HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ外観、南西側の道路より見る。 photo©高野ユリカ
HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ1階、「くつろぐ」から階段越しに「たべる」を見る。 photo©高野ユリカ
HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ2階、「たべる」から「つくる」を見る。 photo©高野ユリカ
伊波航+玉木浩太+ジュリア・リ・カ・イー+林盛 / HUNEが設計した、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」です。
神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画です。建築家は、其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案しました。そして、全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保っています。
幕屋とは、幕を張って布を押し上げて空間を作った簡易なテント式の小屋である。
古くから住居として建てられてきたと同時に、神が住まいとして、人と出会う場所として作られ、人間の身体そのものとしてもとらえられてきた。
力の抜けた布がだらりと降りて場所ができるように、人間の活動と自然の力学のバランスによってつくられる仮設の幕屋の空間を、住まうための「家」として建築した。
「大森の幕屋」は両親2人、子供2人の4人家族のための小さな2階建ての木造住宅である。
家族がそれぞれの趣味を持っており、お互い干渉し過ぎることなく、それぞれの時間を楽しめる住宅を望んだ。
敷地はJRの線路に面した狭い道路から小道を入ったところにある。
線路側から徐々に上る前面道路の勾配に合わせて、寝室を半層ずらしながらL字に配置した。
寝室の上に、くつろぐための低い場所、家族が集まって食事をする食堂、趣味のための作業スペースを階段に沿って離散的に積層させ、狭さを感じさせない広がりのある空間構成とした。
その上に、ゆったりと白い布をかぶせるように、屋根を架けている。
中央の柱で屋根をぐっと押し上げて棟を作り、そこから曲面を含む4枚の屋根を四周に向かって降ろすことで、屋根と床の距離感が常に変化する構成としている。
曲面の屋根は15mmの杉板を曲げて3枚重ねた薄板曲版構造としており、内部に光を拡散させるために白い塗装仕上げとした。
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HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ外観、南西側の道路より見る。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ外観、南西側の道路より見る。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ外観、屋根と壁の詳細 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ1階、「くつろぐ」から階段越しに「たべる」を見る。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ1階、「くつろぐ」から「たべる」への階段。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ2階、「たべる」から「つくる」を見る。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ2階、「たべる」から1階の「くつろぐ」を見下ろす。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ2階、「つくる」から1階の「くつろぐ」の壁面を見る。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ2階、「つくる」から1階の「くつろぐ」側を見る。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ2階、より上のフロアから「つくる」と「たべる」を見下ろす。 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ1階、個室「おとな」 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ1階、柱と天井 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ1階、カーテンと開口部 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ1階、カーテンと差し込む光 photo©高野ユリカ

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ1階平面図 image©HUNE

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ2階平面図 image©HUNE

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ断面図 image©HUNE

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ施工中の様子 photo©HUNE

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ施工中の様子 photo©HUNE

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ施工中の様子 photo©HUNE

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ施工中の様子 photo©HUNE

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ施工中の様子 photo©HUNE

HUNEによる、東京・品川区の住宅「大森の幕屋」。神の住まいでもあったテント式の小屋“幕屋”を参照した計画。其々が趣味を楽しめる住まいを求め、様々な用途のフロアを“離散的”に積層させる構成を考案。全体を“布の様な屋根”で覆って内外の距離も適切に保つ施工中の様子 photo©HUNE
以下、建築家によるテキストです。
建築としての幕屋
幕屋とは、幕を張って布を押し上げて空間を作った簡易なテント式の小屋である。
古くから住居として建てられてきたと同時に、神が住まいとして、人と出会う場所として作られ、人間の身体そのものとしてもとらえられてきた。
力の抜けた布がだらりと降りて場所ができるように、人間の活動と自然の力学のバランスによってつくられる仮設の幕屋の空間を、住まうための「家」として建築した。
「大森の幕屋」は両親2人、子供2人の4人家族のための小さな2階建ての木造住宅である。
家族がそれぞれの趣味を持っており、お互い干渉し過ぎることなく、それぞれの時間を楽しめる住宅を望んだ。
敷地はJRの線路に面した狭い道路から小道を入ったところにある。
線路側から徐々に上る前面道路の勾配に合わせて、寝室を半層ずらしながらL字に配置した。
寝室の上に、くつろぐための低い場所、家族が集まって食事をする食堂、趣味のための作業スペースを階段に沿って離散的に積層させ、狭さを感じさせない広がりのある空間構成とした。
その上に、ゆったりと白い布をかぶせるように、屋根を架けている。
中央の柱で屋根をぐっと押し上げて棟を作り、そこから曲面を含む4枚の屋根を四周に向かって降ろすことで、屋根と床の距離感が常に変化する構成としている。
曲面の屋根は15mmの杉板を曲げて3枚重ねた薄板曲版構造としており、内部に光を拡散させるために白い塗装仕上げとした。
玄関から階段を登っていくと、徐々に空間が目の前に現れ、屋根との距離と人の動きによって外との距離感が変わることが認識される住宅となった。
切り取られた屋根の隙間に開けた窓から光が入り込んで曲面の屋根を横から照らし、時刻ごとに変化していく光の色を空間全体に拡散させている。設計を通じて布の下にできた空間に家族それぞれが自分にとっての居場所を見つけて、それぞれが思い思いに過ごすような生活を想像した。
柔らかな屋根によって室内外の距離を適切に保つことで、線路の騒音や外界の喧騒から優しく守られた家族のための場所ができたように思う。
(伊波航、玉木浩太、Julia Li、林盛 / HUNE)
薄板積層木造曲面屋根の設計・製作・性能確認
テントのような薄い曲面屋根というイメージを木造で実現するにあたり、曲げた薄板を積層して厚さ40~50mm程度の曲面をつくることを提案した。
施工者との協議やモックアップ製作を通じて、幅300mm、厚さ15mmの杉板を3枚重ねとする案に決定し、屋根の曲率に合わせて曲げた単板を、目地をずらして重ねた上で、ビスと接着剤で一体化することで45mm厚の曲面集成板としている。
工場および現場にてMEMS加速度センサを用いて面外振動を計測したところ、15mm厚の単板と比較して45mm厚の曲面集成板の固有振動数は約2.5倍高くなっており、概ね40mm厚の単板と同等の面外曲げ剛性が発揮されていることが確認できた。
(Graph Studio 福島佳浩)
■建築概要
建物名称:大森の幕屋
所在地:東京都品川区大井
主要用途:専用住宅
家族構成:夫婦+子ども2人
設計:合同会社HUNE一級建築士事務所 担当/伊波航、玉木浩太、Julia Li、林盛
施工:(株)明昇進開発
構造設計:Graph Studio 担当/福島佳浩
環境設計:スタジオノラ 担当/谷口景一朗
テキスタイルデザイン:庄司はるか
プレカット:(株)ひらい 担当/岩本卓也
木工事:(有)カーペンタースタッフ、(株)明昇進開発
左官:さかん清水
塗装:(有)本橋塗装店 担当/芹澤宏樹
外構:中村工業
板金:(株)ダイムワカイ
電気:沖眞電設
設備:フジ設備
鋼製サッシ:三和ファサードラボ株式会社
主体構造・構法:木造軸組
基礎:ベタ基礎
階数:地下0階、地上2階
軒高:6,323mm
最高高さ:6,744mm
敷地面積:83.70㎡
建築面積:40.62㎡(建蔽率45%、許容60%)
延床面積:77.85㎡(容積率93%、許容150%)1階:40.52㎡、2階:37.33㎡
設計期間:2023年2月〜2024年8月
工事期間:2024年9月〜2025年4月