大野友資 / DOMINO ARCHITECTS+山本基揮 / 山本基揮建築設計が設計した、東京・渋谷の、高層ビル 渋谷スクランブルスクエア内の施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」です。
アーキテクチャーフォトでは本作品を、Gottinghamと三嶋一路という二組の写真家による切り口の異なった写真で紹介します。
施設の公式サイトはこちら。
渋谷駅直結、渋谷スクランブルスクエア15階。世界一有名な交差点を見下ろす敷地に、多様な利用者の多様な活動の受け皿となる、次世代の公民館のような施設、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)を設計した。
約2600m2の広大なフロアは、プロジェクトスペースをはじめとして、イベントホール、サロン、カフェ、シェアキッチン、プレイグラウンドなど、多様な機能にエリア分けされている。各エリアにはできるだけ壁をたてず、床材の質感や天井の高さの変化などを手がかりとして、空間の性格を切り替えている。キャラクターの異なるエリア同士が見え隠れしながらずるずると重なって繋がっていく、街のような空間を目指した。
■Gottinghamによる写真
以下の写真はクリックで拡大します
■三嶋一路による写真
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以下、建築家によるテキストです。
渋谷駅直結、渋谷スクランブルスクエア15階。世界一有名な交差点を見下ろす敷地に、多様な利用者の多様な活動の受け皿となる、次世代の公民館のような施設、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)を設計した。
約2600m2の広大なフロアは、プロジェクトスペースをはじめとして、イベントホール、サロン、カフェ、シェアキッチン、プレイグラウンドなど、多様な機能にエリア分けされている。各エリアにはできるだけ壁をたてず、床材の質感や天井の高さの変化などを手がかりとして、空間の性格を切り替えている。キャラクターの異なるエリア同士が見え隠れしながらずるずると重なって繋がっていく、街のような空間を目指した。
◯微地形のデザイン
キューズには、でっぱりや引っ込み、小上がりといった、ちょっとした時に体を預けたり、腰掛けたりできるようなヒューマンスケールな造形を沢山施している。街中でガードレールや車止めに自然に腰掛ける。そんな風に自分にとって丁度いい場所を能動的に見つけていけるよう、微地形のようなものを設計することを考えた。
地形は動かないから拠り所となる。丸テーブルは画鋲みたいに床に刺さり、もたれかかれるようになっているし、鉄骨ブレースにはフカフカな素材を巻き、もたれかかれるようになっている。
◯軽やかで頼りない境界
一方で、壁はどれも簡単に動かせるようにした。暖簾のように間仕切りとして使うためのプロジェクタースクリーン、防火シャッター、防音性能のあるスチールのスライドウォール、軽やかなファブリックやビニールのカーテン。これらを開閉することで、施設内の動線やセキュリティラインを変えることができる。境界が軽くなるほど、各エリア同士の繋ぎ方をパズルのように変えて様々なシーンに対応することができる。
そうした様々なシーンに対応するために、施設内を動き回るインフォメーションセンターみたいな家具を提案した。触り心地の良いスエードのボディを持つ円筒形は「スマートスピーカー」をモチーフにしている。イベント時には受付になったり、半分に割れて並べると動線を制御するバリケードになったりもする。
◯ニューオフィス・スタンダード
キューズに使われている素材は、実はどれもどこかで見たことのあるものだ。最先端なものではなく、時代を生き抜いてきた定番の汎用品を研究した。
岩綿吸音板やタイルカーペット、システム天井やOAフロア、ビニルクロスやグラスウールマットなど、オフィスに標準で使用されていながらデザイン面で敬遠されがちな素材を、色や取り合いを精査しながら積極的に使っている。
古い/新しいという軸を超えて、素材や家具を再発見、再評価、再定義することで、長年使われても飽きないような、新しいワークスペースのスタンダードとしての提案を試みている。
■建築概要
事業主体:東急株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東京地下鉄株式会社
運営会社:渋谷スクランブルスクエア株式会社
空間プロデュース:ロフトワーク
空間設計:DOMINO ARCHITECTS+山本基揮建築設計
担当:大野友資、山本基揮
サインデザイン:岡本健デザイン事務所
延床面積:約2,600m2
オープン:2019年11月