甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北西側より見る。 photo©kenta Hasegawa
甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北東側より見る。 photo©kenta Hasegawa
甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする西側より通路を見る。 photo©kenta Hasegawa
甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする通路から芝生広場を見る。 photo©kenta Hasegawa
甘粕敦彦 / 甘粕建築設計事務所が設計した、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ 丘の小道」です。
“最小単位の公共建築”として構想された施設です。建築家は、環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案しました。また、緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にしています。施設の場所はこちら(Google Map)。
横浜市中区の高台にある根岸森林公園内の一角にある公共トイレです。
日本初の洋式競馬場の跡地で、1977年に公園として開放されました。広大な芝生広場と自然の丘陵が特徴で、芝生広場の外周に整備された一周1.3kmの園路では、日々多くの人が散歩やランニングをしています。
初めて訪れた際、起伏に富んだランドスケープと、人々の散歩・ピクニック・凧揚げなどを楽しむ姿が一体となった躍動感に感銘を受けました。この生き生きとした風景の延長に、ふと通り抜けたくなるような自然の小道としての公共トイレの姿を描きたいと思いました。
本計画は、敷地の自然環境への影響を極力抑えることを重視しました。元の地形を残すため、建築範囲を一筋の円弧状の道に集約しました。芝生広場、植栽帯、建築、高木エリアをレイヤー状に重ねることで、周囲に溶け込んだ控えめな存在感を目指しました。
園路からなめらかに分岐する緩勾配のアプローチは、車いすやベビーカー利用者を含め、だれもが自然の地形を楽しみながら通り抜けられるようにしています。
植栽帯には、「花系多年草」「グラス類」「低木常緑樹」の3つのグループを織り交ぜながら配置しました。歩くごとに変わるシークエンスとともに、多彩な植栽の表情や季節の移ろいを感じます。特に風にそよぐグラス類は、シーンに軽やかな動きを添えます。
建物は分節したヴォリュームとすることで、日照を多く確保し、湿気がこもりやすい手洗い場は、半屋外の風通しの良い環境としました。ハイサイドライトや軒下に通しの換気スリットを設け、自然採光・自然換気により、長く快適なトイレを維持できるパッシブな環境計画としました。
屋根は軽やかな形状を実現するため、木と鉄骨のハイブリッド構造としました。難易度の高い屋根の3次曲面は、汎用部材を組み合わせたオリジナルの接合金物を製作し、シンプルな工法ながら高精度な施工が実現できるディテールとしました。また、風解析による検証を行い、妻側を絞り中央に向かって膨らむアーチ形状とすることで、風の進入を抑えつつ軒下では風速が穏やかになる環境を実現しました。
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甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、南側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北西側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北西側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北東側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、西側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、西側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする西側より通路を見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする通路から手洗いを見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする手洗い側から男子トイレを見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする男子トイレ側から手洗いを見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする西側からバリアフリートイレを見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする通路からバリアフリートイレを見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にするバリアフリートイレ、壁と開口部の詳細 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする車椅子の待機スペース側から開口部越しにバリアフリートイレを見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にするバリアフリートイレ photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする通路から芝生広場を見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北東側より見る。 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、西側より見る。夕景 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする外観、北側より見る。夜景 photo©kenta Hasegawa

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする配置図 image©甘粕建築設計事務所

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする平面図 image©甘粕建築設計事務所

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にする立面図 image©甘粕建築設計事務所

甘粕敦彦による、神奈川・横浜市の「根岸森林公園トイレ」。“最小単位の公共建築”として構想された施設。環境負荷が少なく周囲に溶け込む存在を求め、既存地形も維持できる“円弧状の道”と一体となる建築を考案。緩勾配のアプローチで車いす等での通り抜けも可能にするアクソメ図 image©甘粕建築設計事務所
以下、建築家によるテキストです。
小道としての公共建築
横浜市中区の高台にある根岸森林公園内の一角にある公共トイレです。
日本初の洋式競馬場の跡地で、1977年に公園として開放されました。広大な芝生広場と自然の丘陵が特徴で、芝生広場の外周に整備された一周1.3kmの園路では、日々多くの人が散歩やランニングをしています。
初めて訪れた際、起伏に富んだランドスケープと、人々の散歩・ピクニック・凧揚げなどを楽しむ姿が一体となった躍動感に感銘を受けました。この生き生きとした風景の延長に、ふと通り抜けたくなるような自然の小道としての公共トイレの姿を描きたいと思いました。
本計画は、敷地の自然環境への影響を極力抑えることを重視しました。元の地形を残すため、建築範囲を一筋の円弧状の道に集約しました。芝生広場、植栽帯、建築、高木エリアをレイヤー状に重ねることで、周囲に溶け込んだ控えめな存在感を目指しました。
園路からなめらかに分岐する緩勾配のアプローチは、車いすやベビーカー利用者を含め、だれもが自然の地形を楽しみながら通り抜けられるようにしています。
植栽帯には、「花系多年草」「グラス類」「低木常緑樹」の3つのグループを織り交ぜながら配置しました。歩くごとに変わるシークエンスとともに、多彩な植栽の表情や季節の移ろいを感じます。特に風にそよぐグラス類は、シーンに軽やかな動きを添えます。
建物は分節したヴォリュームとすることで、日照を多く確保し、湿気がこもりやすい手洗い場は、半屋外の風通しの良い環境としました。ハイサイドライトや軒下に通しの換気スリットを設け、自然採光・自然換気により、長く快適なトイレを維持できるパッシブな環境計画としました。
屋根は軽やかな形状を実現するため、木と鉄骨のハイブリッド構造としました。難易度の高い屋根の3次曲面は、汎用部材を組み合わせたオリジナルの接合金物を製作し、シンプルな工法ながら高精度な施工が実現できるディテールとしました。また、風解析による検証を行い、妻側を絞り中央に向かって膨らむアーチ形状とすることで、風の進入を抑えつつ軒下では風速が穏やかになる環境を実現しました。
公園の資源を守るための様々な試みも実施しました。建設残土を園内樹木のむき出しになった根の保護や、建物外壁の左官材に再利用するなど、園内資源の循環を図りました。雨水を積極的に活用するため、降った雨を満遍なく植栽帯に分散しています。そして、雨水浸透をより促し、周囲の土壌を育成するための土中環境改良も行いました。
本計画では、公共トイレを「最小単位の公共建築」と捉え、市民との共創や地域性の表現を軸に設計を進めました。共創のプロセスは、車いすユーザーへのヒアリングを通じて、スロープ勾配を検証し、バリアフリートイレのための前室スペースの確保、使用実態に基づいた衛生設備の寸法調整や造作の整備を行いました。
地域性の表現として、横浜がかつて植物貿易と園芸文化の拠点であった歴史にも着目し、ひろく市民が地域の園芸文化に触れる機会をつくりたいと考えました。子どもたちとともに市内産の苗木を植樹するワークショップを開催し、地域住民の建物への愛着と関係性づくりを目指しました。
また、横浜由来の桜(ヨコハマヒザクラ)や、この地で失われた在来種(ツリガネニンジン、アキノキリンソウ等)を再び植えることで、地域の自然風景の再生も試みました。小さいながらも、地域に根ざした公共建築としての役割を模索し取り組みました。
■建築概要
題名:根岸森林公園トイレ 丘の小道
所在地:神奈川県横浜市中区根岸台
主用途:公共トイレ
建築主:横浜市
設計・監理:甘粕建築設計事務所 担当/甘粕敦彦、nenlin 担当/簾藤麻木
コンペ案作成:甘粕敦彦、張昊
構造設計:エウレカ 担当/永井拓生、Waikong Lam
設備設計:株式会社イーエル・ワークショップ
植栽計画アドバイス:仁井谷健
環境解析協力:山本遼子
施工:株式会社タクト
木構造体施工:株式会社シェルター
電気設備施工:京浜電設株式会社
機械設備施工:株式会社京浜設備工業所
構造:木造一部鉄骨造
階数:地上1階
敷地面積:157,985.11㎡
建築面積:64.68㎡
延床面積:48.93㎡
設計:2022年9月~2023年3月
工事:2024年4月~2024年12月
竣工:2024年12月
写真:kenta Hasegawa