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【ap job更新】 藤本壮介建築設計事務所が、設計スタッフ・設計補助スタッフ・3Dモデリングオペレーター・CADオペレーター・模型作成スタッフを募集中
【ap job更新】 藤本壮介建築設計事務所が、設計スタッフ・設計補助スタッフ・3Dモデリングオペレーター・CADオペレーター・模型作成スタッフを募集中L’Arbre blanc ©︎Iwan Baan

藤本壮介建築設計事務所の、設計スタッフ・設計補助スタッフ・3Dモデリングオペレーター・CADオペレーター・模型作成スタッフ募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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藤本壮介建築設計事務所では、設計スタッフ、設計補助スタッフ、3Dモデリングオペレーター、CADオペレーター、模型作成スタッフを募集します。

現在、国内で多くの実施プロジェクトが進行しています。住宅から公共施設まで多種多様なプロジェクトがあり、これまでの経験が発揮できるプロジェクトを担当していただきます。可能な限り長期間に渡って一緒に働いて頂ける方を歓迎します。

【シリーズ・色彩にまつわる設計手法】第5回 青木淳 インタビュー・後編「色彩の変わり続ける意味合いと面白さ」
【シリーズ・色彩にまつわる設計手法】第5回 青木淳 インタビュー・後編「色彩の変わり続ける意味合いと面白さ」

本記事は学生国際コンペ「AYDA2021」を主催する「日本ペイント」と建築ウェブメディア「architecturephoto®」のコラボレーションによる特別連載企画です。今年の「AYDA」日本地区のテーマは「音色、空間、運動」。このテーマにちなみ、現在活躍中の建築家に作例を交えながら色彩と空間の関係について語ってもらうインタビューを行いました。昨年、全4回にわたり公開された色彩に関するエッセイに続き、本年は建築家の青木淳と芦沢啓治の色彩に関する思考に迫ります。作品を発表する度に新鮮な驚きを与えてくれる二人。その色彩に関する眼差しを読者と共有したいと思います。


後編では、広い視点で色彩について語っていただきます。1991年に独立以来、住宅から公共建築まで幅広いジャンルの建築を幾つも設計してきた青木淳。日頃、色彩と空間の関係をどのように考えているか。また青木にとって建築の楽しさとは何か。縦横無尽に語っていただきました。(青木淳へのインタビューの前編はこちら

※このインタビューは感染症予防の対策に配慮しながら実施・収録されました。


色彩の意味合いは時代とともに移り変わる

【シリーズ・色彩にまつわる設計手法】第5回 青木淳 インタビュー・後編「色彩の変わり続ける意味合いと面白さ」青木淳。2020年よりASを共同主宰する。 photo©渡部立也

――青木さんが色について明確に言及した文章として、『新建築』誌2001年3月号に寄稿された「白く塗れ」という論稿があります。当時ファッションデザイナーのマルタン・マルジェラが東京都内の既存住宅を白く塗って店舗に転用したことに触れて、白く塗ることで場所に残された履歴や意味を消す作用があると指摘されていました。それから20年が経ち、今やリノベーションで既存部分を白く塗ることは常套手段となり、図らずも白く塗るという行為自体に意味が発生してしまっている状況です。

青木:そうですね。似たような話で、美術館の内部空間は往々にしてホワイト・キューブですよね。一応ニュートラルを目指したというのが定説になっていますが、実際は個々の美術館が土地性や固有性を失い互いに所蔵品を貸し借りし始めたことに端を発しているようです。というのも、作品の印象が見る場所によって変わらないよう、おしなべて背景を白く、ニュートラルにする必要があったからです。すると今度は、アーティスト側が白い壁を前提に作品を創り始めました。

その結果、ホワイト・キューブは、かつては絵画にとって作品を作品たらしめる大きな要素だった額縁の代わりの存在になってきました。ホワイト・キューブの出現と額縁の消失がほぼ同時に起こり、ホワイト・キューブが額縁効果を持つようになったというわけです。

ですがここ30年ぐらい、白い空間はけっしてニュートラルではなく非日常的かつ特殊な額縁空間であるという認識が一般化してきて、駅舎や火力発電所をコンバージョンした空間が美術館として使われることが増えてきました。

――確かにヘルツォーク&ド・ムーロンが改修設計したロンドンの「テート・モダン」(2000年)は元発電所でした。

青木:いずれも元々の意味を持って作られていたものの意味をあえて消して使い直すという一連の循環があります。
余談になりますが、実は論稿を発表した後でマルジェラのブランドから「マルジェラにその意図はありません」と言われてしまいました。

――そうでしたか。むしろ興味深いですね。

青木:別に「マルジェラはこう考えている」ではなくて「私は第三者としてこう思った」と書いているわけだから構わないですけど。


「白」の実験と、色の組み合わせへの興味

――ひるがえって青木さんのプロジェクトには色彩に求められる効果や意味合いの移り変わりが反映されているのでしょうか。

青木:反映されているでしょうね。2000年頃、僕は意識的に白しか使いませんでした。それは白が好きだからとかニュートラルだからというのではなく、白が幾つもの性格をあわせ持っていると考えたからです。たとえば病院の白は清潔なイメージかもしれないけど冷たいというイメージもあるとか、逆にウェディングドレスの白は冷たいとは思わず清純さをイメージするとか。同じ白でも、そのありようや発する感覚にバリエーションがあるわけです。

赤だったらもうちょっと意味することの範囲が狭くてエモーショナルな感じが入るし、青もクールなイメージだし。そう思うと、白には結構無限の可能性があるなと。

ロバート・ライマンのように白ばかり使いながら多彩な美術作品をつくっているアーティストもいますから、僕も白以外使わずに、その使い方によって生まれる効果を変えていくことがどこまでできるかという実験に興味があったんです。

塩入勇生+矢﨑亮大 / アーキディヴィジョンによる、東京・南青山の、住戸を改変したオフィス「INTERIOR」。賃貸で解体等ができない条件下で、デスクの設計を希望した施主の深層にある想いを読みとき、鉄の構造体による“強いインテリア”を実現
塩入勇生+矢﨑亮大 / アーキディヴィジョンによる、東京・南青山の、住戸を改変したオフィス「INTERIOR」。賃貸で解体等ができない条件下で、デスクの設計を希望した施主の深層にある想いを読みとき、鉄の構造体による“強いインテリア”を実現 photo©中島悠二
塩入勇生+矢﨑亮大 / アーキディヴィジョンによる、東京・南青山の、住戸を改変したオフィス「INTERIOR」。賃貸で解体等ができない条件下で、デスクの設計を希望した施主の深層にある想いを読みとき、鉄の構造体による“強いインテリア”を実現 photo©中島悠二
塩入勇生+矢﨑亮大 / アーキディヴィジョンによる、東京・南青山の、住戸を改変したオフィス「INTERIOR」。賃貸で解体等ができない条件下で、デスクの設計を希望した施主の深層にある想いを読みとき、鉄の構造体による“強いインテリア”を実現 photo©中島悠二

塩入勇生+矢﨑亮大 / アーキディヴィジョンが設計した、東京・南青山の、住戸を改変したオフィス「INTERIOR」です。賃貸で解体等ができない条件下で、デスクの設計を希望した施主の深層にある想いを読みとき、鉄の構造体による“強いインテリア”を実現されました。

この計画は、一枚木のL型デスクをつくりたいという施主の要望から始まった。

敷地は、港区南青山。施主は、ハイブランド企業をクライアントにしたイベント事業を営む。設立から5年が経ったころ、事業が軌道にのるタイミングをみて、一念発起してこの地に築20年のSOHOマンション一室を借りた。

建築家によるテキストより

仕事柄、港区南青山という場所にこだわりをもち、ハイブランドがもつきらびやかなイメージを大切にしていた。にも拘わらず、マンション内装は白いクロスの壁や天井、突板フローリングの床が使われた凡庸な住空間。部屋の外に広がる南青山の街の体験からは、かけ離れているように思った。部屋は賃貸で、オーナーからは解体の許可もおりなかった。

そんな状況から最初の要望にあるアイディアにたどり着いたのだろう。しかし話をしていると本当は家具だけが欲しいわけではないように感じた。空間の装飾(一枚木)とオフィス機能の充実(L型)への思いが潜んでいる気がする。この思いを別の形で実現できないか模索させてほしいと伝えた。

建築家によるテキストより

構造体は鉄で、材の全てが連結することで剛性の高さを得る。
鉄は強固で重い。だから、既存に接続することが出来なくても、置くだけで事足りる。現にここでは、基礎のように角パイプを敷き、そこに柱を建て、横架材でサッシ枠を組み置いただけとなる。
一枚木のL型デスクという素材の質に装飾的価値を見出した施主のアイディアは、鉄だからこそ実現するプロポーションという装飾的価値に姿を変えて、部屋全体に拡張していく。

なぜここまで、鉄の強度に拘ったのか。それは、施主がこのマンション一室を借りてやっていこうという、決意の強度に触れたからかと思う。解体できないからとどこにいっても置けるような家具を選ぶのではなく、解体できないことを含んだこの場の全ての情報を組み込んだ、強いインテリアをつくることを選んだ。

建築家によるテキストより
西下太一建築設計室による、愛媛・松山市の、設計者の自邸「星岡の家」。向かい合う川と山を背景に、建築主体ではなく風景としての美しさを理想とした、多様な時間軸の中で豊かに変容していく建築を構想
西下太一建築設計室による、愛媛・松山市の、設計者の自邸「星岡の家」。向かい合う川と山を背景に、建築主体ではなく風景としての美しさを理想とした、多様な時間軸の中で豊かに変容していく建築を構想 photo©藤村泰一
西下太一建築設計室による、愛媛・松山市の、設計者の自邸「星岡の家」。向かい合う川と山を背景に、建築主体ではなく風景としての美しさを理想とした、多様な時間軸の中で豊かに変容していく建築を構想 photo©藤村泰一
西下太一建築設計室による、愛媛・松山市の、設計者の自邸「星岡の家」。向かい合う川と山を背景に、建築主体ではなく風景としての美しさを理想とした、多様な時間軸の中で豊かに変容していく建築を構想 photo©藤村泰一

西下太一建築設計室が設計した、愛媛・松山市の、設計者の自邸「星岡の家」です。向かい合う川と山を背景に、建築主体ではなく風景としての美しさを理想とした、多様な時間軸の中で豊かに変容していく建築を構想しました。

敷地の向かいに小野川と星岡山を望む。山・川・神社・公園などおそらく長い将来変化しないであろう環境を求め土地探しを続けた末、めぐり合わせた土地です。

建築家によるテキストより

まずは、背景となる小野川や星岡山に溶け込むような、自然で小ぶりな佇まいを心がけました。そして、建築そのものが主体となることなく、風景としての美しさが生まれることが理想です。

建築家によるテキストより

狭い所、開けた所、明るい所、暗い所。一気にすべてが明らかになるのではなく、予感を感じながら次々と展開していくシーンの連続。朝から晩、春夏秋冬、5年後10年後・・・と多様な時間軸の中で豊かに変容していく建築。

建築家によるテキストより
澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだす
澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだす photo©Sawada Hashimura
澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだす photo©Sawada Hashimura
澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだす photo©Sawada Hashimura

澤田航+橋村雄一 / Sawada Hashimuraによる、東京・恵比寿の、CAGE GALLERYでのインスタレーション「Every man is a liar.」。街路に面した窓2つが展示空間というギャラリーで、それぞれの空間を写し合う“立体と平面の両義性を持つオブジェクト”が、曖昧さを孕む“無限の循環参照状態”をうみだすことを意図しました。展示期間は2021年12月12日まで。施設の公式サイトはこちら

CAGE Galleryは、ギャラリーとはいうものの、街路に面した窓が2つあるのみである。一辺1.7メートル程度のほぼ正方形の窓が2つ、奥行きは24センチ程度しかない。この場所での展示をするにあたり、下記の3点から構想することにした。

建築家によるテキストより

ひとつは既存のステンレスの窓枠を作品のための単なる額縁としてだけ扱うのではなく、額縁であると同時に作品を形作る一要素として作品の中に取り入れること。次に、たとえ薄くても窓の内側には空間が存在するものとして考えること。そして、その空間が2つあること。

建築家によるテキストより

作品の形態は、窓枠内の空間の寸法から導き出される形としている。つまり、サブロク(3尺×6尺)と呼ばれる規格サイズの合板2枚をギャラリーの奥行き分だけ湾曲するサイズに調整してはめ込むことでおのずと決まる曲面としている。そうして窓枠の中におさまった曲面とギャラリーの壁面によってできたギャラリー内の「スキマ」の空間を撮影し、もう片方の窓枠の曲面に印刷することで、立体と平面の両義性を持つオブジェクトがそれぞれの空間を写し合う、相互の参照関係をつくった。

建築家によるテキストより
【シリーズ・建築思索360°】第2回 川島範久が語る“REVZO虎ノ門”・“GOOD CYCLE BUILDING 001”と“建築思索”
【シリーズ・建築思索360°】第2回 川島範久が語る“REVZO虎ノ門”・“GOOD CYCLE BUILDING 001”と“建築思索”

「建築思索360°」は「360度カメラ RICOH THETA(リコーシータ)」と建築ウェブメディア「architecturephoto®」のコラボレーションによる特別連載企画です。現代社会のなかで、建築家として様々な試行錯誤を行い印象的な作品をつくる4組の建築家に、その作品と背景にある思索についてインタビューを行い、同時に建築・建設業界で新しいツールとして注目されているRICOH THETAを利用することの可能性についてもお聞きしました。さらに建築作品をRICOH THETA を用いた360度空間のバーチャルツアー「RICOH360 Tours」でもご紹介します。


東京都心に建つ「REVZO虎ノ門」は、地上11階、地下1階の中規模賃貸オフィスビルです。その特徴は、バルコニーに多種多様な樹種が植えられ、自然光を十分に取り入れることができ、自然換気も可能など、パッシブデザインの手法がふんだんに取り入れられていること。これは現代のオフィスビルというビルディングタイプでは非常に珍しく先進的と言えます。この作品を中心に、川島さんが追求してきた「デライトフル(歓びのある)」な建築とは何か、またその手法についてお聞きしました。

※このインタビューは感染症予防の対策に配慮しながら実施・収録されました。


中規模賃貸オフィスビルで事業性と環境デザインを両立

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【シリーズ・建築思索360°】第2回 川島範久が語る“REVZO虎ノ門”・“GOOD CYCLE BUILDING 001”と“建築思索”「REVZO虎ノ門」(設計:川島範久建築設計事務所、中央日本土地建物株式会社、2020年)ファサード。 photo©︎Kenta Hasegawa


360度カメラRICOH THETA Z1で撮影・編集した画像データを埋め込み表示した、RICOH360 Toursの「REVZO虎ノ門」バーチャルツアー。画像内の矢印をタップすることで、空間を移動することができます。

――「REVZO虎ノ門」に携わるきっかけと概要について教えていただければと思います。

川島:「REVZO虎ノ門」は、中央日本土地建物というデベロッパーによる、中規模賃貸オフィスブランドのプロトタイプ第一号です。コンペでREVZOシリーズのデザインパートナーに選定されたことがきっかけで、第一号の設計に携わることになりました。

【シリーズ・建築思索360°】第2回 川島範久が語る“REVZO虎ノ門”・“GOOD CYCLE BUILDING 001”と“建築思索”建築家の川島範久。 photo©︎大原宗

近年、大規模オフィスへステップアップする前段階、または大規模オフィスからの分散の受け皿として「中規模オフィス」の需要が増えてきているという状況に対して、企業が入居したいと思うような高いスペックの中規模サイズのオフィスの供給が足りていないという現状があるんですね。

東京都心にある中規模オフィスの大多数が、築年数が古く、天井高が低過ぎたりして、需要に応えられていないんです。ですからこのプロジェクトでは、まず賃貸オフィスビルとしての事業性をしっかり見据えながら、スペックの高い、快適で働きやすいオフィスを実現するという命題がありました。

もちろんその一方で、僕が常に心掛けている環境配慮のデザインをしています。省エネルギーを図って昼光利用・自然換気を実現したり、空調を工夫したり、入退去時に発生するゴミを減らす内装の工夫などを行っています。

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【シリーズ・建築思索360°】第2回 川島範久が語る“REVZO虎ノ門”・“GOOD CYCLE BUILDING 001”と“建築思索”入り口にも多種多様な植栽が施され、エントランスホール内部の植栽へとつながる。 photo©︎Kenta Hasegawa

――この建築で考えられた環境デザインについて、それぞれ具体的に教えていただけますでしょうか。

川島:昼光利用や自然換気については、開口計画の工夫もありますが、前提としてこの建物が中規模だったから可能になりました。奥行きが約17mですから、ファサードと背面の2面開口にすることで、ワークプレイス全体に自然光が届くんです。さらに窓を開閉可能なものにすれば、通風が取れ、十分な換気ができます。

――テナント専有部の背後にコアを設けるオフィスの平面計画の定石を取らず、トイレやエレベーターや機械室などのコアをスプリットして両端に置いたことで、それが実現できています。この建物の一番の特徴と言えますね。

自然換気は省エネにもつながりますし、BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)にも有効です。またコロナ渦の対応にもつながるということで評判も良いですね。

加えて、コンピュータで数値的な検証をしながら、空調についても新しい仕組みを考えました。今回のような事務所空間では、グリッド状に吹き出す空調を配置するのが一般的なのですが、今回はシステム天井を張らず、梁間を活かして、機器を片側に寄せて、スラブに沿って流れるように、長手方向に横に吹き出させているんです。シミューレションすると、慣習的な方法より今回の方法のほうがムラなく空調ができることがわかりました。

建物がコンパクトなので、柱を両サイドからオフセットさせることでオフィス空間を1スパンで成立させ、長手方向に通った梁間をオープンエアチャンバーとして利用することでダクトを省略し、高い天井高を確保することができました。大梁が気流をアシストしてくれるのです。

MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開 photo©Ossip van Duivenbode
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開 photo©Iris van den Broeke
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開 photo©Iris van den Broeke
MVRDVによる、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」が開館へ。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開 photo©Ossip van Duivenbode

MVRDVの設計で完成していた、オランダ・ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」の開館します。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開します。開館は2021年11月6日からとのこと。アーキテクチャーフォトでは様々な季節の外観写真も特集記事として紹介していました。

こちらはリリーステキストの翻訳です

新しいタイプのアート体験を。デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲンの一般公開が開始へ

11月6日、MVRDVが設計したロッテルダムのデポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン(Depot Boijmans Van Beuningen)がオープンします。デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲンでは、様々な保存所に保管されている151,000点以上の作品と来館者との対話を中心に展開されます。来場者は、一人でもグループでも、空調の効いた保管スペースを巡るガイドツアーに参加したり、高さ35メートルに位置する屋上の森やレストラン「Renilde」を楽しむことができます。今回のオープンは、約10年に及ぶプロジェクトの締めくくりとなります。MVRDVは、2013年の設計コンペで勝利し、2017年に建設を開始しました。11月5日(金)にはオランダのウィレム=アレクサンダー国王がオープニングセレモニーを行い、11月6日(土)の午前10時から一般公開されます。

デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン(Depot Boijmans Van Beuningen)は、世界で初めての一般公開された美術品保管施設です。この施設の設計にあたっては、さまざまなターゲットグループが歓迎してくれるような、可能な限り魅力的な建物を作ることが求められました。それは、コレクションのごく一部しか展示できない第二の美術館ではなく、目を見張るような数の美術品やデザイン作品の保管・維持管理の裏にある世界を明らかにするエンジンルームであることを強調したものでした。保管庫を訪れると、まったく新しい体験ができます。美術品は美術史の時代ではなく、大きさや気候に応じて配置され、古い作品と現代の作品が並置されているため、新たなつながりが生まれてきます。

建築家であり都市計画家でもあるヴィニー・マース率いるMVRDVの設計チームは、丸みを帯びた頑丈で機能的な建物を選択し、隣の建物に背を向けることなく、ミュゼーアム公園(Museumpark)とロッテルダム市の両方と新しい関係を築くことにしました。周囲の環境に溶け込むような建物であると同時に、数十億の価値を持つコレクションの安全な保管場所となることを目指しました。

デポの形状は、建物の設置面積を比較的小さくしたいという要望から生まれたものです。その結果、建物は公園内のスペースを取らず、保管スペース、修復スタジオ、ケータリング施設、映画やプレゼンテーションの部屋など、すべてのプログラムを収容するために、10メートルのオーバーハングで上方にカーブしています。建物には5つの気候ゾーンがあり、版画や絵画、写真など、最もデリケートな芸術作品に対応しています。

6,609m2のガラスを1,664枚のパネルに分割した鏡面仕上げのファサードは、建物が周囲の環境に視覚的に溶け込むようになっています。大きなエントランスドアはファサードと一体化しており、営業時間中のみ、ジェームズ・ボンドの映画に出てくるガジェットのようにファサードが開いて見えるようになっています。天候に左右されることなく、毎日異なる表情を見せる車両基地は、まるで生きた絵画のようです。

若林秀典建築設計事務所による、滋賀・米原市の、伊吹山の麓に建つ「米原の家Ⅱ」。冬の寒さ厳しい豪雪地域に、夏は開放的で冬は寒さから守られた住環境を、南北の対比的な開口部の設計で実現
若林秀典建築設計事務所による、滋賀・米原市の、伊吹山の麓に建つ「米原の家Ⅱ」。冬の寒さ厳しい豪雪地域に、夏は開放的で冬は寒さから守られた住環境を、南北の対比的な開口部の設計で実現 photo©笹の倉舎/笹倉洋平
若林秀典建築設計事務所による、滋賀・米原市の、伊吹山の麓に建つ「米原の家Ⅱ」。冬の寒さ厳しい豪雪地域に、夏は開放的で冬は寒さから守られた住環境を、南北の対比的な開口部の設計で実現 photo©笹の倉舎/笹倉洋平
若林秀典建築設計事務所による、滋賀・米原市の、伊吹山の麓に建つ「米原の家Ⅱ」。冬の寒さ厳しい豪雪地域に、夏は開放的で冬は寒さから守られた住環境を、南北の対比的な開口部の設計で実現 photo©笹の倉舎/笹倉洋平

若林秀典建築設計事務所が設計した、滋賀・米原市の、伊吹山の麓に建つ「米原の家Ⅱ」です。冬の寒さ厳しい豪雪地域に、夏は開放的で冬は寒さから守られた住環境を、南北の対比的な開口部の設計で実現する。

敷地は滋賀県米原市、伊吹山の麓の緑豊かな集落のなかにある。夏は山から吹き下ろす風が心地よい場所だが、一方で冬は寒さの厳しい豪雪地域でもある。畑だった生家の北側隣地を宅地に転用し子世帯のための家を建てる。

クライアントからは夏には豊かな自然環境を享受できる風通しの良い開放的な暮らしと、冬の厳しい寒さから守られた住環境の両立が求められた。

建築家によるテキストより

夏は伊吹山から吹き下ろす風を利用し外気を効率的に取り入れることができるよう、風上にあたる北側は開口部を小さくとり風下の南側は大きく開くよう計画した。これは冬の寒さ溜まりとなりやすい北側に対して開口面積を減らすことにもなり、そして南側の大開口からたっぷりと暖かな陽射しを取り込むことができる。

建築家によるテキストより

玄関を入ると正面の地窓から中庭とリビングの足元が垣間見え、天井高さを低く抑えた廊下を抜けると吹抜け空間のLDKへと連なる。南側に開いた大開口の吹抜が中庭とリビング、そして2階のファミリールームや子供室へと連続して繋いでいる。この吹抜のリビングを中心に家族がどこにいても互いに気配を感じることができるよう計画した。

建築家によるテキストより
八木佐千子 / NASCA+partnersによる、大阪・寝屋川市の、既存校舎を繋ぐ「同志社香里中学校・高等学校 メディアセンター 繋真館」。既存樹木を生かすことで中庭と共生し、実空間だからこその直接の出会いを尊重した、将来の変化にも対応できる“知の拠点”としてのワンボックス空間
八木佐千子 / NASCA+partnersによる、大阪・寝屋川市の、既存校舎を繋ぐ「同志社香里中学校・高等学校 メディアセンター 繋真館」。既存樹木を生かすことで中庭と共生し、実空間だからこその直接の出会いを尊重した、将来の変化にも対応できる“知の拠点”としてのワンボックス空間 photo©淺川敏
八木佐千子 / NASCA+partnersによる、大阪・寝屋川市の、既存校舎を繋ぐ「同志社香里中学校・高等学校 メディアセンター 繋真館」。既存樹木を生かすことで中庭と共生し、実空間だからこその直接の出会いを尊重した、将来の変化にも対応できる“知の拠点”としてのワンボックス空間 photo©淺川敏
八木佐千子 / NASCA+partnersによる、大阪・寝屋川市の、既存校舎を繋ぐ「同志社香里中学校・高等学校 メディアセンター 繋真館」。既存樹木を生かすことで中庭と共生し、実空間だからこその直接の出会いを尊重した、将来の変化にも対応できる“知の拠点”としてのワンボックス空間 photo©淺川敏
八木佐千子 / NASCA+partnersによる、大阪・寝屋川市の、既存校舎を繋ぐ「同志社香里中学校・高等学校 メディアセンター 繋真館」。既存樹木を生かすことで中庭と共生し、実空間だからこその直接の出会いを尊重した、将来の変化にも対応できる“知の拠点”としてのワンボックス空間 photo©淺川敏

八木佐千子 / NASCA+partnersが設計した、大阪・寝屋川市の、隣接する既存校舎を繋ぐ「同志社香里中学校・高等学校 メディアセンター 繋真館」です。既存樹木を生かすことで中庭と共生し、実空間だからこその直接の出会いを尊重した、将来の変化にも対応できる“知の拠点”としてのワンボックス空間が計画されました。

繋真館(=メディアセンター)は中庭の「香里の森」と共生し、隣接する既存校舎を繋ぐことでできた建築です。

建築家によるテキストより

中庭の既存樹木をできるだけ残し、館内のいたるところから窓先には緑を望むことができます。また、既存校舎の壁をリフレクタとし柔らかな間接光として利用することで随所に内外が溶け合う空間が生まれています。この繋真館が事実上ハードもソフトもハブとなって、人々が一日を過ごすキャンパス全体の生活空間を緩やかに繋いでいきます。

ICTやバーチャルな情報伝達が発達し、コミュニケーションツールが急速に変化していく今だからこそ、中学校・高校生の生徒たちには人と人が直接出会い、直に啓発されることの意義は重要だと思います。登下校時に通り抜けに利用した生徒が、特別な目的がなくてもここを訪れ、思い思いの時を過ごし、各々が、お気に入りの居場所を見つけ出し、自分自身の将来や夢を発見する場となることを期待しています。

建築家によるテキストより

メディアセンターは時代とともに社会や教育環境の要請に応えて質的にも量的にも大きく変化します。ここでは、時間や季節に応じて変化を楽しめる将来可変可能なワンボックス空間をつくり、その都度ニーズに応じたしつらえを家具でつくることで将来の教育空間に柔軟に対応します。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/10/25-10/31]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/10/25-10/31]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/10/25-10/31)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 田根剛がデザインアーキテクトを務め、帝国ホテルが2031年から本館の建替えを開始することを発表。考古学的リサーチにより、“東洋の宝石”をコンセプトにした完成予想のパースも公開
  2. 宇野友明による、愛知・名古屋市の住宅「高峯町の家」。伝統工法による石積みの要望に、テナユカのピラミッドを参照することで不安と違和感を払拭し、その存在感に対し現場での変更含め最善の選択を行い完成した建築
  3. 今津康夫 / ninkipen!による、長野・大町市の、本州で最も透明度の高い湖の畔に建つ別荘「湖荘」。施主が求める“都会の喧騒から解放された簡素な小屋”を、湖にひれ伏すような非対称な屋根によって、初めからあったような佇まいでつくる
  4. 【シリーズ・色彩にまつわる設計手法】 第5回 青木淳 インタビュー・前編「場所の記憶を表現した“水の柱”」
  5. 青柳創+青柳綾夏 / アオヤギデザインによる、東京の、設計者の自邸「善福寺の家」
  6. 森下陽 amp/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の住宅「高林の連窓」。性質の異なる2つの道が交差する敷地に、それぞれに対して縦と横の連窓を配置することで、周辺環境との関係を調整し心地良い住空間を目指す
  7. 長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・小平市の「武蔵野美術大学16号館」。“半建築”として設計され、使い手自ら手を加え変化し続けることを促す建築を、実際に使われている様子を中心に紹介
  8. 妹島和世+西沢立衛 / SANAAの講演会「環境と建築」が、東京・千代田区の有楽町朝日ホールで開催。参加申し込みを受け付け中
  9. 川嶋洋平建築設計事務所による、沖縄・宮古島市の集合住宅「H_apartment」。外周部に配された少しずつ見付幅の変化する列柱状構造体は、構造体と開口の関係がグラデーショナルに変化し、建築と周辺環境を接続
  10. 瀧尻賢 / Atelier Satoshi Takijiri Architectsによる、京都・木津川市の、田園と山々を望む敷地に建つ「中山珈琲焙煎所」。働く夫妻が豊かな風景を眺める為にガラススクリーンを設け、商業的な設えを排除したミニマルで素朴な空間で、この地の風景の一部となることを目指す
  11. 妹島和世+西沢立衛 / SANAAによる、TOTOギャラリー・間での建築展「環境と建築」のレポート。進行中のプロジェクト模型中心に構成され、展示物の組み合わせや配置を現場で徹底的に検証調整することで、会場構成による体験自体も建築として捉えられるような展覧会
  12. 齋藤隆太郎 / DOGによる、神奈川・横浜市の、診療所「アーチクリニック」。地域に根差した医療を提供するため、“C型円弧壁”により待合と訪問診療事務所オープンスペースを空間的に連続させ、訪問診療の敷居の高さの払拭することを意図
  13. 小野寺匠吾建築設計事務所による、東京・江東区の、集合住宅の一住戸の改修「Y邸」。玄関とリビングをつなぐ11cm幅の“機能のない隙間”が、景色や気配を伝え、空間の質を大きく変える
  14. 八木祐理子+高田一正 / PAN- PROJECTSによる、国立新美術館でのインスタレーション「The Matter of Facts」。コロナ禍で中止延期のイベント等印刷物を素材として用い、“都市の記憶”として再提示することで、私達が生きる“現在地”を新たに捉えるための試み
  15. 白井晟一の、松濤美術館での建築展「白井晟一 入門 第1部/白井晟一クロニクル」のフォトレポート。白井建築を会場に行われ、無名時代から晩年の作品までを豊富な図面と資料で紹介する展示
  16. ザハ・ハディドの展覧会「ZAHA HADID DESIGN 展」が、東京・港区のKarimoku Commons Tokyoで開催。ザハのデザイン作品に注目し過去のアーカイブから紹介すると共に、建築モデルも紹介される
  17. 古森弘一建築設計事務所による、福岡・北九州市の住宅「方眼の間」。構想をもった施主家族と設計者が議論しながら設計する為に、共通ルールとして三尺方眼を天井に可視化し、在来工法の延長に成立させる事で将来的な増改築も考慮
  18. OMA / 重松象平による、福岡の複合オフィスビル「天神ビジネスセンター」が完成。OMAの日本初のオフィスビルで、交差する二つの通りに面する建物ヴォリュームの角をピクセル化して削ることで都市活動の融合を明確にし、入口広場に公共の活動を呼び込む
  19. 国際的な建築家たちが登壇する、JIA国際委員会主催のウェビナー「《越境建築家》たちとの対話シリーズ Part2」が、2021年11月から2022年4月に渡って開催
  20. 加藤直樹 / N.A.Oによる、神奈川・秦野市の、施工費約720万円で完成させた、将来的な他用途への転用も考慮した住宅「HOUSE-KT(加藤小屋)」

ペーター・メルクリの、2021年10月に公開されたインタビュー動画。アトリエ風景や模型製作時とスケッチでの建築構想の様子も収録。

ペーター・メルクリの、2021年10月に公開されたインタビュー動画です。アトリエ風景や模型製作時とスケッチでの建築構想の様子も収録されています。英語字幕付きです。動画の制作は、アート施設にもなっている「ミース・ファン・デル・ローエの家 (Haus Lemke)」です。

In this film the Swiss architect and university professor sketches various ideas as design considerations for a new building and its potential functions beside the Mies van der Rohe House in Berlin.
This feature is part of the ongoing film- and exhibition project ‘Mies Goes Future’ inviting artists, architects, art and architecture historians to explore the possibilities of how the future of the Mies van der Rohe House as an institution can be shaped. In different formats, such as interviews, monologues, sketches, photographs or drawings, the connection to the work of the architect Mies van der Rohe as a source of inspiration will be expressed clearly.

The film- and exhibition project is curated by Esenija Bannan
Video by ©Bannan Productions

ファラが2019年に行った、ポルトガル・アルマダでの建築展「Cats & Columns」。コンテンツを構成の一部に変換し、既存空間の特性と他プロジェクトからの戦略の両方を使い、展示自体を建築プロジェクトとして構想
ファラが2019年に行った、ポルトガル・アルマダでの建築展「Cats & Columns」。コンテンツを構成の一部に変換し、既存空間の特性と他プロジェクトからの戦略の両方を使い、展示自体を建築プロジェクトとして構想 photo©ricardo loureiro
ファラが2019年に行った、ポルトガル・アルマダでの建築展「Cats & Columns」。コンテンツを構成の一部に変換し、既存空間の特性と他プロジェクトからの戦略の両方を使い、展示自体を建築プロジェクトとして構想 photo©ricardo loureiro
ファラが2019年に行った、ポルトガル・アルマダでの建築展「Cats & Columns」。コンテンツを構成の一部に変換し、既存空間の特性と他プロジェクトからの戦略の両方を使い、展示自体を建築プロジェクトとして構想 photo©ricardo loureiro

ファラが2019年に行った、ポルトガル・アルマダでの建築展「Cats & Columns」。コンテンツを構成の一部に変換し、既存空間の特性と他プロジェクトからの戦略の両方を使い、展示自体を建築プロジェクトとして構想された建築展です。

ファラは、フィリップ・マガリャインシュ(filipe magalhães)、アナ・ルイサ・ソアレス(ana luisa soares)、アーメッド・ベルホジャ(ahmed belkhodja)の3人が主宰する建築設計事務所で2013年に設立されました。それぞれ、SANAA、伊東豊雄、アトリエ・ワンという日本の設計事務所に勤務やインターンした経験をもつことも特徴です。またフィリップとアナは、日本滞在中は中銀カプセルタワーに居住していました。

こちらは、建築家によるテキストの翻訳

「Cats & Columns」は、ファラの作品を包括的に調査したものです。この展覧会では、何千ものドローイング、画像、コラージュ、物理的なモデル、スケッチ、工芸品などが展示され、そのほとんどが初めて公開されたものでした。

この展覧会は、それ自体が建築プロジェクトでした。ここでは既存の空間の特性と、他のプロジェクトから借用した一連の戦略の両方を利用しています。コンテンツは構成の一部となり、建築的な装置に変換されました。窓やドアの大きさや位置を引用した線画がパネルで展示されていました。大きな青い楕円形の面が来訪者を迎え、中央付近にはピンクのベンチに支えられた円柱が、一見すると切り離されたように置かれています。隅にはテレビがあり、低解像度のレンダリング画像が何千枚も映し出されています。また、金属製のチープな棚には作業中のモデルがいくつか展示されています。乾式壁はミントグリーンに塗られています。木製の台座とたくさんのコラージュ作品が、部屋をゆるやかにサイケデリックなパターンで結んでいます。植物は、家庭的な雰囲気を醸し出しています。

【ap job更新】 ストーリー性を重視した空間デザインで国内外のアワードで高い評価を得る「株式会社 鬼木デザインスタジオ」が、新規スタッフ(経験者・新卒)を募集中
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【ap job更新】 ストーリー性を重視した空間デザインで国内外のアワードで高い評価を得る「株式会社 鬼木デザインスタジオ」が、新規スタッフ(経験者・新卒)を募集中Hermes祇園店

ストーリー性を重視した空間デザインで国内外のアワードで高い評価を得る「株式会社 鬼木デザインスタジオ」の、新規スタッフ(経験者・新卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

株式会社 鬼木デザインスタジオは、ショップのインテリアデザインを中心に、建築・展示会等の空間設計を手掛けるデザインスタジオです。

この度、事業拡大のため、新規スタッフを募集いたします。

代表の鬼木孝一郎は、大学で建築を学んだ後、デザインオフィスnendoで10年間チーフデザイナーを務め、2015年に「鬼木デザインスタジオ」を立ち上げました。独立後は、京都の町屋を改修した「Hermes 祇園店」、資生堂のブランドの旗艦店「THE GINZA COSMETICS GINZA」、セレクトショップ「STUDIOUS 表参道店」、コスメブランドの店舗「SHIRO 玉川高島屋S・C店」等を手がけ、そのストーリー性を重視した空間デザインは国内外のデザインアワードで高い評価を得ています。

現在は多くの空間プロジェクトが進行中で、これからも様々な用途と規模のプロジェクトにチャレンジしていきたいと考えており、事業拡大のため新規スタッフを募集いたします。少人数の利点を生かし、密にコミュニケーションをとりながら楽しく一緒に成長していける事務所です。デザイン好きな方からのご連絡をお待ちしております!

【シリーズ・色彩にまつわる設計手法】 第5回 青木淳 インタビュー・前編「場所の記憶を表現した“水の柱”」
【シリーズ・色彩にまつわる設計手法】 第5回 青木淳 インタビュー・前編「場所の記憶を表現した“水の柱”」

本記事は学生国際コンペ「AYDA2021」を主催する「日本ペイント」と建築ウェブメディア「architecturephoto®」のコラボレーションによる特別連載企画です。今年の「AYDA」日本地区のテーマは「音色、空間、運動」。このテーマにちなみ、現在活躍中の建築家に作例を交えながら色彩と空間の関係について語ってもらうインタビューを行いました。昨年、全4回にわたり公開された色彩に関するエッセイに続き、本年は建築家の青木淳と芦沢啓治の色彩に関する思考に迫ります。作品を発表する度に新鮮な驚きを与えてくれる二人。その色彩に関する眼差しを読者と共有したいと思います。


第5回・前編では、青木淳が建築本体と外装を設計し2021年1月に竣工した「ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店」について語ります。あたかも風にたゆたう水面のようにきらめく3次曲面ガラスをカーテンウォール全面に張り巡らしたこの建物は、“水の柱”がテーマだとのこと。果たしてどのような構想とプロセスを経て実現したのでしょうか。お忙しい中、貴重なお話をうかがいました。

*このインタビューは感染症予防の対策に配慮しながら実施・収録されました。


銀座らしさを中世に求める

【シリーズ・色彩にまつわる設計手法】 第5回 青木淳 インタビュー・前編「場所の記憶を表現した“水の柱”」青木淳。2020年よりASを共同主宰する。 photo©渡部立也

――「ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店(以下、銀座並木通り店)」は、青木さんご自身が設計し2004年に竣工した同店舗の建て替えです。今回、敷地周辺がかつて海に囲まれていたことから“水の柱”をテーマにしたとうかがっていますが、そこに至る経緯はどのようなものだったのでしょう。

以下の写真はクリックで拡大します

【シリーズ・色彩にまつわる設計手法】 第5回 青木淳 インタビュー・前編「場所の記憶を表現した“水の柱”」「ルイ・ヴィトン 銀座並木通り店」(建築本体+外装設計:AS、2020年)。並木通りと交詢社通りの交差点に建つ。ワンフロアあたりの面積が小さく、通りの中では一本の棒のような存在になるため、強い表情を持つファサードでも圧迫感が出過ぎず成立すると考えた。 photo©Daichi Ano / Louis Vuitton

 
青木:ルイ・ヴィトンのプロジェクトには、これまでもかなり長い時間がかかっています。というのも、我々が最初に用意した案がすんなり実現することはなくて、「もう少し違う案も考えてほしい」とリクエストされて別の案を考えるという連続なんです。

しかも、あるところまで進んで試しに1m角ぐらいのサンプルを制作しても「やっぱりまずいかな」ということでまた考え直すとか。それを何回も繰り返しながら少しずつ進めた結果、実施案にたどり着くわけです。

いつもその街ならでありながら、同時にルイ・ヴィトンらしさをもつことが求められるのですが、「銀座並木通り店」の場合も、銀座という場所性を活かすことを考えました。

ただ、銀座らしい建築といってもなかなか難しい。というのも、いろいろなストーリーが銀座にはありますから。
たとえば明治から大正にかけての銀座はレンガ街でした。開国以来、横浜の港から東京に向かう列車の終着駅が新橋で、そこから東京まで行く途中にあるのが銀座ですから、いわば海外の文化が直接入ってくる場所でした。

昭和初期には資生堂がロゴや店舗にアール・デコのデザインを取り入れます。アール・デコが日本で受容されたのは、おそらく江戸小紋のような繰り返しのパターンが既にあったことから親しみやすかったのでしょう。「ルイ・ヴィトン 松屋銀座店(以下、松屋銀座店)」(2013年)では、そのストーリーをデザインに取り入れました。

そして、時代を中世までさかのぼれば、日本橋から銀座にかけては江戸前島といって、海に囲まれた半島でした。
江戸時代に周りが埋め立てられますが、墨田川河口に造成された佃島に漁村がつくられ、江戸城に献上するために白魚漁が行われたといいますから、水はきれいだったに違いありません。
そこで、「銀座並木通り店」では水と海と街にちなんだテーマを連想したというわけです。


変わり続けるブランドイメージ

――青木さんとしては、歴史的なつながりと同時に、ルイ・ヴィトンというブランドの建物として見てもらいたいわけですよね。

青木:もちろんそうですね。並木通りという道は中央通りに比べると道幅が狭く、言い方を変えればヒューマンスケールで、特に最初の「銀座並木通り店」が竣工した2004年頃は老舗感のある建物が並び、銀座の中でも高級なイメージがありました。

そこで前の時は、外壁は伝統を感じさせる石がいいだろうと直感すると同時に、“軽さ”という相反するイメージもあわせて表現しようと、GRC(ガラス繊維補強セメント)に白いアラバスターを象嵌したパネルを用いました。つまり一種のテラゾーです。

ルイ・ヴィトン側の担当者からは「テラゾーは言ってみれば石のまがいものなのでヨーロッパではネガティブにとらえられる可能性がある」と心配されましたが、当時社長だったイヴ・カルセルさんの自邸の水まわりに使われたテラゾーがすごくきれいだというのでゴーサインが出たのを覚えています。

それから20年近くが経ち、並木通りはだいぶ雰囲気が変わりました。ブランドの店舗がずいぶん増え、並木通り特有の雰囲気が消えてしまいましたね。

瀧尻賢 / Atelier Satoshi Takijiri Architectsによる、京都・木津川市の、田園と山々を望む敷地に建つ「中山珈琲焙煎所」。働く夫妻が豊かな風景を眺める為にガラススクリーンを設け、商業的な設えを排除したミニマルで素朴な空間で、この地の風景の一部となることを目指す
瀧尻賢 / Atelier Satoshi Takijiri Architectsによる、京都・木津川市の、田園と山々を望む敷地に建つ「中山珈琲焙煎所」。働く夫妻が豊かな風景を眺める為にガラススクリーンを設け、商業的な設えを排除したミニマルで素朴な空間で、この地の風景の一部となることを目指す photo©矢野紀行
瀧尻賢 / Atelier Satoshi Takijiri Architectsによる、京都・木津川市の、田園と山々を望む敷地に建つ「中山珈琲焙煎所」。働く夫妻が豊かな風景を眺める為にガラススクリーンを設け、商業的な設えを排除したミニマルで素朴な空間で、この地の風景の一部となることを目指す photo©西岡潔
瀧尻賢 / Atelier Satoshi Takijiri Architectsによる、京都・木津川市の、田園と山々を望む敷地に建つ「中山珈琲焙煎所」。働く夫妻が豊かな風景を眺める為にガラススクリーンを設け、商業的な設えを排除したミニマルで素朴な空間で、この地の風景の一部となることを目指す photo©矢野紀行

瀧尻賢 / Atelier Satoshi Takijiri Architectsが設計した、京都・木津川市の、田園と山々を望む敷地に建つ「中山珈琲焙煎所」です。働く夫妻が豊かな風景を眺める為にガラススクリーンを設け、商業的な設えを排除したミニマルで素朴な空間で、この地の風景の一部となることが目指されました。

京都の小さな田舎町にある珈琲焙煎所のプロジェクトである。
ロケーションは田園風景と山々の豊かな輪郭を眺めることができる。

建築家によるテキストより

この地でコーヒー焙煎所をスタートして10年が経った。

手回しの小さな焙煎機からスタートした焙煎所は町に根付き、町の人に愛されながら徐々に生産量を増やし現在は全国各地からNAKAYAMACOFFEEの豆を求めてお客さんが訪れる店となった。

建築家によるテキストより

焙煎士の店主、それを支える妻の二人の為にこの豊かな風景を眺めることができるガラススクリーンをデザインした。
通常ガラススクリーンは客に開く商業的な目的でガラススクリーンのデザインをするが、このガラススクリーンはあくまで働く二人の為のガラススクリーンである。

ファサードには店のサイン看板すらない。
日中はガラススクリーンには正面の風景が反射し、ほとんど店の内部は見えない。
煙突から煙がたっていたら店はオープンしている。
ある種商業的な設えを排除した。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 海外に拠点を置き日本や世界各国のプロジェクトを手掛ける「yasuhirokaneda STRUCTURE」が、日本勤務での新規スタッフと協力構造設計事務所を募集中
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構造設計事務所yasuhirokaneda STRUCTUREの代表の金田泰裕です。

プロジェクト数が増えた事に伴い、私の事務所では、新規スタッフ(2名)および協力構造事務所を募集しております。

yasuhirokaneda STRUCTUREは、金田泰裕が2014年に設立し、パリ、香港、コペンハーゲンと海外に拠点を置きながら、日本国内のプロジェクトはもちろん、世界各国のプロジェクトを多国籍な建築家と協働(構造設計)をしている事務所です。

代表作には、弘前れんが倉庫美術館(田根剛/ ATTA設計)、まれびとの家(秋吉浩気/ VUILD 設計)、HIROPPA(元木大輔/ DDAA 設計)、 Hare unahi ika(Matias Zegars Arquitectos)、 その他多数。

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