五十嵐理人 / IGArchitectsが設計した、埼玉の「市松の家」です。
住宅街の角地に計画されました。建築家は、暮らしの変化に柔軟に応える存在を目指し、諸機能を収めた“大きな壁柱”を対角線上に配置してスラブを片持ちで支える建築を考案しました。そして、柱と床を行き来して“思い思いの場で生活できる”空間を作りました。
3人家族のためのRC造の住宅。
将来の家族の変化や、経営されているお店の移転など、暮らしの変化に柔軟に対応できることを求められた。
角地の敷地の、隅切り部とその対角に住宅の規模には一見不釣り合いなコンクリートの大きな壁柱を建てた。この壁柱の中にはエントランス、浴室、トイレ、収納といった、大きな開口部を必要としないプライベートな機能と、空調・電気配線・配管が格納されている。
壁柱の外に掛けられた床と屋根には基礎や柱はなく、2本の柱から枝葉のようにキャンチレバーで支えられている。壁柱とスラブが、樹木の幹と葉の関係のようになっている。
内部は一筆書きのように、奥に行くほどプライベートな空間になっていて、まるで鳥の枝移りのようにこの柱と床の間を移動しながら、思い思いの場所で生活ができるように計画されている。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
3人家族のためのRC造の住宅。
将来の家族の変化や、経営されているお店の移転など、暮らしの変化に柔軟に対応できることを求められた。
角地の敷地の、隅切り部とその対角に住宅の規模には一見不釣り合いなコンクリートの大きな壁柱を建てた。この壁柱の中にはエントランス、浴室、トイレ、収納といった、大きな開口部を必要としないプライベートな機能と、空調・電気配線・配管が格納されている。
壁柱の外に掛けられた床と屋根には基礎や柱はなく、2本の柱から枝葉のようにキャンチレバーで支えられている。壁柱とスラブが、樹木の幹と葉の関係のようになっている。
内部は一筆書きのように、奥に行くほどプライベートな空間になっていて、まるで鳥の枝移りのようにこの柱と床の間を移動しながら、思い思いの場所で生活ができるように計画されている。
市松状に配置された2本のコンクリートの壁柱と、断面的にずらしてかけられた床がつくりだす距離感が、どの部屋にいても「その向こう側」を知覚させ、外壁の不透明なガラスによってそれは外部にまで延長されていく。各部屋がその目的と意味を超えて、相互に関係づけられながら全体の空間を分割し、外部空間にまで広がっていく。
単純な立方体の建物だが、奥性を持つ豊かな内部空間とそれに呼応する外観を持つ建築になっている。
■建築概要
名称:市松の家
所在地:埼玉県
構造規模:RC造 2階建
用途:戸建ての住宅
設計監理:IGArchitects 五十嵐理人
構造:EQSD一級建築士事務所 三崎洋輔
施工:新建築工房有限会社 新昌伸
造作家具:株式会社小森工務店
敷地面積:57.34㎡
建築面積:36.00㎡
延べ面積:71.68㎡
設計期間:2021年10月~2022年10月
工事期間:2022年11月~2023年7月
竣工:2023年8月
写真:合同会社神宮巨樹 神宮巨樹