SHARE 濱田慎太建築事務所による、山口の「山口市立中央図書館 エントランス改修」
濱田慎太建築事務所が設計した、山口の「山口市立中央図書館 エントランス改修」です。
山口市の中心市街地に建つ、磯崎新氏設計の市立図書館のエントランスエリアを多目的な交流スペースに改修したプロジェクトです。
改修前の図書館では、利用者が非常に多いため閲覧スペース不足が深刻な問題となっていました。加えて図書館と街をつなぐ新たな試みを今後展開していくことが決まっており、ワークショップやイベント等、これまでの公立図書館にはない多目的なスペースも求められました。そこで私たちは、1人のための読書スペースから少人数グループのための作業スペース、そして50人を超える大規模なイベントスペースまで、様々な要望に対応可能な柔軟な空間デザインを提案しました。
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以下、建築家によるテキストです。
「大きなテーブル」
山口市の中心市街地に建つ、磯崎新氏設計の市立図書館のエントランスエリアを多目的な交流スペースに改修したプロジェクトです。
改修前の図書館では、利用者が非常に多いため閲覧スペース不足が深刻な問題となっていました。加えて図書館と街をつなぐ新たな試みを今後展開していくことが決まっており、ワークショップやイベント等、これまでの公立図書館にはない多目的なスペースも求められました。
そこで私たちは、1人のための読書スペースから少人数グループのための作業スペース、そして50人を超える大規模なイベントスペースまで、様々な要望に対応可能な柔軟な空間デザインを提案しました。
まず外形約10m×8mの大きなテーブルを考え、そこに蟻の巣のように様々な有機的な切り欠きを施し、最終的にサイズの異なる4つのテーブルの集合体を設計しました。それぞれの形状はテーブル部分(図)と空間の余白となる切り欠き部分(地)の様々な利用形態を同時に検討することで決定しています。
そして書架やデスクが整然と並び、非常に合理的な周囲の閲覧空間と連続するように、全体配置や動線のつながりも同時に検討しました。それはまるで整然とした都市計画の中に新たな公共空間を生み出すような感覚でもありました。
こうして出来上がった大きなテーブルは、単なる家具という仮設的な役割を超えて、恒久的に活用可能で柔軟な空間構成を作り出す、様々な可能性を秘めた新たな建築になることを期待しています。
■建築概要
主要用途:図書館
建設地:山口県山口市
竣工:2019 年3月
整備面積:図書館1階部分 約289㎡
設計・監理:株式会社 濱田慎太建築事務所
施主名:山口市立中央図書館
施工:株式会社 山口ボードセンター
写真:鈴木研一