Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む外観、北西側より見る。 photo©関拓弥
Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む外観、北側より見る。 photo©関拓弥
Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、左:オフィス、中央手前:会議室、中央奥:ダイニング、右:ラウンジ photo©関拓弥
Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む地下1階、オフィスからダイニングとラウンジを見る。 photo©関拓弥
中村篤史+佐藤ひらり / Kraft Architectsが設計した、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」です。
森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用しました。建築家は、“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案しました。また、支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組んでいます。
本計画のクライアントは、そうした地域において生活を下支えする担い手として成長してきた会社である。森林整備や支障木伐採を主軸に、特殊伐採、森林調査、蜂の駆除、除雪、土木造園、祭りの担い手に至るまで、分野横断的に地域の要請を引き受けてきた。地域に深く根を張る一方で、組織の拡張や世代交代に伴い、これからの地域や会社のあり方をめぐる思考や議論が、より切実なものとして立ち上がりつつあった。
本社機能の拡充と移転を目的とした本計画は、社長が幼少期を過ごした住宅を事務所に改修することを条件として始まった。
約6名の日常的な執務空間に加え、最大20名程度が一堂に会し、意見を交わす場が求められた。その背景には、変化を志向する意志と、地域や組織が積み重ねてきた価値観を大切に受け継ごうとする姿勢とが併存する、地方に固有の緊張感が存在していた。
敷地は、河岸段丘上に形成された市街地を見下ろす高台に位置する。南側道路から北側へと緩やかに下る地形に対し、既存建物は南側の道路レベルに合わせた水平な床を持つ構成であった。斜面に適応しながら高さを変え、大地と強く結びつく物質感のある基礎に着目し、これを地域の下支えしてきたクライアントの姿勢に重ね合わせ、建築の中心的要素として再解釈することを設計の起点とした。
道路レベルより下部には、大地に近づくにつれて密度を増す執務空間を配置し、外部と視線の切れる静かで落ち着きのある実務の場とした。一方、上部には用途を限定しない余白のある空間を設け、テーブルやキッチン、薪ストーブ、ソファーなどが緩やかに配置され、立場や世代、価値観の違いを超えて人が集い、思考や対話が行き交う場としている。
「大地に根差した物質感のある内部空間」を組織の核として大きな吹抜けにまとめ、その周囲をスキップフロア状の空間が取り囲む構成とすることで、異なる思考や温度感を内包しながらも、関係性が編み直されていく場を目指した。
さらに、光や風、季節や時間によって移ろう環境条件を丹念に読み取り、それらを内部へと引き込むことで、自然要素が各空間を横断する構成とした。森の中で自然に向き合い、その都度最適な距離を選び取ってきたクライアントの姿勢になぞらえ、光や風を、状況に応じて距離感を調整し続けるための媒介として位置づけている。
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Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む俯瞰、南側より見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む外観、南西側の道路より見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む外観、南西側の道路より見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む外観、北西側より見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む外観、北側より見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、エントランス側から土間越しにダイニングを見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、ダイニングから開口部越しに土間を見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、ダイニング photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、ダイニングからオフィス側を見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階から地下1階への階段 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む地下1階、オフィス photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む地下1階、オフィス photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む地下1階、倉庫 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む地下1階、オフィスからダイニングとラウンジを見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、ラウンジから開口部越しに外部を見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、ラウンジからオフィスとダイニングを見る。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、左:オフィス、中央手前:会議室、中央奥:ダイニング、右:ラウンジ photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、会議室 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、会議室 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階、ダイニング、架構を見上げる。 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む俯瞰、南側より見る。夕景 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む外観、南西側の道路より見る。夕景 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む外観、南側より見る。夜景 photo©関拓弥

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む1階平面図 image©Kraft Architects

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む地下1階平面図 image©Kraft Architects

Kraft Architectsによる、岐阜・飛騨市の「神岡オフィス」。森林整備などを行う企業の為に既存住宅を転用。“物質感のある基礎”を設計の起点とし、“大地に近づくにつれて密度を増す”執務空間を中核とする構成を考案。支障木も建材として用いて“資源循環”にも取組む断面図 image©Kraft Architects
以下、建築家によるテキストです。
間合いを生きる|河岸段丘にひらかれた拠点
岐阜県飛騨市神岡町は、奈良時代からの伝承を残し、かつて東洋一の規模を誇った神岡鉱山とともに発展してきた町である。
1960年頃には人口27,000人を超える鉱山町として繁栄したが、鉱山の衰退とともに人口減少が進み、現在は約7,000人まで縮小している。高齢化と担い手不足は、この町に限らず多くの地方都市が抱える構造的課題である。
本計画のクライアントは、そうした地域において生活を下支えする担い手として成長してきた会社である。森林整備や支障木伐採を主軸に、特殊伐採、森林調査、蜂の駆除、除雪、土木造園、祭りの担い手に至るまで、分野横断的に地域の要請を引き受けてきた。地域に深く根を張る一方で、組織の拡張や世代交代に伴い、これからの地域や会社のあり方をめぐる思考や議論が、より切実なものとして立ち上がりつつあった。
本社機能の拡充と移転を目的とした本計画は、社長が幼少期を過ごした住宅を事務所に改修することを条件として始まった。
約6名の日常的な執務空間に加え、最大20名程度が一堂に会し、意見を交わす場が求められた。その背景には、変化を志向する意志と、地域や組織が積み重ねてきた価値観を大切に受け継ごうとする姿勢とが併存する、地方に固有の緊張感が存在していた。
敷地は、河岸段丘上に形成された市街地を見下ろす高台に位置する。南側道路から北側へと緩やかに下る地形に対し、既存建物は南側の道路レベルに合わせた水平な床を持つ構成であった。斜面に適応しながら高さを変え、大地と強く結びつく物質感のある基礎に着目し、これを地域の下支えしてきたクライアントの姿勢に重ね合わせ、建築の中心的要素として再解釈することを設計の起点とした。
道路レベルより下部には、大地に近づくにつれて密度を増す執務空間を配置し、外部と視線の切れる静かで落ち着きのある実務の場とした。一方、上部には用途を限定しない余白のある空間を設け、テーブルやキッチン、薪ストーブ、ソファーなどが緩やかに配置され、立場や世代、価値観の違いを超えて人が集い、思考や対話が行き交う場としている。
「大地に根差した物質感のある内部空間」を組織の核として大きな吹抜けにまとめ、その周囲をスキップフロア状の空間が取り囲む構成とすることで、異なる思考や温度感を内包しながらも、関係性が編み直されていく場を目指した。
さらに、光や風、季節や時間によって移ろう環境条件を丹念に読み取り、それらを内部へと引き込むことで、自然要素が各空間を横断する構成とした。森の中で自然に向き合い、その都度最適な距離を選び取ってきたクライアントの姿勢になぞらえ、光や風を、状況に応じて距離感を調整し続けるための媒介として位置づけている。
また本計画では、建築が内包する態度を素材の選択にまで拡張するかたちで、支障木伐採を起点とした資源循環の取り組みも進めている。神岡鉱山の荒廃地に植林された外来種・ニセアカシアを建材化し、組織の新たな議論や試みが生まれる場として位置づけた1階スキップフロアの床全面に用いた。材の特性を引き受けるため、寸法や貼り方を再考し、地域の製材所と協働したサプライチェーンを構築している。
河岸段丘の中にひしめくこの町では、地形に寄り添う暮らしと、外部から持ち込まれた近代的で軽やかな生活様式とが、優劣を持たずに重なり合ってきた。鉱山の発展とともに最先端の文化や建築が導入される一方で、多様な出自や立場をもつ人々の労働と生活が同じ段丘の中に折り重なり、この土地特有の層状の環境が形づくられてきた。
本計画では、その歴史的に重なり合ってきた関係性を読み替えるように、段丘に根差す重さと、そこから距離を取る軽やかさとを、スキップフロアによる連続した空間として編み直している。
この建築が目指したのは、価値観を一つに収束させることではない。思考や態度が時間をかけてほぐれ、更新されていく過程を受け止める複数のレベルをもつ居場所として、河岸段丘の上に静かに佇んでいる。
■建築概要
所在地:岐阜県飛騨市神岡町
主要用途:オフィス
設計:Kraft Architects 担当/中村篤史、佐藤ひらり
構造:周設計 担当/平木裕文
施工:溝口建築
用途地域:指定なし 分類Ⅴ
敷地面積:210㎡(63.52坪)
建築面積:71.10㎡(21.50坪)
1階床面積:71.10㎡(21.50坪)
地下1階床面積:40.29㎡(12.18坪)
延床面積:111.39㎡(33.69坪)
構造:木造、地下1階 地上1階
工事期間:2024年1月~2025年4月
竣工:2025年3月
写真:関拓弥