SHARE 青木茂建築工房が改修を手掛けた、岡山の「真庭市立中央図書館」
青木茂建築工房が改修を手掛けた、岡山の「真庭市立中央図書館」です。
地域の資産であるRC造3階建ての旧耐震建物をRC増設壁や鉄骨ブレースにより耐震補強し、堅牢で長寿命なスケルトンとし、市産材を活用したCLT(非耐力壁)や木ルーバーを使用した柔らかな木質インフィルで木材につつまれた図書空間を実現した。
既存スラブに穴を穿ち、薄暗い室内空間に光や上階との繋がりを持たせた。穿たれた穴によって、均一な既存空間に明るさや広がりのムラを持たせることによって、多様な場をつくった。書架やカウンター、テーブルなどの家具は市産材の台形集成材を使用し、木の肌触りを体感できる施設としている。
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以下、建築家によるテキストです。
地域の資産であるRC造3階建ての旧耐震建物をRC増設壁や鉄骨ブレースにより耐震補強し、堅牢で長寿命なスケルトンとし、市産材を活用したCLT(非耐力壁)や木ルーバーを使用した柔らかな木質インフィルで木材につつまれた図書空間を実現した。
既存スラブに穴を穿ち、薄暗い室内空間に光や上階との繋がりを持たせた。穿たれた穴によって、均一な既存空間に明るさや広がりのムラを持たせることによって、多様な場をつくった。書架やカウンター、テーブルなどの家具は市産材の台形集成材を使用し、木の肌触りを体感できる施設としている。
本図書館は伝統的な木造建築の立ち並ぶ勝山町並み保存地区に面している。
外観は、CLTを使用した庇や木ルーバーにより木のあたたかみを感じることの出来る計画とし、周囲の景観との連続性を表現すると同時に観光などで訪れた人々に真庭市の木材活用の取り組みを感じてもらう仕掛けとしている。
新設のカーテンウォールの裏側に見えるオレンジ色の既存のタイルは、そのまま残し、ガラスに反射する山並みと共にこの場所の風景の一部として扱った。
CLTや台形集成材、その他製材は市内業者での製材、加工、施工を行っており地産地消に貢献している。真庭市では、木質ペレットを使用したバイオマスエネルギー活用も推進しており、本図書館でもバイオマスボイラーを設置し、建材のみならずエネルギーにおいても木材を使用することで、持続可能な循環型社会の一躍を担っている。
敷地北側に設置したバイオマスボイラー棟は平屋のCLT造の建物としている。
本館インフィルの木材は杉と桧を使い分けている。CLTからルーバー、板材など様々に加工された杉及び桧材に直接触れることができ、建物そのものが木材教育の教材としても機能している。図書館機能だけではなく、子育て、観光、学習、市民活動を支える多様な場を持った広場のような図書館となった。
■建築概要
真庭市立中央図書館
所在地:岡山県真庭市勝山53-1
主要用途:図書館
建主:真庭市
建設年:昭和55年
工事着手時築年数:38年
既存建物資料の有無
確認済証:あり
検査済証:あり
既存図 :あり
構造計算書:あり
設計
建築・監理:青木茂建築工房
構造:金箱構造設計事務所
設備:森村設計
電気:森村設計
施工
建築:三木工務店・三和建設特定建設工事共同企業体
空調:三協商建
衛生:三協商建
電気:オオタ電業
規模
敷地面積:5,806.22m2
建築面積:1,942.39m2
延床面積:3,872.97m2
本館棟
1階:1,443.19m2(図書館)
2階:905.50m2(図書館)
3階:715.36m2(図書館)
R階:42.12m2(図書館)
合計:3,106.17m2
倉庫・旧会議室棟
1階:291.68m2(図書館)
2階:230.17m2(庁舎)
3階:177.97m2(庁舎)
合計:699.82m2
バイオマスボイラー棟
1階:44.03m2(図書館)
その他附帯施設
1階:22.95m2(図書館)
建蔽率:33.54%
容積率:64.35%
階数:地上3階 塔屋1階
寸法
最高高:15.75mm
軒高:14.97mm
階高:3,900mm〜4,200mm
天井高:2,300mm〜2,800mm
主なスパン:12,000mm×12,000mm
敷地条件
道路幅員:南11.45m 西4.5m〜7.3m
駐車台数:70台
法規上の制限
用途地域:近隣商業地域、第一種住居地域
法定建ぺい率:66.02%
法定容積率:200.00%
防火指定:指定なし
高度地区:指定なし
日影制限:あり
駐車付置:なし
斜線制限:隣地斜線、道路斜線
地区計画:22条区域、勝山町並み保存地区
都市計画:都市計画区域内
都市計画整理事業:なし
計画道路:なし
構造
主体構造:鉄骨鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
杭・基礎:杭基礎
設備
主な環境配慮技術
省エネ法
空調設備
空調方式:単一ダクト空調(木質ペレット焚吸収冷温水機+空冷ヒートポンプチラー)
個別空調(ヒートポンプパッケージ型エアコン)
衛生設備
給水:水道直結方式
給湯:個別給湯方式
排水:分流方式
電気設備
受電方式:一回線受電方式
設備容量:6.6KV
契約電力:240KVA
予備電源:ディーゼル発電機
防災:非常用放送設備、誘導灯設備、非常用照明設備、自火報設備
消火:屋内消火栓設備
排煙:機械排煙
昇降機:乗用2台
行程
設計期間:2016年3月〜2016年12月
施工期間:2017年6月〜2018年3月
工事費
総工費:約810,000,000円(備品別途)
外部仕上
屋根 :既存シート防水/改修用シート防水絶縁工法
外壁 :既存タイル/C-100×50×20×2.3@455/耐水コンパネt=12/アスファルトルーフィング940/
カラーGL鋼板t=0.4タテハゼ葺き
開口部:スチール製カーテンウォール、スチールサッシ、アルミサッシ
外構 :インターロッキング、アスファルト舗装
内部仕上
床 :タイルカーペット、無垢フローリング
壁 :曲面CLT板、不燃木板貼り、木ルーバー、クロス貼り
天井 :CLT板(エントランス庇)、不燃木板貼り、木ルーバー、クロス貼り
特記仕様: -