


富谷洋介建築設計が設計した、北海道・札幌市の「段床の家」です。
住宅街の小さな勾配がある敷地に計画されました。建築家は、土地の高低差を活かした建築を求め、地上階の床を地面傾斜に合わせた緩やかなスキップフロアとして“ピットリビング”に繋げる構成を考案しました。また、段差の存在は豊かな空間体験も生み出しています。
敷地は住宅が並ぶ緩やかな高台にあり、敷地内にも緩やかな勾配があった。
土地購入決定後の敷地調査の段階で、既存建物があったことからまだ住まわれていた住民にお願いし訪れさせて頂き、建物の各レベルや方位から望める風景や、土地の特性などを調査・ヒアリングし、設計事前データとした。
接道の関係から勾配の高い側からアプローチする形になったことから、1階の床を地面傾斜なりに緩やかにスキップフロアとして段で繋ぎ降りていき、一番下がった最終地点をピットリビングとする断面構成とした。
それにより、動線に従って徐々に降りる事によって生まれる心理的落ち着き感、同時に高天井の開放的なリビング周りの空間が生まれ、床に高低差が生まれたことで動線にも豊かな空間の変化が生まれた。高低差のある敷地において、敷地に沿った高低差の基礎とすることは基礎コンクリート量の節約ともなっている。
建物中央には階段と吹抜けを配し上下階への視線のつながりを生み、子供勉強スペース・ワークスペース・書斎の家族の個人スペースにそれぞれ小窓を付けオープン空間へ向けることでスペースが立体的に繋がり、個人で過ごす時も家族が互いに心地よく気配を感じ、またコミュニケーションし易くしている。