SHARE 堀尾浩 / 堀尾浩建築設計事務所による「光音の家」
堀尾浩 / 堀尾浩建築設計事務所が設計した住宅「光音の家」です。
以下、建築家によるテキストです。
光音(ひかりね)の家 自然を感じる暮らし
「光音の家」は、二層分の大きな縦長の窓から入ってくる光が、湾曲した壁に導かれるように奥へ奥へと入り込み、この家全体をやわらかな光で満たすことに成功している。
この光は早朝から少しずつ建物内部へと導かれ、夕刻までには徐々に深く強い光へと変化していく。ただこの光は室内を直接照らすのではなく壁で受止め反射させることで、時間経過に伴う光の変化に大きく左右されることなく、常に安定した間接光となって室内全体を包むように意識し設計されている。しかしながら、この安定した光の空間で実際に生活をしてゆくと、導かれる光は日々の天候や雲の流れによって微細に変化していることに意識が向き、室内に導かれる光の量や、時間によって季節の移ろいが身近に感じられるようになる。
暮らしの場は、KitchenからDining、そしてLivingを抜けてDesk spaceへと湾曲する吹抜けに添って奥へと向かうことでやわらかな光へ、そしてより静かな場所へと変化していく。みちびかれる光の変化と暮らしの場が呼応し全体がゆるやかにつながるように平面計画は考えられた。
ひとつひとつの音が連なることで音楽が奏でられるように、常に微細に変化する光の連なりが暮らしのなかにあり、その連なりから自然の息づかいが感じられる「光音の家」。この家は、人と自然をむすぶ家をつくりたいと考える私たちの想いにも応えながら、ここに住まう家族のリズムに合わせ、今日も繊細な光の音を奏でている。
(堀尾浩建築設計事務所・堀尾浩)