中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 外観、北西側の道路から見る、夜景 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 左手前:店主カウンター、左奥:厨房、中央:客席、右:座敷 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 客席からエントランス側を見る。 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 天井の詳細 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所 が設計した、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」です。
伝統ある市場内の寿司店の改修計画です。建築家は、心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向しました。そして、“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替えました。店舗の場所はこちら (Google Map)。
石川県金沢市の中心部にある近江町市場は、江戸時代から300年以上ものあいだ金沢の食文化を支えている伝統ある市場であり、若者やインバウンドにも人気の観光スポットだ。この計画は、近江町市場で60年つづく、海鮮丼で有名な寿司レストランの店舗改修計画である。
コロナ禍で生まれた「不安感」を払拭し、ゲストに安心して飲食を楽しんでもらうための心身を癒す要素を取り入れることを念頭に、「自然空間」がもたらす清潔感と開放感を演出する建築的操作によって、寿司レストランの新しい在り方を提案することを目指した。
この計画を進めるにあたって、市場空間と店舗空間の連続性と対比性に焦点をあてた。
近江町市場の魅力は、新鮮な食材だけでなく活気ある市場空間の雰囲気を味わえるところにある。市場の臨場感を店内に取り込むために、市場空間と店舗空間に連続性を持たせることにした。
市場特有の生き生きとした感覚を味わえるように、店内に活魚をさばく作業場と同じようなコンクリートの砂利洗い出し床を採用した。また、カウンターボリュームを独立型とし、客席とホストの作業場側の床に連続性を持たせた。
魚を加工する空間と味わう空間との一体感を出すとともに、寿司レストランの伝統建築様式にみられるゲストとホストの劇場型の関係を崩すことで、店内の臨場感を高めた。
市場の雰囲気を店内に取り込む一方で、飲食店として確保したい清潔感や明るさ、華やかさを演出するため、市場空間との間に対比性を与えた。
面分割のファサードデザインにより市場のスケールから徐々にスケールダウンされた開口、そこに配された繊細な格子戸を通ることで、市場の喧騒から店舗空間への心身の切り替えを可能にした。また、店内の主配色に白を採用し、床から天井にかけて白のグラデーション空間をつくった。
このグラデーションの延長で、太陽光に近い12000Kの色温度の照明を天井のスリットに効果的に配置することによって、天井奥に自然空間が存在するように見せている。
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中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 外観、北西側の道路から見る、夜景 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える エントランス側から、客席越しに店主カウンターと厨房を見る。 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 左手前:店主カウンター、左奥:厨房、中央:客席、右:座敷 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 客席からエントランス側を見る。 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 客席の詳細 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 客席から手洗側を見る。 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 手洗への出入口 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 天井の詳細 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 床の詳細 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える サインの詳細 photo©Comlab 高見重太郎
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 平面図 image©中西昭太建築事務所
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 立面図 image©中西昭太建築事務所
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 断面図 image©中西昭太建築事務所
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 断面図 image©中西昭太建築事務所
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 断面図 image©中西昭太建築事務所
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 断面図 image©中西昭太建築事務所
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 断面図 image©中西昭太建築事務所
中西昭太建築事務所による、石川・金沢市の飲食店「Sushi Restaurant in Kanazawa」。伝統ある市場内の寿司店の改修計画。心身も癒す“新しい在り方”を求め、市場と店舗の“連続と対比”に焦点をあてる設計を志向。“洗出し床”で雰囲気を繋げつつ“太陽光に近い疑似自然光”で印象を切替える 断面スケッチ image©中西昭太建築事務所
以下、建築家によるテキストです。
疑似的な自然空間
石川県金沢市の中心部にある近江町市場は、江戸時代から300年以上ものあいだ金沢の食文化を支えている伝統ある市場であり、若者やインバウンドにも人気の観光スポットだ。この計画は、近江町市場で60年つづく、海鮮丼で有名な寿司レストランの店舗改修計画である。
コロナ禍で生まれた「不安感」を払拭し、ゲストに安心して飲食を楽しんでもらうための心身を癒す要素を取り入れることを念頭に、「自然空間」がもたらす清潔感と開放感を演出する建築的操作によって、寿司レストランの新しい在り方を提案することを目指した。
この計画を進めるにあたって、市場空間と店舗空間の連続性と対比性に焦点をあてた。
近江町市場の魅力は、新鮮な食材だけでなく活気ある市場空間の雰囲気を味わえるところにある。市場の臨場感を店内に取り込むために、市場空間と店舗空間に連続性を持たせることにした。
市場特有の生き生きとした感覚を味わえるように、店内に活魚をさばく作業場と同じようなコンクリートの砂利洗い出し床を採用した。また、カウンターボリュームを独立型とし、客席とホストの作業場側の床に連続性を持たせた。
魚を加工する空間と味わう空間との一体感を出すとともに、寿司レストランの伝統建築様式にみられるゲストとホストの劇場型の関係を崩すことで、店内の臨場感を高めた。
市場の雰囲気を店内に取り込む一方で、飲食店として確保したい清潔感や明るさ、華やかさを演出するため、市場空間との間に対比性を与えた。
面分割のファサードデザインにより市場のスケールから徐々にスケールダウンされた開口、そこに配された繊細な格子戸を通ることで、市場の喧騒から店舗空間への心身の切り替えを可能にした。また、店内の主配色に白を採用し、床から天井にかけて白のグラデーション空間をつくった。
このグラデーションの延長で、太陽光に近い12000Kの色温度の照明を天井のスリットに効果的に配置することによって、天井奥に自然空間が存在するように見せている。
直線的なファサードデザインや格子、仕上げ素材にも、城下町金沢の伝統的な和のテイストを引き継ぐ要素はあるが、空間内の適切な塩梅の曲線の存在も、和を演出するために欠かせない一つの要素となる。
今回はこの曲線を天井に取り入れ、曲面の下り天井とした。曲面の下り天井は、ゲストとホストの距離感を調整するだけでなく、天井奥の疑似的な自然光を店舗空間の中心に立体的なグラデーションをともなって滑らかに導く。
ほかの寿司レストランでは見られない特殊な曲面形状、そこに和の素材の中でも特に繊細に美しく光を映し出す漆喰を採用することで、和を纏った疑似的な自然空間が成立する。市場空間と対照的な、洗練された疑似的自然空間によって、店内に清潔感と開放感が演出された。
この疑似的な自然空間との連続を果したモダンな和の空間は、清潔感や明るさ、華やかさを備えており、ゲストが安心してそれぞれの食の時間を楽しめる、開放的な新しい寿司レストランの在り方を提示している。
■建築概要
題名:Sushi Restaurant in Kanazawa
所在地:石川県金沢市
主用途:飲食店
設計:中西昭太建築事務所
担当:中西昭太
施工:SCHEME
構造:木造
階数:地上2階
敷地面積:106.88㎡
建築面積:78.86㎡
延床面積:147.83㎡
1階床面積:78.86㎡
2階床面積:68.97㎡
設計:2021年2月~2021年4月
工事:2021年6月~2021年7月
竣工:2021年7月
写真:Comlab(高見重太郎)