nendoが設計した、東京・港区の、住宅メーカーのラウンジ「SUMUFUMU TERRACE」です。
ソフト重視の時代に対応した接客を行う施設、様々な内容に対応できる“可変性と開放性”を求めて200個のサッシを渦巻き状に並べた空間を考案、行為に規定されない自由さと多様性を生み出す事も意図されました。施設の公式サイトはこちら。
住宅メーカーの積水ハウス株式会社のためにデザインしたコミュニケーションラウンジ。
オンライン情報の充実により、住宅の購入を考える顧客のニーズが変化してきている。
従来のように住宅展示場やモデルルームを見学するハード重視の接客スタイルから、長期的な視点に立って「どんな暮らし方をしたいか」「住宅を建てた後のメンテナンス」「家族構成の変化への対応」といったソフトを重視したコミュニケーションが住宅メーカーには求められつつある。
そのため、素材サンプルや模型の展示といった「ショールーム」的な要素は最小限にとどめ、カフェやギャラリー、ラウンジコーナーといった多様なコミュニケーションスペースを充実させることに。
こうした様々なコンテンツに対応できる「可変性」と、クローズドな空間が与える不安感を払拭する「開放性」を実現するために、「サッシ」を使ったデザインに。住宅にも用いられるサッシは、内と外を仕切る機能的な役割がありつつ、光を取り込んだり、外の緑へ視線が抜けたりと、視覚的な開放感をもたらしてくれる。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
住宅メーカーの積水ハウス株式会社のためにデザインしたコミュニケーションラウンジ。
オンライン情報の充実により、住宅の購入を考える顧客のニーズが変化してきている。
従来のように住宅展示場やモデルルームを見学するハード重視の接客スタイルから、長期的な視点に立って「どんな暮らし方をしたいか」「住宅を建てた後のメンテナンス」「家族構成の変化への対応」といったソフトを重視したコミュニケーションが住宅メーカーには求められつつある。
そのため、素材サンプルや模型の展示といった「ショールーム」的な要素は最小限にとどめ、カフェやギャラリー、ラウンジコーナーといった多様なコミュニケーションスペースを充実させることに。
気軽に立ち寄ってコーヒーを飲みながらカジュアルに相談することができ、各種セミナーやワークショップ、アートの展示といった魅力的なライフスタイルに繋がるコンテンツを定期的に用意。さらに、オープンな設計アトリエ機能も備えることで、設計士という存在をより身近に感じられるようにした。
こうした様々なコンテンツに対応できる「可変性」と、クローズドな空間が与える不安感を払拭する「開放性」を実現するために、「サッシ」を使ったデザインに。住宅にも用いられるサッシは、内と外を仕切る機能的な役割がありつつ、光を取り込んだり、外の緑へ視線が抜けたりと、視覚的な開放感をもたらしてくれる。
まずは渦巻き状に200個のサッシを並べ、その隙間に植栽を配置。
全てが繋がったひとつの空間のようでありながら、緩やかに分節されている。例えば、自分が今いるのが廊下なのか居室なのか、屋内なのか屋外なのか、といったことも曖昧に感じられる。さらに、サッシにはレールが内臓されており、自由に棚やハンガー、フック、モニターなどが取り付けられる。サッシの視覚的な効果を強調するために、床材は濃度が僅かに異なる2色を用意し、交互に貼り分けたほか、貼る方向も切り替えた。
天井のルーバーも床と同じ幅のものを使用し、同じルールで取り付けることにした。
このように、サッシで緩やかに仕切ることによって、「この場所はこう使わなくてはいけない」という風に行為が規定されない自由さと、多様性が生まれる空間を目指している。
■建築概要
名称:SUMUFUMU TERRACE
所在地:東京都港区南青山
主要用途:ラウンジ、打ち合わせスペース、アートギャラリー、事務所
クライアント:積水ハウス
設計監理:nendo
施工:綜合デザイン
コラボレーター:Yukiko Tomotsune
規模:地上1階
床面積:585.33㎡
竣工:2022年1月
撮影:太田拓実