山下竜二建築設計事務所が設計した、北海道・上ノ国町の住宅「子と子と子と子と」です。
夫婦と子供4人の為の住まいです。建築家は、其々に個室を作る要望と家族の繋がりの両立を求め、“プレイルーム”を中心とした各部屋の配置と両者を接続する開口を考案しました。また、ガラス床等の発想でも“繋がり”の促進を意図しました。
設計者の兄である夫婦と子供4人の6人家族の家である。
施主の要望として、延床面積を40坪以内にすることと、子供それぞれに個室を与えてあげたいということだった。
4人の子供は年が近く、いつも一緒に遊んでいる仲の良い兄弟である。
個室が出来ることによって家族の仲が分断されることを懸念し、個室に居ても繋がりを感じられる空間を考えた。
家の中心にプレイルームを設け、対面する形で4つの子供部屋を配置し、プレイルームと子供部屋の間には700mmの段差と窓を設けた。窓を開けることでプレイルームの床は大きな机になり、4人が顔を合わせて勉強することが出来る。
プレイルームと子供部屋は一連なりの空間となり、遊び場は拡張される。机の天板をガラスにすることで1階から覗くことが出来るため、宿題をしている姿をチェックしたりと勉強の孤独感から開放される。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
設計者の兄である夫婦と子供4人の6人家族の家である。
施主の要望として、延床面積を40坪以内にすることと、子供それぞれに個室を与えてあげたいということだった。
4人の子供は年が近く、いつも一緒に遊んでいる仲の良い兄弟である。
個室が出来ることによって家族の仲が分断されることを懸念し、個室に居ても繋がりを感じられる空間を考えた。
家の中心にプレイルームを設け、対面する形で4つの子供部屋を配置し、プレイルームと子供部屋の間には700mmの段差と窓を設けた。窓を開けることでプレイルームの床は大きな机になり、4人が顔を合わせて勉強することが出来る。
プレイルームと子供部屋は一連なりの空間となり、遊び場は拡張される。机の天板をガラスにすることで1階から覗くことが出来るため、宿題をしている姿をチェックしたりと勉強の孤独感から開放される。
騒がしく遊んでいても、1階では喧騒から離れつつも様子を見守ることが出来る。窓を閉めてもガラス越しに気配を感じられ、カーテンを閉めることで気配を絶つことも出来る。個室と大部屋、一人と大勢という二極の関係性ではなく、様々な距離感によって家族と繋がれる空間を目指した。
~勉強机という名の足枷~
この家は机について考えるきっかけとなった。
私は子供のころ勉強机を買ってもらった。
様々な機能があり、扉によって箱から机に変形するもので、その面白さが気に入ってとても高価なものだったが親にお願いして買ってもらった。しかしその机を使うことはほとんど無かった。居間のテーブルか自室の折り畳みのテーブルで勉強することがほとんどだった。
今にして思えば、壁に向かって勉強することが耐えられなかったのだろう。その窮屈なスペースは物を置く場所も限られるし、紙を拡げることも出来ない。何を書くかも制限される。勉強机が足枷となり、様々な可能性を閉ざしてしまうような気がした。
この家では床が机になる。空間全体が大きなテーブルだ。机に座っても良いし、走り回っても良い。大きな絵を書くことも出来るし、どこまでも続く数式を解くことも出来る。空間の拡がりが子供の可能性を拡げる。「床」や「机」という既製概念に囚われることなく、自由に育って欲しいと思っている。
■建築概要
名称:子と子と子と子と
所在地:北海道上ノ国町
主要用途:専用住宅
規模構造:木造在来工法地上2階建
設計監理:山下竜二建築設計事務所 / 山下竜二
施工:株式会社小林商店 / 宮本明仁
敷地面積:300.38㎡
延床面積:125.65㎡
設計期間:2020年8月~2021年6月
竣工:2021年10月
写真:佐々木育弥