SHARE 針谷將史建築設計事務所による、栃木・那須塩原市の2世帯住宅「那須の長屋」
針谷將史建築設計事務所が設計した、栃木・那須塩原市の2世帯住宅「那須の長屋」です。
那須の豊かな自然環境の中に建つ、4世代7人のための住まいである。農家の広い敷地全体を居場所として感じられるように、平屋の建築をつくった。
ひとつの敷地に多世代にわたる家族同士が一緒に住むということは、それだけ関係性が多様化することになる。親世帯と子世帯、祖父母と孫など、家族同士の関係だけでなく、近隣や職場や学校も含めて考えると、直接的・間接的に他者や社会との接点は当然ながら増えていく。いくつかの種類のコミュニティが同時に存在するという意味では、限られた人しか入れない場所であっても、ある種の公共性が現れる。ここではその状況を自然に受け入れられるように、住宅とも非住宅とも捉えられる、多義的なスケールを持つ建築をつくれないかと考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
那須の豊かな自然環境の中に建つ、4世代7人のための住まいである。農家の広い敷地全体を居場所として感じられるように、平屋の建築をつくった。
ひとつの敷地に多世代にわたる家族同士が一緒に住むということは、それだけ関係性が多様化することになる。親世帯と子世帯、祖父母と孫など、家族同士の関係だけでなく、近隣や職場や学校も含めて考えると、直接的・間接的に他者や社会との接点は当然ながら増えていく。いくつかの種類のコミュニティが同時に存在するという意味では、限られた人しか入れない場所であっても、ある種の公共性が現れる。ここではその状況を自然に受け入れられるように、住宅とも非住宅とも捉えられる、多義的なスケールを持つ建築をつくれないかと考えた。
この建築では、小さな屋根の単位で分節されたヴォリュームにまたがって架ける大きな屋根を、極力小さい断面で構成した。登り梁に継手の無い10メートルの製材を用いることで、断面を38×235mmに抑え、気積の大きさに対して構成する部材を身体的スケールに近づけつつ、少し軸をずらしてラフに架け、おおらかで柔らかい屋根下空間をつくった。プランはシンプルなn-LDKとしているが、必ず庭に面するように、諸室を雁行した配置にしていることと、北側と南側で軒の高さが大きく異なるため、場所によって建築の見え方や空間の感じ方は変化する。
■建築概要
名称:那須の長屋
所在地:栃木県那須塩原市
用途:長屋(2世帯住宅)
竣工:2018年6月
構造:木造
規模:平屋(一部2階)
敷地面積:2,677.17㎡
建築面積:305.27㎡
延床面積:286.60㎡
設計監理:針谷將史建築設計事務所
構造:佐藤淳構造設計事務所
照明:岡安泉照明設計事務所
施工:分離発注
撮影:西川公朗