SHARE 解体が決まっている菊竹清訓の「旧都城市民会館」を、gluonのメンバーとして3次元スキャンした豊田啓介の連続ツイート
解体が決まっている菊竹清訓の「旧都城市民会館」を、gluonのメンバーとして3次元スキャンした豊田啓介の連続ツイートです。3次元スキャンのプロジェクトについてはこちらでどうぞ。
都城から帰京して思うこと。現代建築の名作であることは間違いないし保存できないのは本当に残念。いろいろな保存運動が価値を持つことも間違いないし、改修の可能性や価値化の試みも実際もっと在り得た選択肢はあっただろうとは思う。でも僕は今回実際あれを見て、解体されるべき建築だと思った。続)
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
事前にある程度調べて、驚くくらい低予算で建てられたホールであることも知っていた。でも実際行ってみて、ほんとあのすさまじいまでの違和感を伴う存在感は、内臓と骨格を晒したまま立っている生物未満の有機体としてのもので、一定期間だけ機能する前提で生み出された仮設建築物だと強く感じた。続)
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
そもそもあの外観は、通常のホール建築なら内壁を構成する部材がそのまま外壁になることを強いられている状態で、構造も本来はもう一重の外皮で囲われて、断熱や遮音その他様々な機能的サポートが必要な弱いものを直で晒すことでなんとか生きながらえている。ほんと凄まじい生き様曝してる。続)
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
その圧倒的な不足の中で、なんとかあの建物に生を与えようとした菊竹さんの設計にこれまでの皮相的な理解をはるかに超えた凄まじさを感じたし、あの不完全な、外皮なく内臓と骨格を風雨にさらすしかなかった不思議な生き物を、これだけの期間生きながらえさせてきたこと自体がすごいことだと。続)
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
現状遮音も断熱もなく、設備的な更新余地もない。あれを改修するとすると外皮をあらたに外側に作るか、今ある内臓を外皮に変換して内部に新しい内臓をつくるかが必要になるし、それに伴って新しい循環器も必要になる。確実に新築より高くつくし、それでも駐車場すらない。地方都市としては致命的。続)
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
あの内臓と骨格を外気に晒しながら生き続けた凄まじさを称えるなら、もうそっと休ませてあげたほうが、土に返してあげたほうがいい。今回いろいろ調査して、あらためてそう思った。保存延命ばかりが建築のためではない。あの建物はきれいに終わらせてあげるべき。続)
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
これからの時代、都市や建築という領域も物理的な場所や構造だけでは機能の一部しか担えないようになっていく。その中で多様なデータとして残ること、活用機会が拡張されることで新しい価値は物理的な存在という領域外にも広がっていく。むしろ建築界はそういう新しい領域開拓の指針を示すべき。続)
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
そういう意味で、今回の都城市の決定は僕は広い社会の持続性という観点から正しいことだと思うし、建築界はただモノの保存というところ(それは大事ではあるんだけど)以外にも、もっと柔軟に、もっと外の視点から拡張・貢献する姿勢を養っていくべきなんじゃないかとあらためて感じた。続)
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
それにしても、時代と状況の産物とはいえ、あの狂気、凄まじい生への執念を形にした設計には本当に尊敬と畏怖を感じた。あれは虫っぽいとかオームとかいわれるけど、骨の上にぼてっと置かれたまま脈動していた心臓だったんだなと。安らかに生を全うしてほしいし、新しい拡張的な生を楽しんでほしい。
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
ということで、デジタル都城市民会館を公開することで、あのホールの中で、上で、いろんな新しいイベントが始まってむしろバーチャルイベントの聖地になる、アイコンになるくらいのところに持っていけたらいいなあと。デジタル世界なら外皮もつけてあげられるし手足つけて歩き出したりだってできる。
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日
あとは、解体される建物のアーカイブ的スキャンばかりでなくて、現役建物のデジタルツインを作ることで今までとはまったく違う価値化、モノとデジタルデータが重なり合うことで初めて生まれうる活用やマネタイズのしくみを探る機会も開拓していきたい。まだまだ使う現役の建物のスキャンもするよ。
— 豊田啓介(ほっこり系)総研 (@toyoda_noiz) 2019年7月4日