SHARE 展覧会レポート”建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳”(2)
展覧会レポート”建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳“(2)です。
レポート(1)はこちら。
■ペーター・メルクリのドローイング
メルクリのドローイングの中で特に印象的なのはファサードに関するものだ。じっくり眺めていると様々な形・色・構成・テクスチャーなどの組み合わせがドローイングの中で検討されていることがわかる。それはメルクリにとって人間の知覚に関する探究なのだろうと思う。これは視覚の法則に従い、人が建物のファサードを見たときの視線の動き・感覚・感情をコントロールしようとする試みでもある。メルクリが使用する建築言語は非常に限られたものである。しかし、その言語による組み合わせは無限大であり、メルクリのドローイングは無限の中から最適な一つの答えを探しだす試みとも思える。
例えば、大地を描き、グレーのヴォリュームを置く。そして、その上に小さな赤いヴォリュームを組み合わせるとファサードはどのように見えるのか?そして、そこにヨーゼフソンの彫刻を配置するとファサードはどのように見えるのか?もしくは、ヴォリュームに模様を与えた場合には?ヴォリューム同士の大きさのバランスを変えた場合には?・・・
メルクリは要素の無限の組み合わせとの格闘の中で、様々な感覚を生み出すファサードの可能性を探求し、来るべきプロジェクトのために自身のアイデアのストックを増やしているのだろう。
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