SHARE 河田将吾一級建築士事務所による「西蒲田の長屋」
河田将吾一級建築士事務所が設計した「西蒲田の長屋」です。
以下、建築家によるテキストです。
西蒲田の長屋
この度、東京都蒲田に設計したアパート「西蒲田の長屋」は、5つの住戸による単身者用の集合住宅で、それぞれの部屋の入口が道路に面する長屋形式の建物です。
各住戸は、ワンルームマンションのスペース(約22平米)を機能別に4分割し、玄関、サニタリー、ベッドルーム、キッチンの順にスキップフロア形式で積層したつくりとなっています。
屋上には個々の住戸から直接アクセスすることができるデッキがあり、住人たちの共有スペースとして機能します。
住戸と住戸を仕切る壁にはガラスブロックの界窓を設置し、照明光の明滅に隣人の気配を感じたり、出窓の外側に設けた植栽スペースに仕切りをなくし、各住戸の植物が浸食しあったりと、住人同士のゆるやかなつながりが生まれる仕掛けを随所に施しました。
さまざまな社会環境の変化に伴い、現在、家族という集合単位とは異なる新たな関係性による集合体が必要となっているように思います。
隣人の雰囲気がそれとなく伝わり、ゆるやかにつながっている状況―既存の共同住宅における個々の関係性でもなく、あるいはシェアハウスのようなとても近しい状態でもない、個が個として独立しながら共同体として存在する状況―を目指し、住居を起点とした新しい関係性の構築を提案します。