
SHARE 【ap編集長の建築探索】vol.005 佐久間徹設計事務所「吉祥寺の書庫」

「ap編集長の建築探索」は、23年の歴史ある建築ウェブメディア「アーキテクチャーフォト」の編集長である後藤連平が、訪問した建築を紹介する連載シリーズです。論考のようなかっちりとした形式ではなく、現地で感じた雰囲気や空気感が伝わるような“ライブ感”のある文体で綴ります。読者の皆様も自身が建築を体験するように読んでいただければ幸いです。
佐久間徹設計事務所「吉祥寺の書庫」
佐久間徹設計事務所が完成させた都内の「書庫」を拝見。
個人のクライアントが収集した、溢れるほどの蔵書を一覧する為に建てられた建築だという、、、!
トイレやシャワーなどの機能は備えられているものの、内部空間の壁面の全てが書棚となっている。回廊形式の平面形で建物の中心には緑豊かな中庭も用意されている。
以前別の作品を拝見した際に佐久間さんから、書庫を設計していると伺っていて、訪問前は、過去に書籍で見たことがあった他の建築家が手がけた蔵のような建築を想像していたのだけど、良い意味で想像を裏切る建築だった。
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また、ガラス張りではあるけれど、日射の影響を抑える性能を備えたガラスを選んでいるとのこと。
建物の中を歩いてみて、ガラス張りだからこそ色々な方向から書棚を眺められるということに気づく。
幅の寸法が抑えられた回廊から直接書棚を眺める時、ガラス越し中庭越しに反対側の書棚も眺める時と、様々に本との距離感が変わる。また、短辺側は回廊の幅が広くなっていて、そこでも本との関係が変わってくる。
また、中庭に出て本を読んだり、回廊の水平材を小さなテーブルのように使って本を読むこともできる。そんな、様々な形で本を楽しむことが出来る空間だと感じた。
また、本を読む合間に庭を眺めたり、外に出て本を読んだりと、建物の中にいながらも気分を転換しながら本を読み続けられる建築なのだなと思った。
そして、本の読み方や扱い方というものは人それぞれであり、このお施主さんの本との関係性を空間化したものがこの建築ではないかとも思った。
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空間を見ると、非常に厳格で同じつくりが反復するような建築だと思うのだけれど、だからこそ、お施主さんの蔵書が書棚に並んだ時に、その並び方や配置によって建築の中に場所性のようようなものが生まれるのだろうと想像した。
たからこそ、是非、書籍が入ってからの様子も見てみたいとも思った、、、!
お施主さん、佐久間さん、ご竣工おめでとうございます!!
(訪問日:2025年7月20日)
後藤連平(ごとう れんぺい)
アーキテクチャーフォト編集長
1979年、静岡県磐田市生まれ。2002年京都工芸繊維大学卒業、2004年同大学大学院修了。組織設計事務所と小規模設計事務所で実務を経験した後に、アーキテクチャーフォト株式会社を設立。22年にわたり建築情報の発信を続けており、現在は、建築と社会の関係を視覚化するWebメディア「アーキテクチャーフォト」の運営をメインに活動。著書に『建築家のためのウェブ発信講義』(学芸出版社)など。




