SHARE 北澤伸浩建築設計事務所による「小さなマンションのための家具」
北澤伸浩建築設計事務所が設計した「小さなマンションのための家具」です。北澤はSANAA出身の建築家。
今作品は、鈴木理策に師事したアーティスト・三嶋一路と、SANAAによる作品等の撮影で知られる鈴木研一の二人の視点での写真によってお伝えします。
若い家族がいま、住まいを構えるとき大切にすることはなんだろうか。
クライアント夫婦は共働きで、職場へのアクセスを重視し、都心の一等地にマンションを購入した。
延床は大きいとは言えず、寝室はベッドを置いたらいっぱいになるようなサイズだったが、広めのリビングダイニングキッチンがあり、そこに置く家具を考えてほしいとの依頼を受けた。
三嶋一路による写真
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鈴木研一による写真
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図面
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以下、建築家によるテキストです。
若い家族がいま、住まいを構えるとき大切にすることはなんだろうか。
クライアント夫婦は共働きで、職場へのアクセスを重視し、都心の一等地にマンションを購入した。
延床は大きいとは言えず、寝室はベッドを置いたらいっぱいになるようなサイズだったが、広めのリビングダイニングキッチンがあり、そこに置く家具を考えてほしいとの依頼を受けた。
それに対し、ひとつの大きなテーブルを部屋の中央に置き、窓際にソファ兼収納を並べることにした。
テーブルは部屋に対して大きな平面とすることで、向かい合う距離の間にいくつかの場所が生まれ、片方で食事をしつつ、もう片方で仕事をするなど、ひとつのテーブルを囲みながらも各々が違った時間を過ごせるようにしている。
スラブは上下2枚になっていて、その間を構造的に数カ所繋げ、全体を大きな梁のように設計している。梁の間は棚のように使うことができ、仕事のPC、子供のおもちゃ、読みかけの本を入れたりして、テーブルの上と下の空間が時間ごとにぱっと変えられるようにした。
2枚の板を支える柱は、強度の関係から数を調整し、柱スパンが場所ごとに異なる。大きいスパンの間に二人がけの椅子を置いたり、短いスパンの間に一人で座ったり、テーブルまわりの空間の手がかりになるようにした。
ソファは既存の環境にあわせ、ベンチのように座れるものと、窓際でゆったりと寛げるような大きさを持ったものを作り、テーブルと仕上げをあわせ、全体としてすっきりとした統一感のある空間を作った。
小さなマンションのなかの唯一大きな部屋を、生活の風景ごとに場所を分断することなく一体的な空間とした。
家族みんなとそれぞれの時間が、爽やかに流れていってくれたらと思っている。
■作品概要
設計:北澤伸浩建築設計事務所 担当/北澤伸浩
構造:yasuhirokaneda STRUCTURE 担当/ 金田泰裕
制作:はやの意匠 担当/早野正寿
設計期間:2019年5月~8月
制作期間:2019年9月
竣工年月:2019年10月