SHARE 九州大学岩元真明研究室+ICADA / 岩元真明による、福岡・福岡市の、旧学生食堂の厨房を改修した研究施設「九州大学バイオラボ」
九州大学岩元真明研究室+ICADA / 岩元真明による、福岡・福岡市の、旧学生食堂の厨房を改修した研究施設「九州大学バイオラボ」です。
「九州大学バイオラボ」は、急速に一般化が進むバイオテクノロジーの可能性をデザインの観点から探る実験室である。遺伝子解析装置と画像解析装置を備え、遺伝子組換え体を扱う際の安全基準(P1)を満たす本格的な研究施設であり、生物学者や遺伝学者、メディアアーティストといった異分野の研究者によって共同運営される。隣接して、未来の食デザインを考える研究拠点「フードラボ」も一体的に整備している。
築50年の旧学生食堂の厨房のリノベーションであり、初めて現地を訪れた時、天井を這い回るダクトの存在感に圧倒された。厨房という当初の機能を失うと、ダクトとレンジフードの複雑な造形は彫刻のようにも見えた。学生の空腹を満たしてきた食堂の記憶の媒介者として、これらを残すのも面白いのではないかと思った。そこで、既存のダクトとレンジフードを改造して収納・照明の機能を与える「ダクトのリノベーション」をコンセプトとして設計した。
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以下、建築家によるテキストです。
「九州大学バイオラボ」は、急速に一般化が進むバイオテクノロジーの可能性をデザインの観点から探る実験室である。遺伝子解析装置と画像解析装置を備え、遺伝子組換え体を扱う際の安全基準(P1)を満たす本格的な研究施設であり、生物学者や遺伝学者、メディアアーティストといった異分野の研究者によって共同運営される。隣接して、未来の食デザインを考える研究拠点「フードラボ」も一体的に整備している。
築50年の旧学生食堂の厨房のリノベーションであり、初めて現地を訪れた時、天井を這い回るダクトの存在感に圧倒された。厨房という当初の機能を失うと、ダクトとレンジフードの複雑な造形は彫刻のようにも見えた。学生の空腹を満たしてきた食堂の記憶の媒介者として、これらを残すのも面白いのではないかと思った。そこで、既存のダクトとレンジフードを改造して収納・照明の機能を与える「ダクトのリノベーション」をコンセプトとして設計した。
まず、八つあった巨大なレンジフードを四つに減らして、空間に疎密をつくった。レンジフードを取り外した部分には、内部が収納になった特注の「ダクト家具」をつなげた。残されたレンジフードの内部には照明を仕込み、実験器具を照らす空間的な装置に変えた。アンビエント照明はマグネット式のスポットライトであり、鉄製のダクトにくっつき、使用者が自由に位置を変えることができる。更に、既存ダクトから棚を吊り下げ、その下に実験台と実験流しを配置した。このように新たな実験設備を既存ダクトと関連付けて配置することによって、抑揚のある一室空間がつくり出された。
■建築概要
九州大学バイオラボ
所在地:福岡県福岡市
設計:九州大学岩元真明研究室+ICADA/岩元真明
設計者:岩元真明、大村美波、近藤まい子
照明設計:モデュレックス(担当:佐藤政章、後藤ゆり)
施工:イクスワークス(担当:内山琢也)
敷地面積;104.0m2
竣工:2019年3月
写真:八代写真事務所
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・建具 | サッシ | スチールサッシ:特注製作(建鋼社) |
内装・床 | 床 | ポリウレタン塗り床:ボウジンテックス#5000U(ミズタニ) |
内装・照明 | 照明 | マグネット式スポットライト:MMP-080S/3H(ModuleX) |
内装・造作家具 | 実験台 | 天板[耐薬品メラミン化粧板]:アイカケミテクト XCT 101BX(アイカ) |
内装・金物 | 吊金物 |
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Located in the Faculty of Design, Kyushu University, the Biolab explores the possibilities of biotechnology from a design perspective. Despite its casual ambience, the Biolab is a full-fledged laboratory equipped with a genetic analyzer and an image analyzer and meets the safety standards (P1) to handle genetically modified organisms. The space is jointly run by researchers from different fields such as biologists, geneticists and media artists. Adjacent to the Biolab is the Foodlab, a research space for future food design.
Biolab used to be the kitchen section of the student canteen. The presence of the ducts crawling across the ceiling was overwhelming. Once the space lost its original function as a kitchen, the complexed shapes of the ducts and range hoods looked like sculptures. We do not have the budget to remove all of them. Then, I thought maybe it would be interesting to reuse the ducts and range hoods to keep the memory of the space that had filled the students’ stomach for the past 50 years.
Hence, we focused on the ducts as the leading actor, and designed the lab based on the concept of “renovation of ducts”. First, we reduced the number of range hoods to create more space. After the removal of some range hoods, the ducts were re-connected and reused as custom-made “duct” furniture. Shelves were suspended from the existing ducts, and the main test bench and experiment sink were placed below them. Lighting was installed inside the range hoods, and the range hoods became the spatial devices that illuminated experimental equipment at the Biolab. For ambient light, we used a magnet-type spotlight that sticks to the iron ducts and allows the user to change its position freely.
Most of the furniture has been modified from existing kitchen tables with additional wooden storage. For the windows, we used surplus acrylic scraps from the university’s workshop to ensure the airtightness of the lab space. These ideas and many other low-cost ideas have reduced the construction costs by about 30% as compared to general laboratory renovations.
Kyushu University Biolab
Location: Fukuoka, Japan
Status: Built in 03.2019
Program: Laboratory
Designer: Masaaki Iwamoto Laboratory, Kyushu University + ICADA
Designers in charge: Masaaki Iwamoto, Maiko Kondo, Minami Omura
Lighting design: ModuleX (Masaaki Sato, Yuri Goto)
Contractor: ExWorks
Client: Kyushu University Biolab
GFA: 104.0m2
Photographer: Yashiro Photo Office