下田直彦+正木知子 / カナバカリズが設計した、東京・千代田区の「末広町のオフィス」です。
敷地は秋葉原に近いオフィスビル群の中、施主が所有するビルの一部をオフィス兼サロンとして使いたいという要望であった。普段は一人での利用が想定されるが、スタッフや友人との利用、サロン、シェアオフィスなどの利用も想定した、いわば“どうとでもなる”かなりフレキシブルな空間が求められた。
そこで、このオフィス全体の活動を“秘密基地”のようなものとして見立て、既存躯体内に活動の拠り所となる強堅なフレームを挿入することにした。オフィスビル群の骨格を連想させる直交フレームが貫入することで、ここでの活動をより活発に刺激することを意図している。
結果、当初はこのフレームに少し戸惑っていた施主もすぐに身体を順化させた。床梁の上で友人と談笑したり、柱間にプロジェクタで映像を投影したり、床梁間に床板を渡して座敷にしようと構想したりと、このフレームとの関わりを日々楽しみながら模索しているようである。