細尾直久 / HOSOO architectureが設計した、東京・中央区の店舗「HOSOO TOKYO」です。
商業施設内の“西陣織”を扱う店です。建築家は、“織物”を建築の原点とする思想に基づき、区画外周に西陣織を被覆した列柱を“生地をまとう”様に配置する空間を考案しました。また、“裏地”となる柱内側を鏡面とし様々な視覚効果も生み出す事が意図されました。店舗の公式ページはこちら。
東京駅から徒歩一分の都心に位置する、西陣織を扱う店舗の計画である。
人体の立体的な形状に沿ってわたしたちが生地をまとうように、不規則な形状の区画外周に沿って、意匠を凝らした被覆を「生地」としてまとわせることによって、インテリアデザインであると同時に、建築の原点を指し示すような空間を意図している。
内部には間仕切壁を設けず、外周の「生地」を構成するそれぞれの部分に物質的な特徴=テクスチャーを与えることのみを通して、店舗の内外に空間の変化をつくり出している。
東京駅に面する側、及び商業施設のメインエントランスに面する側の「生地」は、西陣織のテキスタイルによって被覆された高さ4m、奥行き60cmの三角柱による、列柱の層によって構成されている。ファサードの開口率が50パーセントとなるよう三角柱には角度が与えられており、店舗の内側を外に垣間見せている。
また、商業施設の屋内通路に面する側の「生地」には、艶やかな焼付塗装を施した鉄板が表面に用いられ、商業施設の世俗的な賑わいをサングラスのように反射し、店舗の内部から遮断する役割を果たしている。