SHARE フォルム・木村浩一建築研究所による”響き合う家”
以下、建築家によるテキストです。
夫婦と子供、そして猫のための小さな住宅である。
クライアントは、かつてこの土地に建っていた住宅に長年暮らしていた。その住宅が老朽化したため、新たに住宅が建てられることになった。
そこで、「慣れ親しんだ環境の中で、新鮮な感覚を得られる住宅」の提案を試みた。
外観は、複数のヴォリュームを組み合わせ、色を配置することで成り立っている。ヴォリューム間の色を、コントロールすることで、ファサードそのものに奥行きを与えると同時に、エントランスまでのシークエンスを効果的に演出している。
内部空間では、階段と吹き抜けをコアとして建物中央に配置し、それを各スペースと中庭が取り囲む構成とした。そして、各スペースに呼応する素材・色・光を選択し空間の意図をより強く表現させた。
その結果、空間が立体的に立ち上ると同時に、水平方向にも回遊性が生まれ、様々な素材の質感・色・光が相まって、多様な感覚を生み出すことに成功した。
空間と生活が、移り行く光と影によって、響き合い、豊かさを増していくのである。