旋階段の周囲、ディスプレイの背板などに張られ、照明を当てることで柔らかな高級感を出している。外観のスペイン・バロック様式にも調和した、懐古的な空間となっている。

■建築概要
題名:ASICS上海尚賢坊フラッグストア
所在地:上海市
主用途:店舗
設計:堤由匡建築設計工作室
担当:堤由匡、明達、洪秀秀、肖陽
設備設計:北京炎黄設計院
構造設計:北京炎黄設計院
建築施工:上海住安建設発展股分有限公司
インテリア施工:上海晨一装飾工程有限公司
照明デザイン:HDA(石岡真己子)
什器制作:上海冬承道具制作有限公司
構造:RC造+木造
階数:地上3階
延床面積:621㎡
設計:2020年10月~2021年5月
工事:2021年10月~2022年9月
竣工:2022年9月21日
写真:朱潤資

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
内装・床1階 床

テラゾータイル

内装・壁1階売場 壁

木毛セメント板

内装・天井1階売場 天井

杢目プリントアルミ格子

内装・天井1階シューズ売場 天井

鏡面ステンレス

内装・天井1階試着室 天井

エンボス加工鏡面ステンレス

内装・床2階 床

テラゾータイル

内装・壁2階 壁

テラゾータイル

内装・床3階 床

モルタル調タイル

内装・壁3階 壁

ウォールナット柾目突板
真鍮色エキスパンドメタル

内装・壁3階イベントスペース 壁

木毛セメント板

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