Horibe Associatesが設計した、京都市の「上京のオフィス」です。
金属工事に携わる企業の為に計画です。建築家は、“景観政策”と施主の要望への応答を目指して、規則を読み解きながら相応しい寸法や面積を考慮し設計します。また、構造の“張弦梁”に社の理念の伝達の意図も重ねました。
場所は京都、金属工事の設計施工を行う企業オフィスの計画です。
京都市では100年後の京都の将来を見据えた景観政策が展開され、
計画地においては明治時代から残る京町家も点在し、それら歴史的建造物との調和を目的に「旧市街地型美観地区」に指定されています。
その景観政策において建築形態に大きく影響を与えた3つの要素があります。
①屋根は特定勾配(3/10~4.5/10)とし軒の出は60cm以上とする(高さ10m超える場合は90cm)。
②道路面には各階60cm以上の軒を出すこと(高さ10m超える場合は90cm)。
③3階の壁面は下階より90cm以上後退させること。
軒の出を90cm以上とすると指定容積を有効に活用できないため高さを10m以下とする必要がありました。
敷地形状をオフセットし屋根を掛け、必要な軒の出(60cm)と3階道路側壁面のセットバック(90cm)より外皮を設定。
階高について1階はテナントを想定した天井高さの他、隣家の軒庇レベルを揃えることで街並みの連続性に配慮、約20名の執務空間の2階は一人あたり10m3程度の気積を確保するために必要な階高、3階は手摺高さと消防法によって定められた進入口寸法が確保できる高さ。それらが10m以下の特定勾配3寸の屋根ボリューム内に収まるよう配分しました。
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以下、建築家によるテキストです。
場所は京都、金属工事の設計施工を行う企業オフィスの計画です。
京都市では100年後の京都の将来を見据えた景観政策が展開され、
計画地においては明治時代から残る京町家も点在し、それら歴史的建造物との調和を目的に「旧市街地型美観地区」に指定されています。
その景観政策において建築形態に大きく影響を与えた3つの要素があります。
①屋根は特定勾配(3/10~4.5/10)とし軒の出は60cm以上とする(高さ10m超える場合は90cm)。
②道路面には各階60cm以上の軒を出すこと(高さ10m超える場合は90cm)。
③3階の壁面は下階より90cm以上後退させること。
軒の出を90cm以上とすると指定容積を有効に活用できないため高さを10m以下とする必要がありました。
敷地形状をオフセットし屋根を掛け、必要な軒の出(60cm)と3階道路側壁面のセットバック(90cm)より外皮を設定。
階高について1階はテナントを想定した天井高さの他、隣家の軒庇レベルを揃えることで街並みの連続性に配慮、約20名の執務空間の2階は一人あたり10m3程度の気積を確保するために必要な階高、3階は手摺高さと消防法によって定められた進入口寸法が確保できる高さ。それらが10m以下の特定勾配3寸の屋根ボリューム内に収まるよう配分しました。
3階の壁面をセットバックすることで生じる上下階柱位置のずれ。
このずれを「張弦梁(ちょうげんばり)」を用いて下階の柱へ受け流すことで、下階の平面に柱が露出する問題を解決しています。
執務空間に連続する「張弦梁」は、自社のもつテクノロジーとそのソリューションを可視化し、社内外へ「理念」を訴求するという役割を担っています。
■建築概要
物件名:上京のオフィス
所在地:京都府京都市
構造:鉄骨造3階建て
主用途:事務所
意匠設計:Horibe Associates architect’s office.
構造設計:banana Lab 佐久間譲
施工:自営
植栽:有限会社和想
敷地面積:119.71m2
建築面積:83.3m2
延面積:236.25m2
竣工:2022年2月
写真:三木夕渚