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2024.1.10Wed
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吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む
photo©長谷川健太

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architecture|feature
建材(内装・床)21世紀工務店建材(外構・床)建材(内装・キッチン)建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(内装・照明)建材(内装・天井)建材(内装・壁)世田谷区図面あり金田泰裕吉田裕一長谷川健太住宅東京
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む外観、敷地裏側の公道より見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む外観、建物正面の公道より見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、リビングからダイニングを見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む3階、洗面スペースから子供室を見る。 photo©長谷川健太

吉田裕一建築設計事務所が設計した、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」です。
様々な条例のある地域の擁壁下の敷地に計画されました。建築家は、緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案しました。また、環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込みました。

東京都世田谷区の駅から少し離れた、運動公園を見上げる擁壁下に敷地はあります。

もともと邸宅のあった大きな敷地を4分割にして売りに出されたうちの1つで、両側の敷地も同時期に計画が進められました。
緑化の条例にならってお互いに周囲に植栽を施した上で、土留めとしてのブロックのみでフェンス等は立てないことや、窓が被らないようにするなど、調整しながら進めることができました。

建築家によるテキストより

緑化やセットバックをしてできた建築可能な範囲の中で、必要な諸室をそれぞれのボリュームが並列にならず、少しずつ隣のボリュームに干渉したような状態でダラダラと繋げながら、積み上げていきました。それは数学で言うところのベン図のようにAであることと、Bであることを担保しつつ、AでもBでもあるCという場所も作ってくことです。家族それぞれがその時々で好きな場所にいながら、常に少し干渉した状態で向こう側に次のスペースがあってお互いの気配を感じながら暮らすことができます。

建築家によるテキストより

また、内部の要因だけでなく、北側の擁壁上の緑や桜、擁壁下のささやかな庭を眺められつつ日光も当たるよう、北側のボリュームは低く抑えたり、スキップフロアで高くなった南側のボリュームは、直射日光を和らげてリビングやダイニングへ届けたり、夏の北側からの吹きおろしの風を上手に捕まえて室内に循環させる装置にもなっています。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む外観、敷地裏側の公道より見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む外観、建物正面の公道より見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む外観、建物正面の公道より見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む外観、建物正面の公道より見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む1階、玄関 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む1階、廊下と2階への階段 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、リビング photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、リビングからデッキを見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、デッキ photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、デッキからリビングを見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、リビングからダイニングとキッチンを見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、リビングからダイニングを見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、ダイニングからキッチンを見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、中:ダイニング、右:キッチン photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、左:キッチン、中:ダイニング photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、寝室 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、ダイニングから洗面スペースを見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む3階、洗面スペースから子供室を見る。 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む3階、左:子供室、右上:屋上テラス、右下:洗面スペース photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む屋上テラス photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む屋上テラス photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む1階、廊下の手洗い photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む1階、脱衣所 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む1階、トイレ photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階、リビング、夜景 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む外観、建物正面の公道より見る、夜景 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む外観、敷地裏側の公道より見る、夜景 photo©長谷川健太
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む1階平面図 image©吉田裕一建築設計事務所
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む2階平面図 image©吉田裕一建築設計事務所
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む3階平面図 image©吉田裕一建築設計事務所
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む屋上階平面図 image©吉田裕一建築設計事務所
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む断面図 image©吉田裕一建築設計事務所
吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む施工中 photo©吉田裕一建築設計事務所

以下、建築家と構造家によるテキストです。


東京都世田谷区の駅から少し離れた、運動公園を見上げる擁壁下に敷地はあります。

もともと邸宅のあった大きな敷地を4分割にして売りに出されたうちの1つで、両側の敷地も同時期に計画が進められました。
緑化の条例にならってお互いに周囲に植栽を施した上で、土留めとしてのブロックのみでフェンス等は立てないことや、窓が被らないようにするなど、調整しながら進めることができました。

緑化やセットバックをしてできた建築可能な範囲の中で、必要な諸室をそれぞれのボリュームが並列にならず、少しずつ隣のボリュームに干渉したような状態でダラダラと繋げながら、積み上げていきました。それは数学で言うところのベン図のようにAであることと、Bであることを担保しつつ、AでもBでもあるCという場所も作ってくことです。家族それぞれがその時々で好きな場所にいながら、常に少し干渉した状態で向こう側に次のスペースがあってお互いの気配を感じながら暮らすことができます。

また、内部の要因だけでなく、北側の擁壁上の緑や桜、擁壁下のささやかな庭を眺められつつ日光も当たるよう、北側のボリュームは低く抑えたり、スキップフロアで高くなった南側のボリュームは、直射日光を和らげてリビングやダイニングへ届けたり、夏の北側からの吹きおろしの風を上手に捕まえて室内に循環させる装置にもなっています。

また、主構造は鉄骨ながら、床下地・壁下地を木造とし、共に合理的で経済的な寸法へと最適化したことでこの1.5次元的な構造計画は、資材価格の高騰、ウッドショックといった時代を反映した架構にもなりました。そういったプロセスの中で一貫していたのは、いかに暮らすのに心地よい空気の状態を作り出せるかということです。
(吉田裕一 意匠設計)


2022年を象徴する鉄骨造

予算の関係で木造3階建てを前提に始まったプロジェクトであったが、スキップフロアが多く階段吹き抜けなどもあり水平方向の応力伝達が難しいこと、木造壁の階層の考え方が難しいこと、計画的に間口方向をできるだけ開放したいという設計内容に加え、ウッドショックの影響が出始めて2021年であったことから、計画を維持し、できるだけ鉄骨量のすくない鉄骨造としながら、床下地と壁下地を木でつくるという提案をした。

着工は2022年の春で、戦争や円安により、資材の高騰、鉄骨の高騰など、予想以上に厳しい状況になったが、適材適所の合理的計画が功を奏して、なんとか予算内におさめながら、計画を実現することができた。

しかし、木造3階建ての住宅からスタートした計画だったため、スケールは木造スケールを意識しながら、木造の規格寸法を置き換えるようなイメージで設計をしている。105角の柱は、H100x100の柱に、210x105,150x105,105x105の梁はそれぞれ、H200x100,H148x100,H100x100に置き換えていくような操作である。

しかし、間口は4mあるので、4mスパンを木造でやるとこの寸法ではおさまらない。
実際に建て方後に空間体験した感想としては、木造スケールの2.73m程度の狭小住宅を4mの幅に引き延ばしたような構造寸法になっている。耐震計画は、部分的に鉄板耐震壁を採用しているが、外壁があるところに適宜ブレースを配置するような計画でできるだけローコストにできるように努力をした。
(金田泰裕 構造設計)

■建築概要

題名:大蔵・HOUSE・U
所在地:東京都世田谷区
主用途:専用住宅
設計:吉田裕一建築設計事務所 担当/吉田裕一、鈴木真美、加藤亜実
施工:21世紀工務店
構造設計:yasuhiro kaneda STRUCTURE 担当/金田泰裕、木村友美
構造:鉄骨造一部木造
階数:地上3階建
敷地面積:113.00㎡
建築面積:55.40㎡
延床面積:126.74㎡
設計期間:2021年2月~2022年3月
施工期間:2022年4月~2023年1月
竣工:2023年1月
写真:長谷川健太

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外構・床床

モルタル金鏝
タイルt10:Hi-Ceramic Cantera CTE-3060GR(平田タイル)

外装・壁外壁

窯業系平形スレートt6:SOLIDO SMG72G(ケイミュー)

外装・屋根屋根

ガルバリウム鋼板t0.4 かん合縦平葺:MS タフビーム455WS ウレタン塗膜防水(月星商事)

内装・床LDK 床

複合フローリングt15:オークEG クリアコート塗装品(東京工営)

内装・壁LDK 壁

PB12.5+AEP

内装・壁LDK キッチンカウンター前壁

タイル:クロジョーロ MRZ-F7030(名古屋モザイクタイル)

内装・天井LDK 天井

パルプ繊維セメント板t12 軒天12(ニチハ)

内装・照明LDK 照明

調光ダウンライト:AD 1132 B35(コイズミ)
ペンダントライト:Black – Slim Office Hanging Light(KANADEMONO)

内装・キッチンLDK キッチンカウンター

I型W2600 フルセパレートW2450D645(グラフテクト)
一部造作

内装・床スタディスペース 床

複合フローリングt12:オークER クリアコート塗装品(東京工営)

内装・壁子供室、スタディスペース、リモート室 壁

PB12.5+AEP

内装・天井子供室、スタディスペース、リモート室 天井

PB12.5+AEP

内装・照明子供室、スタディスペース、リモート室 照明

ダウンライト:AD 7102 W35(コイズミ)

内装・床3F洗面スペース 床

塩ビタイルt3:ロイヤルストーン PST2053(東リ)

内装・壁3F洗面スペース 壁

PB12.5+AEP
一部タイル t6:ルンタLNT-W W301H301(平田タイル)

内装・天井3F洗面スペース 天井

PB12.5+AEP

内装・照明3F洗面スペース 照明

ダウンライト:AD 7102 W35(コイズミ)
ペンダントライト:コードセット CK-2Z(東京メタル)

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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    建材(内装・床)YLIGHTSD.BRAIN建材(内装・柱)建材(内装・造作家具)建材(内装・家具)建材(内装・照明)建材(内装・建具)建材(内装・天井)建材(内装・壁)千代田区図面あり菊田康平村上譲西川公朗事務所Buttondesign東京
    村上譲+菊田康平 / Buttondesignによる、東京・千代田区の「OAG office」。複数の法人を束ねる本部事務所の計画。社員交流等を活性化する存在を目指し、働く人々の“様々な営み”が混じり合う空間を志向。会議室群の点在で複数の“小さな溜まりの空間”を生み出して多様な居場所として提供エントランスホールからラウンジ側を見る。 photo©西川公朗
    村上譲+菊田康平 / Buttondesignによる、東京・千代田区の「OAG office」。複数の法人を束ねる本部事務所の計画。社員交流等を活性化する存在を目指し、働く人々の“様々な営み”が混じり合う空間を志向。会議室群の点在で複数の“小さな溜まりの空間”を生み出して多様な居場所として提供ラウンジ photo©西川公朗
    村上譲+菊田康平 / Buttondesignによる、東京・千代田区の「OAG office」。複数の法人を束ねる本部事務所の計画。社員交流等を活性化する存在を目指し、働く人々の“様々な営み”が混じり合う空間を志向。会議室群の点在で複数の“小さな溜まりの空間”を生み出して多様な居場所として提供ラウンジ photo©西川公朗

    村上譲+菊田康平 / Buttondesignが設計した、東京・千代田区の「OAG office」です。
    複数の法人を束ねる本部事務所の計画です。建築家は、社員交流等を活性化する存在を目指し、働く人々の“様々な営み”が混じり合う空間を志向しました。そして、会議室群の点在で複数の“小さな溜まりの空間”を生み出して多様な居場所として提供しています。

    東京都千代田区にある税理士法人をはじめとする14のグループを束ねる法人のヘッドオフィスの改修です。

    改修の目的は、これまで各階の部署毎に散らばっていた書架や会議室、休憩所をワンフロアに集約すること。それにより、これまで交わりのなかった社員同士のコミュニケーションを生み、出会わなかった書籍や資料に触れる機会を作ること、そして接客やリクルーティングに重要な法人の顔としての空間を整えることです。機能的な向上だけではなく、社員のモチベーションアップにも繋がり、活気あるオフィスにすることを望まれました。

    建築家によるテキストより

    改修の中心となるフロアは、顧客を迎え入れるメインエントランスと共に、法人が発行及び所有する書籍と資料をアーカイブする機能と大小の会議室、オンラインミーティンングブース、フリーアドレスの為のデスクとラウンジが混在することになります。

    建築家によるテキストより

    入居するビルは築35年のSRC造のオフィス建築で、現代的なガラスのカーテンウォールではなく、コンクリートの躯体に等間隔に開け放たれた窓が印象的でした。
    整然と並んだそれらの窓辺に気持ちの良い空間が生まれる気配を感じ、既存のオフィスでは感じられなかった空間の広がりと、オフィスで活動する人々の様々な営みが混じり合う新しい風景を作りたいと思いました。

    建築家によるテキストより
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    建材(内装・床)YLIGHTSD.BRAIN建材(内装・柱)建材(内装・造作家具)建材(内装・家具)建材(内装・照明)建材(内装・建具)建材(内装・天井)建材(内装・壁)千代田区図面あり菊田康平村上譲西川公朗事務所Buttondesign東京
    2024.01.10 Wed 13:22
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    2024.1.09Tue
    • 坂本拓也 / ATELIER WRITEによる、東京・中央区の「AURALEE × TDS FW23」。店舗の一角のアパレル販売の為のインスタレーション。展示製品のアーカイブをベースにしたという背景から着想し、既成の“運搬用什器”を手掛かりとした設計を志向。素材と色を変更して“洗練”された印象を付与
    • ザハ・ハディド事務所を含むチームによる、橋「フェニックス」。コンクリートの3Dプリント技術を用いた実験的な橋。同チームが開発した“Striatus”の進化系として、カーボンフットプリント等を大きく削減。様々なプロジェクトに繋がる“マイルストーン”として完成
    2024.1.11Thu
    • ライトの、パナソニック汐留美術館での建築展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」の入場チケットをプレゼント
    • ライトの、パナソニック汐留美術館での建築展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」。“帝国ホテル二代目本館”等の設計で知られる近代を代表する建築家の展覧会。最新の研究成果を踏まえ、多様な文化との交流や先駆的な活動を明らかする内容。精緻なドローイングの数々や原寸モデルも展示
    • 高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与

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