SHARE 特集”ミラー&マランタ”、サマーデンの温泉 / 2006-2009
ミラー&マランタによるスイスの”サマーデンの温泉/2005-2009″です。 (※ミラー&マランタの特集ページはこちら。)
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以下、建築家によるテキストです。
サマーデンの街における歴史的な建物のパターンは、ベルニーナ道路へと抜ける古い目抜き通りに面して建つマッシブな建物たちを見るとよく理解できる。通りに直接面して立ち上がっている堂々とした正面ファサード群が、それぞれの間に細長い空間を作り出している。
この新たな建物は、現在の敷地の状況の中で堂々と建っていると同時に、村の広場や教会の歴史的な状況を尊重してもいる。通り側の建物の高さは、近隣の建物の高さに合わせている。そして狭くて閉じた路地というこの場所の都市的パターンを尊重するために、教会の壁に直に接している。広場に対しては、バロック式の教会を依然として重要なものとして位置づけているが、それだけではなくサマーデンにおける歴史的な発達のペースの範囲内で公共施設としての重要性を表し、体現してもいる。
中央の廊下から迷路のような階段を上っていくと、ローマ時代の公衆浴場の一場面を思い起こさせるようなスチーム式の浴室、熱い浴槽やぬるめの浴槽など、様々な浴室がある。これらの浴室空間は、適切な空間のスケールやプロポーションを作るために壁や天井が躯体からは切り離されており、それぞれが閉じられた空間として構成され、ひとつの建物の中で断面的にかみ合っている。地上階にある天井高の高い温かい浴室は、複数のトップライトによって照らされ、4つの小さなアルコーブがくっついている。2階にはエンガディーンの山々を一望できるジャグジーがあり、それもまた小さな熱い浴槽へとつながっている。この階にはスチームバスもあって、下の階の浴室の吹き抜けを囲むように配置されている 。そして3階にはマッサージルームと休憩室が設置されている。この階から階段を上って屋上へ向かうと、夏には日光浴ができる露天風呂とテラスがある。それぞれの浴室には、テクスチャーや色の異なるタイルを組み合わせて使い、それぞれの空間が異なる雰囲気を持つようにしようと考えている。(翻訳:伊藤達信)
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