


増田忠史+蜂谷伸治 / MASS & HACHIが設計した、東京・港区の「オランジェリー赤坂」です。
築70年の洋館風建物に手を加えた住居兼仕事場です。建築家は、諸条件の中で要望の実現を目指し、既存を大きく改変せず別棟として展示空間を建てる計画を考案しました。そして、新旧の一体感を意図し“建築的な工夫”で再構成を行いました。
オフィスビルが林立する港区赤坂の中心部に残る築70年の洋館風の既存建物*1を引き継いだ建築主の住居兼仕事場、運営するファッションブランドの衣服の展示スペースの複合体の計画。
趣のある木造2階建の既存建物を保存改修し、住居兼仕事場として利用しつつ、新たに必要となる衣服の展示スペースを増築することが求められた。
調査の結果、既存建物は昭和27年の建設時の届出は存在するものの、その後、検査記録のない増改築が行われており、既存に遡及する規模の増築を行うことは難しいことが判明した。
そこで今回の増築計画は、道路に面する前庭の一部を敷地分割し、その分割された敷地に小さな離れとして衣服の展示スペースを新築した上で、分割された既存建物と新築建物の敷地を、建築的な工夫によって一体感を感じられる場所として再構成する試みとなった。
敷地は前面道路から1.5m程度低いレベルにあり、擁壁を構造的に改修する必要性もあることから、敷地外周を型枠コンクリートブロック造の高い塀によって囲い込み、敷地全体を複数の中庭を有するコートハウスにすることを発想した。
塀の仕上や高さは、新築部の外壁と合わせ、一体的に見えるよう工夫することで、洋館風の趣のある既存建物がたつ敷地全体を”宮廷庭園”に見立て、離れとしてその一角に立つ新築建物を「オランジェリー」と命名した。
敷地に対して斜めに構えて立つ既存建物と、オランジェリー、それぞれの領域を不定形な中庭を介して干渉させることで、敷地全体を新と旧が重なり合う複合体として再生することをめざした。
















