長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、神奈川・鎌倉の、築80年以上の日本家屋を改修した事務所兼用住宅「北条SANCI」です。
鎌倉の緑豊かで閑静な住宅街の中にオフィス兼住宅を計画した。
周辺環境もそうだが、敷地内にも豊かな庭があり、緑が覆い囲っている。建物は典型的な日本家屋で、どの部屋も屋外に接しており、襖をはずせば広い間が生まれる作りになっていた。床は地面から60cm上がっていて、主に畳が使われていた。築80年以上になるこの建物に使われている壁や天井の素材は味わいがあり、そのまま放置するか剥がして下地を見せれば、なかなか素敵な表情になることが予測できた。その時、我々は特に床に注目し、それらの在り方を考えることで性格分けをしゾーニングすることを考えた。
本計画は床を操作することで空間を更新させて行ったのだが、その操作によって生まれた多様過ぎる表情を少しコントロールするために、ところどころで無機質なグレイの家具を挿入した。
緩やかに繰り返される有機質と無機質の一定のコントラストが全体の表情をつなぎとめ、空間の多様性さをコントロールした。
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以下、建築家によるテキストです。
北条SANCI
鎌倉の緑豊かで閑静な住宅街の中にオフィス兼住宅を計画した。
周辺環境もそうだが、敷地内にも豊かな庭があり、緑が覆い囲っている。建物は典型的な日本家屋で、どの部屋も屋外に接しており、襖をはずせば広い間が生まれる作りになっていた。床は地面から60cm上がっていて、主に畳が使われていた。築80年以上になるこの建物に使われている壁や天井の素材は味わいがあり、そのまま放置するか剥がして下地を見せれば、なかなか素敵な表情になることが予測できた。その時、我々は特に床に注目し、それらの在り方を考えることで性格分けをしゾーニングすることを考えた。
まず、玄関の土間より40cm高い畳をベースにそれぞれの広さと素材を操作し、さらにその上に設置される家具によって、より各々の部屋の性格分けを行った。さらにレベル差に緩急を与えることで内外問わず上下左右多様な目線を生み、どこにいてもいつでも豊かな自然と活気を感じられる場が生まれた。西側には縁側を介して庭と繋がった非の打ち所のない和室、北東側には多様なレベル差のある板の間にキッチンを配置した共用空間がある。その間に特に特徴的な空間要素である玄関をそのまま中央まで拡張させた土間部分があり、そこを囲うように無機質なグレイのデスクを設置することによって、両側の性格の異なる空間を緩やかに分けつつつないでいる。
このように本計画は床を操作することで空間を更新させて行ったのだが、その操作によって生まれた多様過ぎる表情を少しコントロールするために、ところどころで無機質なグレイの家具を挿入した。
緩やかに繰り返される有機質と無機質の一定のコントラストが全体の表情をつなぎとめ、空間の多様性さをコントロールした。
■建築概要
題名: 北条SANCI
設計:長坂常/スキーマ建築計画
建築担当:林昂平、佐藤駿
家具担当:上野黄、宇戸平星樹
所在地:神奈川県鎌倉市
用途:事務所兼用住宅
施工:株式会社TANK
協力:PARTY、株式会社 &Co.(UXプランニング)
家具製作:関美工堂(漆テーブル)、中村修平(フラットテーブル)
階数:2階
敷地面積:457.43㎡
延床面積:267.54㎡
1F:198.74m²
2F:68.8m²
構造:木造
竣工:2018年5月
写真:長谷川健太