SHARE 大野友資 / DOMINO ARCHITECTSによる、神奈川県川崎市のマンションの一室の改装「J House」
all photos©gottingham
大野友資 / DOMINO ARCHITECTSが設計を手掛けた、神奈川県川崎市のマンションの一室の改装「J House」です。
東京近郊、古くからのローカルな街並みと再開発が進むエリアとの境界線に位置するマンションの一室の改装。部屋は最上階にあり、南に向いたベランダからはヒッチコックの「裏窓」を少し上から俯瞰するような風景が広がる。
この家は若い夫婦と2歳になる子供が暮らす家として計画された。子供の成長に伴うライフスタイルの変化を考えると決して広い面積ではないため、角や回りこみ、ニッチなどを意図的に配置することで多様な居場所を作り、空間をより豊かに感じられるよう心がけた。
平面的には壁を一切たてず、収納やトイレが入った木の箱のようなボリュームを配置して空間を仕切ることで、すべての部屋がゆるく繋がる回遊的な空間を計画した。ボリュームの間には引き戸が設けられ、開閉することでフレキシブルに空間の流動性をコントロールできる。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
東京近郊、古くからのローカルな街並みと再開発が進むエリアとの境界線に位置するマンションの一室の改装。部屋は最上階にあり、南に向いたベランダからはヒッチコックの「裏窓」を少し上から俯瞰するような風景が広がる。
この家は若い夫婦と2歳になる子供が暮らす家として計画された。子供の成長に伴うライフスタイルの変化を考えると決して広い面積ではないため、角や回りこみ、ニッチなどを意図的に配置することで多様な居場所を作り、空間をより豊かに感じられるよう心がけた。
平面的には壁を一切たてず、収納やトイレが入った木の箱のようなボリュームを配置して空間を仕切ることで、すべての部屋がゆるく繋がる回遊的な空間を計画した。ボリュームの間には引き戸が設けられ、開閉することでフレキシブルに空間の流動性をコントロールできる。
もう一つ、この住宅で大きなテーマとなっているのが空間とグラフィック、立体と平面、ボリュームとサーフェス、3Dと2Dという既存の枠組みの解体である。ある瞬間には空間的/彫塑的に、またある瞬間には平面的/絵画的に感じるような体験を目指して設計を行った。
木のボリュームの背景となる壁は、活動の種類によって色を変えた。リビングなどのエリアはより明るく、寝室などの落ち着いたエリアはより暗いトーンの色を用いている。天井はコンクリートスラブを露出させ型枠の痕やボルト穴などを残しつつ白塗装することで、そこにもともとあったものと新しく挿入されたものとを柔らかく対比させた。
視覚だけでなく触覚にもバラエティが生まれるように、手に届くところにある部位には、ラワン木材やプラスチック、コンクリートブロックといった手触りが異なる素材を積極的に用いた。床と壁がナチュラルな木質材料で仕上げられている中で、建具や棚板などに鮮やかな色のカラープラスチック板を用いた。ニュートラルな背景の中に要所要所で差し色を入れて場所を印象つけることで、色によってシーンが紡がれていくようにした。
■建築概要
竣工年:2015
所在地:神奈川県川崎市中原区
主要用途:専用住宅
設計・監理:大野友資|DOMINO ARCHITECTS
施工:ヤマキ
床面積:67.91m2+バルコニー
写真:gottingham