SHARE 山本堀・URリンケージ設計共同体による、福島の、南相馬市小高区復興拠点施設「小高交流センター」
山本堀・URリンケージ設計共同体による、福島の、南相馬市小高区復興拠点施設「小高交流センター」です。
小高交流センターは、2016年に福島第一原子力発電所事故による避難指示が解除されたこの「まち」の核となる施設である。苦難を乗り越えて帰還した人々の 生活再建の手助けを始めとして、子育て支援や多世代交流など多様なプログラムが盛り込まれている。この施設は気軽に立ち寄れ新たな生活の延長となるような 、「まち」になじむ建築が必要だと我々は考えた。
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以下、建築家によるテキストです。
「まち」になじむ建築
小高交流センターは、2016年に福島第一原子力発電所事故による避難指示が解除されたこの「まち」の核となる施設である。苦難を乗り越えて帰還した人々の 生活再建の手助けを始めとして、子育て支援や多世代交流など多様なプログラムが盛り込まれている。この施設は気軽に立ち寄れ新たな生活の延長となるような 、「まち」になじむ建築が必要だと我々は考えた。
小高は宿場町として「みち」に沿って「まち」が生まれ発展した歴史がある。震災前は切妻で平入りの町家と、約3.5間の町割りが、かつての雰囲気を残していた。敷地内に残る店蔵の町家は「まち」の記憶を継承するために残し、改修を行った。
敷地の南北には市民ホールや区役所、集会所などの公共施設があり、この条件を活かし、小高の新たな生活の軸となるように、南北をつなぐ「みち」として「浮舟通り」を設けた。「まち」の雰囲気とスケールになじませて、建物は「浮舟通り」沿に平屋で切妻屋根の分棟配置とした。広い敷地を活用し、広場や中庭を介した多様な居場所を創出すると共に、建物の内外を超えて視線がつながる一体感のある施設計画を行った。
構造は壁を耐震要素のRC造 とし、屋根を木造とした。多様なプログラムを連続する特徴的な架構の切妻屋根で包み込み、敷地内に散らばった居場所に統一感を与えている。木材は一般に流通している杉(福島県産)の製材 を用い、約13mスパンの「あそびばラシクル」はトラス梁、約7mスパンのその他は持ち出しの斗きょう梁により木造らしい屋根架構を実現し、温かみのある 居心地の良い場をつくった。
新たな「みち」 と「まち」になじむ多様な居場所が、様々な出会いと交流を生み出し新たな活気ある「まち」を創り出すことを願っている。
(山本圭介・堀啓二・堀越優希・松原栄助・山本純一)
■建築概要
題名:南相馬市小高区復興拠点施設「小高交流センター」
設計:山本堀・URリンケージ設計共同体
建築:山本 堀アーキテクツ
担当/堀啓二 山本圭介 堀越優希 鳥羽春江 坂本裕太
URリンケージ
担当/飯島忠雄 神田俊一 水井淳 長谷川晋一 松原栄助
構造:Arup
担当/笹谷真通 伊藤潤一朗 櫻井克哉 藤原圭吾
設備:URリンケージ
担当/樋口晴彦 勢能大 新井智子
総合設備計画
担当/小松敬
前田設備
担当/前田康雄
土木:URリンケージ
担当/村田孝利
造園:ヒュマス
担当/高沖哉 霜田亮祐
照明:岡安泉照明設計事務所
担当/岡安泉
監理:山本堀 アーキテクツ
担当/堀啓二 山本圭介 堀越優希 鳥羽春江
URリンケージ
担当/山本純一 駿河啓介 勢能大 塚越信 村田孝利
ヒュマス
担当/高沖哉
集研設計
担当/永山守彦 泉川清孝 小杉輝臣 上野誠 井野太郎
所在地:福島県南相馬市小高区
主用途:子供の遊び場、市民交流スペース、店舗等
施工:中里工務店(建築・外構) でんきや(電気) セントラル住設(機械)
階数:1階
敷地面積:3,812.87m2{北敷地}/1,427.53m2{南敷地}
建築面積:1,638.84m2{北敷地}/656.76m2{南敷地}
延床面積:1,495.99m2{北敷地}/444.00m2{南敷地}
主体構造:RC造+木造 一部鉄骨造
竣工:2018年12月
写真:北嶋俊治