メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施外観、南庭より見る。 photo©福田駿
メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施エントランスにつながるポーチ photo©福田駿
メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、ロビー photo©福田駿
メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、リビングから開口部越しに南庭を見る。 photo©福田駿
平井充+山口紗由 / メグロ建築研究所が設計した、東京都の「Hタウンハウス保存改修プロジェクト」です。
タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画です。建築家は、“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施しました。
保存改修プロジェクトでは、毎回何をどう残すのかが問われる。
改変があっても建築が残れば保存かといえば、デザインの変更の割合が大きければ保存とは言えなくなるし、材料の変更の割合が大きくなればレプリカと呼ばれたりする。材料の成分にも、時代背景による固有性があるため保存の対象となるからだ。
しかし、建築の時を止める凍結保存ではなく、リビング・ヘリテージとして継承していく場合、現代の生活に慣れてしまった私たちには不具合もあるし、昔と異なる設備をそのまま使うことも難しい。これからも使い続けていくためには、機能しないものや傷んだものはアップデートしなければならない。
今回は、F.L.ライトのタリアセンやミノル・ヤマサキ事務所で研鑽を積んだ建築家一ノ宮賢治が帰国後間もなく設計し、1969年に建てられた賃貸集合住宅の保存改修プロジェクトだ。
現在の高さ規制ができる前に建てられたため、建物を北側に寄せた配置による広い緑豊かな南庭は、地域にゆとりと潤いをもたらしている。原設計者が敷地内にあった3本の大きな松とその根を避けた平面計画としたことにより、今でも地域の風景を形成している。
また、3階にはシャルロット・ペリアン夫妻が住んでいたため、3階のインテリアデザインをペリアンが手がけていた。
今回のプロジェクトは、所有者の代替わりを契機に、原設計の魅力の再生と緑豊かな環境を継承し、再び半世紀使い続けていきたいという意志のもとに始まった。
設計ではまず、原設計者へのヒアリングと原設計図に基づきオリジナルと増築部、改修部を調査した。
その結果、間取りが大きく変更され、1階と屋上に増築がされていた。スチールサッシも腐食やアルミサッシへの交換がみられた。特に外壁は、浸水により分厚い外壁防水が塗装され美観を損ねていた。
内部では、エントランス共有部と造作家具の一部、ペリアンがデザインした建具が竣工時のまま残っていた。
そこで僕らは、このプロジェクトで「A.最低限のメンテナンス、B.今後50年を使用することを見据えた機能的改善、C.グレードアップを目的としたリノベ」という3つの方針を部位ごとに設定した。
例えば、室内のエントランス共有部とペリアンがデザインした建具はA、屋上と外壁は外的環境に晒されるためB、各住戸内はCに相当し、現代のニーズに合わせた間取りに変更して設備の更新をしている。
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メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施外観、南側の道路より見る。 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施外観、南庭より見る。 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施エントランスにつながるポーチ photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、ロビー photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、リビングから開口部越しに南庭を見る。 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、リビングから開口部越しに南庭を見る。 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、リビング、サッシ廻りの詳細 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、ダイニング photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、ダイニングキッチン photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、寝室1 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、洗面脱衣室WC1 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施2階、リビングから開口部越しにバルコニーを見る。 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施2階、ダイニング photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施3階、階段ホール(建具は、シャルロット・ペリアンのデザイン) photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施3階、階段ホール(建具は、シャルロット・ペリアンのデザイン) photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施3階、リビング photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施3階、ダイニング photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施3階、主寝室 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施3階、寝室1 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施屋上 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階、南庭からテラスを見る。夕景 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施外観、南庭より見る。夕景 photo©福田駿

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施地下1階平面図 image©メグロ建築研究所

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施1階平面図 image©メグロ建築研究所

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施2階平面図 image©メグロ建築研究所

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施3階平面図 image©メグロ建築研究所

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施屋上平面図 image©メグロ建築研究所

メグロ建築研究所による、東京の「Hタウンハウス保存改修」。タリアセンで学んだ建築家“一ノ宮賢治”の集合住宅を対象とした計画。“リビング・ヘリテージ”として継承する為、部位毎に“メンテナンス・機能的改善・グレードアップ”の3方針から選択して対処する改修を実施改修前の様子 photo©メグロ建築研究所
以下、建築家によるテキストです。
継承していくための手入れ
保存改修プロジェクトでは、毎回何をどう残すのかが問われる。
改変があっても建築が残れば保存かといえば、デザインの変更の割合が大きければ保存とは言えなくなるし、材料の変更の割合が大きくなればレプリカと呼ばれたりする。材料の成分にも、時代背景による固有性があるため保存の対象となるからだ。
しかし、建築の時を止める凍結保存ではなく、リビング・ヘリテージとして継承していく場合、現代の生活に慣れてしまった私たちには不具合もあるし、昔と異なる設備をそのまま使うことも難しい。これからも使い続けていくためには、機能しないものや傷んだものはアップデートしなければならない。
今回は、F.L.ライトのタリアセンやミノル・ヤマサキ事務所で研鑽を積んだ建築家一ノ宮賢治が帰国後間もなく設計し、1969年に建てられた賃貸集合住宅の保存改修プロジェクトだ。
現在の高さ規制ができる前に建てられたため、建物を北側に寄せた配置による広い緑豊かな南庭は、地域にゆとりと潤いをもたらしている。原設計者が敷地内にあった3本の大きな松とその根を避けた平面計画としたことにより、今でも地域の風景を形成している。
また、3階にはシャルロット・ペリアン夫妻が住んでいたため、3階のインテリアデザインをペリアンが手がけていた。
今回のプロジェクトは、所有者の代替わりを契機に、原設計の魅力の再生と緑豊かな環境を継承し、再び半世紀使い続けていきたいという意志のもとに始まった。
設計ではまず、原設計者へのヒアリングと原設計図に基づきオリジナルと増築部、改修部を調査した。
その結果、間取りが大きく変更され、1階と屋上に増築がされていた。スチールサッシも腐食やアルミサッシへの交換がみられた。特に外壁は、浸水により分厚い外壁防水が塗装され美観を損ねていた。
内部では、エントランス共有部と造作家具の一部、ペリアンがデザインした建具が竣工時のまま残っていた。
そこで僕らは、このプロジェクトで「A.最低限のメンテナンス、B.今後50年を使用することを見据えた機能的改善、C.グレードアップを目的としたリノベ」という3つの方針を部位ごとに設定した。
例えば、室内のエントランス共有部とペリアンがデザインした建具はA、屋上と外壁は外的環境に晒されるためB、各住戸内はCに相当し、現代のニーズに合わせた間取りに変更して設備の更新をしている。
この改修で分かりやすい箇所は、外観の印象を左右していた屋上の増築部の撤去と、架空電線の地中化、耐震補強壁だろう。しかし、特に重要なのは外部環境で躯体を水の侵入から守ることだ。外壁のタイル面とボーダー部の左官では、漏水があったため、後から分厚い防水塗膜が施されていたが、その塗膜も劣化して浮きが目立っていた。ここは機能的改善が必要な部分であるため、タイル面の防水塗膜を剥離して新たな壁面防水を施した。
ただし、左官部では、防水層を剥離すると左官ごと剥がれてしまうことがわかった。この左官は、メサライト混合モルタルを小叩した赤みのあるものだったが、パラペットの笠木部分も同じ仕上げのため、浸水を防げないと判断した。そこで剥離の激しい箇所以外は撤去せず、骨材入りのアクリル樹脂系の石調仕上げを上塗りすることでオリジナルの素材を残置した。ここは似て非なるものを避けるため同じ色調を避け、煙突や駐車場のコンクリート仕上げに合わせてグレー色として全体的な連続性をつくった。
また1階のスチールサッシ廻りでは、CT鋼の腐食部をカットして新たに同断面部材を溶接補修し、水捌けの悪さの原因となっていたテラスを作り替えて水の逃げ道を作っている。さらにスチールサッシと木製フローリングの間を黒御影石のボーダーで見切り、結露対策としている。サッシは、アルミとスチールが混在しており、スチールが黒色に塗られていたためシルバー色に再塗装して、サッシ全体をアルミに合わせて統一した。断熱性能に課題を残したが、これは今後に改善していきたい。
建築保存の対象は、建築家が設計したものから古民家のようなアノニマスな価値を持つものまである。都市ストックの対象となるビルや倉庫などは、継承には違いないが「保存」というより「活用」の部類に入る。
保存には、何かしらの文化的価値を継承していく行為が含まれている。保存改修においては、その価値をどこに見出し、どのように残すかが問われる。文化財であれば、時を巻き戻す「復原」も選択肢となるが、そうでない場合に復原が求められることはほぼない。
とはいえ、文化財に指定されてなければ文化的価値がないわけでない。むしろ、文化財に指定されていない文化的価値を持つ多くの建築たちが、日々の暮らしにおける建築文化を構成しているといってよい。
また、文化財指定をゴールだと思っていても、増え続ける文化財の修繕に回す予算もいずれ厳しくなるだろう。
そうした建築を自立した体制で、丁寧に手入れしながら継承していくことによってこそ、私たちの生活空間に時間的な奥行きが生まれて、より豊かなものになるはずだ。
■建築概要
所在地:東京都
主用途:共同住宅
原設計:一ノ宮賢治
改修設計:メグロ建築研究所 担当/平井充、山口紗由
原施工:大明建設
改修施工:佐藤秀 担当/望月雅也
構造設計(耐震補強):清水構造計画 担当/清水靖真
構造:RC造
階数:地下1階、地上3階
敷地面積:710.12㎡
建築面積:403.15㎡
延床面積:803.89㎡
設計:1期工事 / 2022年11月~2023年4月(外部・1階・3階)
2期工事 / 2024年7月~2024年9月(2階)
工事:1期工事 / 2023年5月~2024年4月(外部・1階・3階)
2期工事 / 2024年10月~2025年1月(2階)
写真:福田駿