日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、南東側より見る。(建築家による解説:工場は湯沢の豊かな田園風景の中の小高い丘の上にある) photo©関拓弥
日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る1階、エントランス(建築家による解説:正面には写真家の渡辺洋一氏による本敷地の近傍にある小安峡の写真を大判パネル化し、来客者が湯沢市の雄大な自然を身体スケールで感じられるように意図した) photo©関拓弥
日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、作業エリアと見学通路(建築家による解説:色の塗分けのみで見学者と従業員の領域を分けている。完成された製品を展示する代わりに極めて小さな製品を“職人技”で製作していく工程を見せることで、生きた見学体験となると考えた) photo©関拓弥
日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:社員食堂を地域住民にも開かれた場所として計画。西側窓際の天井をトラスの形に合わせて折り上げることで西日によるコントラストを和らげ、空間全体が柔らかな光に包まれるように意図している。) photo©関拓弥
日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史が設計した、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」です。
地域との関係に向き合う企業の工場の改修計画です。建築家は、“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案しました。そして、現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作りました。施主企業の公式サイトはこちら。
秋田県湯沢市は、精密機器部品メーカーOrbrayの創業者が最初に生産拠点として選んだ土地であり、長年にわたり地域住民が働き手として支え、高度な職人技によって世界に誇る製品が生み出されてきた。しかし、現在では過疎化の課題に直面し、企業と地域の関係も変革の時期を迎えている。
Orbray [TRAD]は、このような状況下で老朽化した生産拠点の段階的な移転計画の第一歩として構想された。女性が働きやすい職場環境を意識しつつ、働く人々の姿を間近に見ることができる見学通路や地域住民にも開放される食堂空間を設けることで、企業と地域の新たな接点を創出する。
従業員は地域住民との交流を通じて自らの仕事に誇りを持ち、地域住民は地元から世界へとつながる技術に触れることで、「湯沢市が世界に誇れる場所」を見出すことができる、そのような施設が求められていた。
このプロジェクトは、設計期間が短く、且つ非常に短い工期と低コストが求められた。
そこで、「塗装色の塗分けのみでデザインされた見学者動線」「採光のための食堂の大胆な天井の折上げ」「工場パレット材のアップサイクルによる巨大な居場所スペースの創出」「食堂のためにデザインしたオリジナル家具を湯沢市のふるさと納税返礼品として登録する」など、現場で次々と即興的なアイデアが生まれ、迅速に具体化されていった。
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日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る俯瞰、南西側より見下ろす。(建築家による解説:敷地の東側には奥羽山脈が見える) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、南東側より見る。(建築家による解説:工場は湯沢の豊かな田園風景の中の小高い丘の上にある) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、南東側より見る。(建築家による解説:湯沢市は日本有数の豪雪地帯であり、秋には稲穂が揺れるこの風景も冬には一面雪景色となる) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、南東側より見る。(建築家による解説:敷地エントランスから外観を望む) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、東側より見る。(建築家による解説:地元湯沢市の造園屋から譲り受けた石をエントランスに配置した) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、サイン(建築家による解説:工場で作られるレコード針をイメージしたステンレスパネル) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る1階、エントランス(建築家による解説:正面には写真家の渡辺洋一氏による本敷地の近傍にある小安峡の写真を大判パネル化し、来客者が湯沢市の雄大な自然を身体スケールで感じられるように意図した) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る1階、エントランスから会議室側を見る。(建築家による解説:照明をルーバーに合わせて斜めに配置し、来客を見学動線へ誘導する) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る1階、エントランスから会議室を見る。(建築家による解説:地場産杉材を用いた天井ルーバーとコーポレートカラーの青いタイルカーペットを斜めに張ることで来客を見学動線へと誘導する) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る1階、通路から会議室を見る。(建築家による解説:エントランス廊下からガラス張りの会議室越しに外の景色を見る) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る1階、エントランス近くの応接室(建築家による解説:企業名のOrbray(Orb=「楕円」+Ray「光」)をイメージした折り上げ天井と楕円のテーブル) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る1階、作業エリアと見学通路(建築家による解説:エントランスからコーポレートカラーである青い天井・床仕上げとした見学通路が工場内を一筆書きで縦断するように現場でレイアウト変更を行った) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:工場名である[TRAD]は 「伝統的なもの、世代から世代へと受け継がれるもの」 を意味する「traditional」の短縮形であり、ものづくり精神の継承への願いから命名された) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:社員食堂を地域住民にも開かれた場所として計画。西側窓際の天井をトラスの形に合わせて折り上げることで西日によるコントラストを和らげ、空間全体が柔らかな光に包まれるように意図している。) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:窓周辺に積み重ねたパレットのサイズに合わせたクッションを並べることで社員が自由にくつろぐことのできる場所を設けた) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:天井を折り上げ明るくなった窓際に植栽を配置する。長い冬には一面深い雪で覆われる湯沢市において、一年を通じて緑を楽しむことのできる計画としている) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:社員食堂に設置された棚。本工場で生産されるレコード針にちなみ、積層するレコードをイメージして棚をデザインした) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:棚にはレコード機材を設置しており、休息時間やイベント時にはここで実際にレコードで音楽を聴くことができる) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂から喫煙所と階段室側を見る。(建築家による解説:突き当りの間仕切り壁は当初既存の壁を残置する計画だったが、自然光で過ごせる明るい空間とするためガラスパーティションに変更した) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、2階、食堂から喫煙所と階段室側を見る。(建築家による解説:左側喫煙室と右側の自販機コーナーの間をガラスパーティションで仕切ることで、どの室も等価な場所となるように意図した) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:西側窓際の天井を折り上げた下にパレットを積み重ね、ベンチやテーブル、植栽などを置ける多目的なスペースを提案) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂(建築家による解説:休憩時間にはパレットの上で社員が憩う姿が見られる) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂 photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂、椅子とテーブルの詳細(建築家による解説:地元の秋田木工と協働し、Orbrayをイメージしたオリジナル家具を制作した。この家具は湯沢市のふるさと納税返礼品として採用されている) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂、造作家具(建築家による解説:社員食堂エリアの中にワークスペースを確保するため、湯沢産の木材を使用したパーティションを制作) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、食堂、造作家具(建築家による解説:木の角材を重心が対称となるようなHPシェル状に束ねることで、自立するパーティションを制作した。自由に角度を調整可能なため、フラットにして収納することが可能)

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、作業エリアと見学通路(建築家による解説:天井・柱は塗装仕上げ、床は既存同様塩ビシートとし、色はコーポレートカラーのOrbray Blueとしている) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、作業エリアと見学通路(建築家による解説:どこにいても湯沢市の自然を感じられる) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、作業エリアと見学通路(建築家による解説:窓の外には湯沢の豊かな自然の風景を望む) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、作業エリアと見学通路(建築家による解説:色の塗分けのみで見学者と従業員の領域を分けている。完成された製品を展示する代わりに極めて小さな製品を“職人技”で製作していく工程を見せることで、生きた見学体験となると考えた) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、作業エリアから見学通路を見る。(建築家による解説:塗装した色だけで領域を分けることで、見学者と従業員の距離を近くし、コミュニケーションを高めることを意図した) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、作業エリアから見学通路を見る。(建築家による解説:見学通路は普段は従業員の動線も兼ねている) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、見学通路から作業エリアを見る。 photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階、廊下(見学通路)(建築家による解説:通路の突き当りとなる壁を鏡張りとし、反対側の窓を写すことで視線の先を明るくした) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、東側よりエントランスを見る、夕景(建築家による解説:照明色温度の違いにより内部の機能が外観にあらわれる) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、南東側より見る、夕景(建築家による解説:工場で作られるレコード針をイメージしたステンレスパネルを既存の配管や煙突等とのバランスを調整しながら外装に配置した) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、南東側より見る、夕景(建築家による解説:工場で作られるレコード針をイメージしたステンレスパネルを既存の配管や煙突等とのバランスを調整しながら外装に配置した) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る外観、西側より見る、夕景(建築家による解説:2階の窓から見えるのが社員食堂エリア) photo©関拓弥

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る1階平面図 image©日建設計

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る2階平面図 image©日建設計

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る全体アクソメノメトリック図(建築家による解説:元々エントランスに展示物を配置する案を変更し、作業エリア内に見学者通路を新設して、1階から2階まで一筆書きのルートで見学できるように計画した) image©日建設計

日建設計 / 伊庭野大輔+北潟寛史による、秋田・湯沢市の「Orbray [TRAD]」。地域との関係に向き合う企業の工場の改修。“地域との接点”を創出する存在を求め、働く姿を観覧できる“見学通路”や地域にも開かれる“食堂”を備えた建築を考案。現場での“即興的なアイデア”を積み上げて作る断面図 image©日建設計
以下、建築家によるテキストです。
デザインのポイント
・工場内を貫通する色分けされた見学通路により、製造工程や働く人の姿を実際に見ることができる体験作り
・工場の食堂を地域に開かれたパブリック空間としてデザインし、企業と地域住民の接点となる場所の創出
・地場産材を利用した仕上げや地元家具メーカーと共同したオリジナル家具製作等を通じた地域社会への貢献
背景
秋田県湯沢市は、精密機器部品メーカーOrbrayの創業者が最初に生産拠点として選んだ土地であり、長年にわたり地域住民が働き手として支え、高度な職人技によって世界に誇る製品が生み出されてきた。しかし、現在では過疎化の課題に直面し、企業と地域の関係も変革の時期を迎えている。
Orbray [TRAD]は、このような状況下で老朽化した生産拠点の段階的な移転計画の第一歩として構想された。女性が働きやすい職場環境を意識しつつ、働く人々の姿を間近に見ることができる見学通路や地域住民にも開放される食堂空間を設けることで、企業と地域の新たな接点を創出する。
従業員は地域住民との交流を通じて自らの仕事に誇りを持ち、地域住民は地元から世界へとつながる技術に触れることで、「湯沢市が世界に誇れる場所」を見出すことができる、そのような施設が求められていた。
経緯とその成果
このプロジェクトは、設計期間が短く、且つ非常に短い工期と低コストが求められた。
そこで、「塗装色の塗分けのみでデザインされた見学者動線」「採光のための食堂の大胆な天井の折上げ」「工場パレット材のアップサイクルによる巨大な居場所スペースの創出」「食堂のためにデザインしたオリジナル家具を湯沢市のふるさと納税返礼品として登録する」など、現場で次々と即興的なアイデアが生まれ、迅速に具体化されていった。
2023年8月の稼働開始以来、Orbray [TRAD]は地域住民向けの多様なイベントを開催し、企業のブランド発信の場であるだけでなく、湯沢市に新たな「地域住民が集まれる場所」を提供している。この施設が地域の子供や学生たちに貴重な体験を提供し、湯沢市に対する誇りを育むことで、地方創生の新たな芽が力強く成長することを心より願っている。
■建築概要
題名:Orbray [TRAD]
所在地:秋田県湯沢市岩崎字狐崎8-29
主用途:工場・地域交流施設
設計:日建設計
担当:伊庭野大輔、北潟寛史
施工:丸臣高久建設
照明計画:岡安泉照明設計事務所
エントランス写真展示:渡辺洋一
家具:秋田木工
構造:S造
階数:地上2階
敷地面積:18657.29㎡
建築面積:3556.15㎡
延床面積:5189.97㎡
設計:2023年1月~2023年8月
工事:2023年1月~2023年8月
竣工:2023年8月
写真:関拓弥