
SHARE 浜田晶則建築設計事務所による、東京・千代田区の店舗「パンとエスプレッソと東京&TOKYO」。共用通路と駅連絡通路に挟まれた区画。行き交う人々を自然と引き込む為に、通路と同じタイルを使い“境界を曖昧”にして“店内を横切れる”平面計画を考案。“ひとつながりの土窯の様な什器”で象徴性も付与する



浜田晶則建築設計事務所が設計した、東京・千代田区の店舗「パンとエスプレッソと東京&TOKYO」です。
共用通路と駅連絡通路に挟まれた区画での計画です。建築家は、行き交う人々を自然と引き込む為に、通路と同じタイルを使い“境界を曖昧”にして“店内を横切れる”平面計画を考案しました。また、“ひとつながりの土窯の様な什器”で象徴性も付与しています。店舗の場所はこちら(Google Map)。
丸の内ビルディング内のテイクアウト専門のベーカリーの計画である。
リニューアルされた地下のフードゾーン「マルチカ」エリアの共用通路と駅の連絡通路に挟まれた角地に面しており、連絡通路から店舗区画を通り抜けて共用通路へと横切ることができる平面計画とした。
床には共用部の通路と同じタイルを使用し、店舗区画内に対して共用部の通路を拡張させることで区画の境界が曖昧になるようにし、通りの人々を自然と引きこもうとした。
2つの通路に沿って流れるように配置した什器を、土窯のように左官で仕上げた。
構造は鉄骨と木をハイブリッドさせることで、形態の自由度とスパンを両立させた。鉄骨がアーチを支える背骨の役割となり、曲線で加工した木板をワッフル上に組むことで肋状の骨組みを構成した。その上に金属のラス網と左官材を重ねて塗り、滑らかなサーフェスを成形した。
それぞれの素材特性を複合させることで、生物のように軽やかさと強さを両立する什器である。カウンター・棚・出入口が連続する、ひとつながりの土窯のような什器が、人々が行き交う通路沿いに象徴的に存在し、人々を迎え入れ、記憶に残る場になることを期待している。
以下の写真はクリックで拡大します


















以下、建築家によるテキストです。
ひとつながりの土窯のような什器
丸の内ビルディング内のテイクアウト専門のベーカリーの計画である。
リニューアルされた地下のフードゾーン「マルチカ」エリアの共用通路と駅の連絡通路に挟まれた角地に面しており、連絡通路から店舗区画を通り抜けて共用通路へと横切ることができる平面計画とした。
床には共用部の通路と同じタイルを使用し、店舗区画内に対して共用部の通路を拡張させることで区画の境界が曖昧になるようにし、通りの人々を自然と引きこもうとした。
2つの通路に沿って流れるように配置した什器を、土窯のように左官で仕上げた。
構造は鉄骨と木をハイブリッドさせることで、形態の自由度とスパンを両立させた。鉄骨がアーチを支える背骨の役割となり、曲線で加工した木板をワッフル上に組むことで肋状の骨組みを構成した。その上に金属のラス網と左官材を重ねて塗り、滑らかなサーフェスを成形した。
それぞれの素材特性を複合させることで、生物のように軽やかさと強さを両立する什器である。
カウンター・棚・出入口が連続する、ひとつながりの土窯のような什器が、人々が行き交う通路沿いに象徴的に存在し、人々を迎え入れ、記憶に残る場になることを期待している。
■建築概要
題名:パンとエスプレッソと東京&TOKYO
所在地:東京都千代田区
主用途:店舗
設計:浜田晶則建築設計事務所 担当/浜田晶則、田邊剛士、結城宗哉
施工:丹青社
家具:注文家具キノカグヤ
特殊左官:大橋左官
竣工:2023年4月
写真:千葉正人
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 売場 床 | 磁器質タイル |
内装・壁 | 厨房 壁 | EP塗装 |
内装・造作家具 | 什器カウンター | 特殊左官 |
内装・造作家具 | 什器棚 | 木部:メタリックEP塗装(カラーワークス) |
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Seamlessly Connected Clay Oven-Like Counter
This project involves the design of a takeaway-only bakery within the Marunouchi Building. The site is located at a corner between the shared walkway of the newly renovated underground food zone “Maru-chika” and the connecting passage to the station. The layout allows people to pass through the store space from the connecting passage to the shared walkway. The floor tiles used in the store are identical to those in the shared walkway, creating a sense of continuity and blurring the boundary between the store and the public space. This design aims to naturally draw people in from the bustling walkway.
A single counter, resembling a clay oven, flows seamlessly along the two pathways and is finished with plasterwork. The structure combines steel and wood, achieving both design flexibility and structural span. The steel acts as a spine supporting the arches, while curved wooden panels are assembled into a waffle-like ribbed frame. Over this framework, metal lath and plaster materials are layered to form a smooth surface.
By integrating the distinct characteristics of each material, the counter achieves both lightness and strength, reminiscent of a living organism. This single, flowing counter—spanning the register, shelves, and entrances—symbolically stretches along the pathways where people come and go. Like a clay oven, this design element welcomes visitors, leaving a lasting impression and creating a memorable space.
BREAD,ESPRESSO & TOKYO
Location: Chiyoda, Tokyo
Category: Cafe and Bakery
Design: Aki Hamada Architects. Aki Hamada, Takeshi Tanabe, Soya Yuki
Construction: TANSEISHA
Furniture: KINOKAGUYA
Plasterer: Ohashi Sakan
Year: 2023
Photo: Masato Chiba