SHARE 井野勇志 / アトリエカムイによる、長野・軽井沢町の別荘「銀の家」
井野勇志 / アトリエカムイが設計した、長野・軽井沢町の別荘「銀の家」です。
軽井沢の森の中に佇む別荘。東側は、谷を望む自然豊かな借景に面している。谷を挟んだ対面は、山の斜面中腹で、視線の斜め先には、水力発電所と水路橋のある立地。この恵まれた環境の魅力を活かすために、谷を一つの壁面でなく、パノラマとして二つの壁面でとらえる場を家の核としてつくることで、喧騒から逃れて森の中で過ごす “憩う”という行為の力を最大限に引き出すことを意識して設計をした。
この場に訪れると、別荘地によくある板壁のシンプルな寄棟の表情が出迎え、建築が景観の中に静かに佇んでいることを感じる。雨の日に訪れれば、小波板の屋根材が雨水を分散して、地面にやさしく受け流す姿も見れる。外観が自然景観とともにあることを感じながら、内部に入るとレンガの間から垣間見れるパノラマの窓が目につき、自然とこの窓に引き寄せられ、この場の魅力を感じることになる。このレンガの壁より手前は、水回りや寝室などのプライベート空間でまとめ、構成を明確にすることが、家の核である広間をより大らかで、かつ豊かな空間にしている。
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以下、建築家によるテキストです。
軽井沢の森の中に佇む別荘。東側は、谷を望む自然豊かな借景に面している。谷を挟んだ対面は、山の斜面中腹で、視線の斜め先には、水力発電所と水路橋のある立地。この恵まれた環境の魅力を活かすために、谷を一つの壁面でなく、パノラマとして二つの壁面でとらえる場を家の核としてつくることで、喧騒から逃れて森の中で過ごす “憩う”という行為の力を最大限に引き出すことを意識して設計をした。
この場に訪れると、別荘地によくある板壁のシンプルな寄棟の表情が出迎え、建築が景観の中に静かに佇んでいることを感じる。雨の日に訪れれば、小波板の屋根材が雨水を分散して、地面にやさしく受け流す姿も見れる。外観が自然景観とともにあることを感じながら、内部に入るとレンガの間から垣間見れるパノラマの窓が目につき、自然とこの窓に引き寄せられ、この場の魅力を感じることになる。このレンガの壁より手前は、水回りや寝室などのプライベート空間でまとめ、構成を明確にすることが、家の核である広間をより大らかで、かつ豊かな空間にしている。
広間そのものは、吹き抜けを持つ天井の高い空間。この豊かな空間に対して、2階から1階のパノラマ窓面に向かって下る勾配天井とし、さらに構造と断熱性能が求める合理的な高さを持つ化粧垂木の存在を際立たせ、空間の重心を低くしている。核として位置付けた平面的な重心と、天井面の効果による空間的な低い重心を併せ持ち、さらに窓という開放性も持たせることで、居心地が高く、外部まで広がる豊かな空間を実現している。
新緑、雨の景色、紅葉、雪景色、そして、森に住む動物や野鳥の気配や音を内部に居ながら感じ、自身が自然と一体となった感覚を感じることができる。夏は、窓を開けて音や風を感じ、冬は、極寒の中でも高い断熱性が自然の魅力を余すことなく感じさせてくれる。場所を読み解きこの場に最適な形をつくり、四季折々の風景の変化を五感で感じて自然と一体となることができる別荘建築の在り方の一つの解となることを目指した建築である。
■建築概要
建物名称:銀の家
所在地:長野県軽井沢町
主要用途:別荘
設計者事務所名:井野勇志 / アトリエカムイ
構造設計:松尾祐哉 / DSC松尾建築設計事務所
施工:竹花工業株式会社 軽井沢営業所
構造:在来木造
階数:地上2階
敷地面積:739.60m2
建築面積:88.01m2
延床面積:113.04m2
Q値:1.24 W/m2K
U値:0.34 W/m2K
設計期間:2018年5月〜2018年10月
工事期間:2018年10月〜2019年5月
敷地条件:第一種低層住居専用地域、浅間山麓景観育成重点地域
撮影:新澤一平
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・屋根 | 屋根 | ガルバリウム鋼板 小波板葺き、一文字葺き |
外装・壁 | 外壁 | |
外装・建具 | 木製サッシ1 | |
外装・建具 | 木製サッシ2 | |
外装・建具 | 樹脂サッシ | |
内装・床 | 床 | |
内装・壁 | 壁 | |
内装・天井 | 天井 | |
内装・キッチン | キッチン | オーダーキッチン(CUCINA) |
内装・キッチン | ビルトイン家電 | |
内装・設備 | ビルトイン洗濯機 | |
内装・設備 | 薪ストーブ | |
内装・設備 | 暖房 |
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