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日本ペイント×architecturephotoコラボレーション企画 “色彩にまつわる設計手法” / 第3回 原田祐馬・後編 「石ころ、スマホ、記憶の肌理、」
日本ペイント×architecturephotoコラボレーション企画 “色彩にまつわる設計手法” / 第3回 原田祐馬・後編 「石ころ、スマホ、記憶の肌理、」

本記事は学生国際コンペ「AYDA2020」を主催する「日本ペイント」と建築ウェブメディア「architecturephoto」のコラボレーションによる特別連載企画です。4人の建築家・デザイナー・色彩計画家による、「色」についてのエッセイを読者の皆様にお届けします。第3回目はアートディレクター / デザイナーの原田祐馬に色彩をめぐる思考について綴っていただきました。

 
石ころ、スマホ、記憶の肌理、

text:原田祐馬

 

以下の写真はクリックで拡大します

日本ペイント×architecturephotoコラボレーション企画 “色彩にまつわる設計手法” / 第3回 原田祐馬・後編 「石ころ、スマホ、記憶の肌理、」「UR都市機構」(色彩計画、サインデザイン:UMA/design farm) photo©Yurika Kono

ぼくは、アルゼンチンにおける自分の夜間飛行の晩の景観を、いま目のあたりに見る心地がする。それは、星かげのように、平野のそここに、ともしびばかりが輝く暗夜だった。
あのともしびの一つ一つは、見わたすかぎり一面の闇の大海原の中にも、なお人間の心という奇蹟が存在することを示していた。あの一軒では、読書したり、思索したり、打ち明け話をしたり、この一軒では、空間の計測を試みたり、アンドロメダの星雲に関する計算に没頭しているかもしれなかった。また、かしこの家で、人は愛しているかもしれなかった。それぞれの糧を求めて、それらのともしびは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っていた。中には、詩人の、教師の、大工さんのともしびと思しい、いともつつましやかなものも認められた。しかしまた他方、これらと生きた星々にまじって、閉ざされた窓々、消えた星々、眠る人々がなんともおびただしく存在することだろう…。
努めなければならないのは、自分を完成することだ。試みなければならないのは、山野のあいだに、ぽつりぽつりと光っているあのともしびたちと、心を通じあうことだ。

−サン=テグジュペリ《人間の土地》 新潮文庫 より

 
石ころからも、多くのことが想像できる

デザインは、近くて遠い誰かへの手紙のようだなと思うことがある。
その手紙は、すぐに届くことも大切かもしれないが、10年後、20年後にじんわりと届くものであってもいいだろう。また、それが人間じゃなくても、遥か深海に暮らす小さな魚であっても、5000km離れた土地から飛んでくる鳥でもよいだろう。サン=テグジュペリが1937年に書いた《人間の土地》のこの一文は、改めていま読んでもその近くて遠い誰かに思いを馳せることの大切さを知らせてくれている。

後編は、これをサン=テグジュペリから83年後に届いた手紙と受け止め、私たちがプロジェクトで色彩について実践しようとしていることについて考えてみたい。私は、サン=テグジュペリのような飛行操縦士ではないので、空から考えることは得意ではない。しかし、移動しながら考えてみることは大切にしている。特に歩いてみることが一番身体に合っているように思う。風を感じ、土や素材を触り、小さな変化を発見することが楽しい。フィールドワークでは、専門家と一緒に歩くと解像度がどんどん上がっていく。

例えば、土木の仕事であれば当たり前かもしれないが、アスファルトひとつ取っても発見がある。アスファルト舗装は、砕石の上にアスファルトを敷き固め、日本中、同じような道路や歩道をつくっている。さて、みなさんの家の前の道路、どのような色だったか覚えているだろうか。黒?グレイ?それとも、もっと違う色だろうか。私の家の前は色褪せたグレイだったように記憶している。

昨年、土木の専門家と熊本市をフィールドワークしていると、アスファルト舗装の色が緑っぽいことに気がついた。一瞬、目が悪くなったような気分にもなる。そこで詳しく聞いてみると、敷き詰められている砕石が緑色で、その色が浮かび上がっているらしい。

砕石は、輸送コストを考え、近くの山を崩し供給していることが多く、熊本市では、30kmほど離れた山鹿市から砕石をもってくることが多いそうだ。山鹿の石をみるために採石場に連れていってもらうと、花崗岩の中の斑れい岩なので緑なんですと教えてもらい、素直に緑の石ころたちがとても美しかったのを思い出す。また、30km圏内の経済圏と風景が重なりあって街の色の一部が生まれていることを知ると、さらに解像度が上がり、今度は、目がよくなったような気分になる。どの地域、どの街を歩いていてもアスファルトでさえも愛おしくなっていく。

改めて、家の前の道路を観察してみると、色褪せたグレーではなかったのだ。赤い石や、白い石、青い石、グレーの石たちが集合体となり、少し離れた近隣の山々を感じられる。アスファルト一つからも、数億年前の石ころたちが私たちの生活を支え、頭の中に山々が重なる風景を立ち上がらせてくれるようになった。ぽつりぽつりと光っているともしびのように、石ころからも多くのことが想像できるはずだ。

定方三将 / 上町研究所による、大阪・阪南市の「阪南の住宅」
定方三将 / 上町研究所による、大阪・阪南市の「阪南の住宅」 photo©平野和司
定方三将 / 上町研究所による、大阪・阪南市の「阪南の住宅」 photo©平野和司
定方三将 / 上町研究所による、大阪・阪南市の「阪南の住宅」 photo©平野和司

定方三将 / 上町研究所が設計した、大阪・阪南市の「阪南の住宅」です。

敷地は、大阪府南部の古い平屋建て住宅が多く残る静かな地域にある。
車一台が通るのがやっとの道幅に沿って背の低い建物が建ち並ぶ周辺のスケール感から突出しないよう、道路側を低く構えて、街並みへの影響をできるだけ軽減しようとしている。逆に敷地奥に行くに従って高さを増していき、一番奥の空間は高い天井高をもつ吹き抜け空間とした。

建築家によるテキストより
長坂常 / スキーマ建築計画+オンデザインパートナーズによる、東京・日本橋の、古い蔵を移動させ再構築したニューバランスの店舗「T-HOUSE New Balance」
長坂常 / スキーマ建築計画+オンデザインパートナーズによる、東京・日本橋の、古い蔵を移動させ再構築したニューバランスの店舗「T-HOUSE New Balance」 photo©長谷川健太
長坂常 / スキーマ建築計画+オンデザインパートナーズによる、東京・日本橋の、古い蔵を移動させ再構築したニューバランスの店舗「T-HOUSE New Balance」 photo©長谷川健太
長坂常 / スキーマ建築計画+オンデザインパートナーズによる、東京・日本橋の、古い蔵を移動させ再構築したニューバランスの店舗「T-HOUSE New Balance」 photo©長谷川健太

長坂常 / スキーマ建築計画オンデザインパートナーズが設計した、東京・日本橋の、古い蔵を移動させ再構築したシューズブランド ニューバランスの店舗「T-HOUSE New Balance」です。店舗の公式ページはこちら

川越から古い蔵を移動させ、それを再構築するとともに新たな空間を作るプロジェクトである。ただ、移築とはいえ、移動してそのまま建てるわけではなく、それを覆うように全く異なる構造で新築し、その中に移築した軸組を組む計画で、まるで博物館の古民家展示みたいになりかねないものだった。そのハリボテ感が気になっていて、そこからこのプロジェクトの考えが始まった。

このT-HOUSEはニューバランスがブランドをリードする原動力「エナジープロジェクト」として設立した新しいスペースで、世界の中で日本が選ばれたのはやはりものづくりの国としての評価とともに、アジア戦略の拠点として見据えられていた結果であろう。そして、同時にそのキャラクターとしても日本らしさが期待され、蔵の移築が承認を受けて進んだ。その後、我々のところに依頼があった。

最初にその依頼を聞いた時、それは普段全く着ることがないのに、海外で行われる表彰式などに着物を着るような感覚と同じで、日本らしさを意識させられるプロジェクトであると感じ、そのままそれを演じるわけには行かないと思ったが、なかなか覆す術が見つからず、悩んだ。その悩みを吹き飛ばしてくれたのが、その蔵の骨組みを組んでいる職人さんだった。

偶然にも、その蔵の柱にもともと刻まれていた貫部分を利用して即席掃除用具置場、最近我々でいう“まかない家具”を見たことがきっかけだった。それをみて、ああ、そうか「建築、そしてこのハリボテの蔵の骨組、さらにそのさきにその骨組みを利用し機能を与えることで、そのハリボテが機能しハリボテじゃなくなる。」と考えたのだった。

建築家によるテキストより
三木達郎+本橋良介 / MMAAAによる、東京・板橋区の集合住宅「双葉町のアパートメント」
三木達郎+本橋良介 / MMAAAによる、東京・板橋区の集合住宅「双葉町のアパートメント」 photo©長谷川健太
三木達郎+本橋良介 / MMAAAによる、東京・板橋区の集合住宅「双葉町のアパートメント」 photo©長谷川健太
三木達郎+本橋良介 / MMAAAによる、東京・板橋区の集合住宅「双葉町のアパートメント」 photo©長谷川健太

三木達郎+本橋良介 / MMAAAが設計した、東京・板橋区の集合住宅「双葉町のアパートメント」です。

この建物は東京の西郊外、環状7号線と中山道から入った住宅地に位置する。
建蔽率が60%、容積率が300%の指定なので、都市計画が誘導するこのエリアのイメージは住環境を担保する40%の空地を残しつつ中高層の建物が並ぶ風景だろうか。実際には敷地周辺の道路幅員は狭く、敷地割も細かいので、稠密な低層の住宅地が広がっている。

建築家によるテキストより

そのような風情の中にこの集合住宅では14戸のワンルーム住戸と8戸のメゾネット住戸を計画している。日影規制がかからない10mの高さの中で、事業としては共用部を削ぎ落として建蔽率の許す限り専有面積を最大化したい。手前(A棟)と奥(B棟)の分棟とし、A棟には建蔽率に算入されない基壇を設けて直接のアクセスとして、その他は共用廊下を設けずに階段室とブリッジによって動線を集約している。40%の空地はシンプルに道路際と住棟間にまとめられて、周辺の建物のスケールに対して不釣り合いな大きなピロティによって繋がれる。

建築家によるテキストより
空間構想による、神奈川・横浜市の、展望施設「浅野学園創立100周年記念リング及び広場」
空間構想による、神奈川・横浜市の、展望施設「浅野学園創立100周年記念リング及び広場」 photo©Yoshiyuki Kawazoe
空間構想による、神奈川・横浜市の、展望施設「浅野学園創立100周年記念リング及び広場」 photo©Yoshiyuki Kawazoe
空間構想による、神奈川・横浜市の、展望施設「浅野学園創立100周年記念リング及び広場」 photo©Yoshiyuki Kawazoe

空間構想が設計した、神奈川・横浜市の、展望施設「浅野学園創立100周年記念リング及び広場」です。

ダクタルコンクリートという超高強度のコンクリートを構造体として採用した珍しい構造体です。学園のシンボルである銅像山(創立者である浅野総一郎翁の銅像があるからです)の山頂に、幅1800mm、端部の最も薄い部分の厚みはわずか32mmのリング状の展望施設を設計しました。

ダクタルコンクリートの上部には、目前の京浜工業地帯の埋立に尽力した浅野総一郎翁の足跡を時系列で刻み、学園の設立当初からある銅像や変わりゆく山頂からの風景とともに創立者の試行錯誤を現在の生徒たちが追体験するというコンセプトです。目前を走る電車の車内からも、薄肉の構造体が山頂に浮かぶ光景を見ることができます。

今回、ダクタルコンクリートの採用にあたっては、強度データが不十分なこともあり、実験を行うことで、実現にいたりました。ダクタルコンクリートはもうすぐ特許が切れることから、今後広く採用が期待される新素材でもあります。本プロジェクトがそうした知見に寄与できましたら幸いです。

建築家によるテキストより
小俣裕亮 / new building officeによる、東京・新宿区の、集合住宅の一室のリノベーション「マキさんの住宅」
小俣裕亮 / new building officeによる、東京・新宿区の、集合住宅の一室のリノベーション「マキさんの住宅」 photo©new building office
小俣裕亮 / new building officeによる、東京・新宿区の、集合住宅の一室のリノベーション「マキさんの住宅」 photo©new building office
小俣裕亮 / new building officeによる、東京・新宿区の、集合住宅の一室のリノベーション「マキさんの住宅」 photo©new building office

小俣裕亮 / new building officeが設計した、東京・新宿区の、集合住宅の一室のリノベーション「マキさんの住宅」です。小俣は、磯崎新アトリエ(2011年よりイソザキ・アオキ アンドアソシエイツ)出身の建築家。

集合住宅の一室のリノベーション計画です。
間仕切りを撤去して大きなワンルームとなった空間の中に、厚さ 50mm のセメント板による極薄の組積造の壁を立て、その周囲を回遊する空間のつらなりとして生活の場を設けています。

建築家によるテキストより

セメント板による組積造の壁は、天井と床のスラブによってテンションをかけられたスチールロッドがバットレスのように、面外方向の倒れに抵抗する構造計画としています。ロッドによって直接支持されていないパネルも、支持された他のパネルによって挟み込まれることで保持され、ロッドによって支持されたパネルをバランス良く配置するため、セメント板の目地が互い違いになっています。そのセメント板の目地のパターンと、オークの床張りのパターンがスケールを変えて呼応しています。

建築家によるテキストより

ものを積み重ね、倒れないように控え壁で抵抗する組積造という技術体系を、集合住宅の一室の限られた寸法の中で成立するように、壁の厚みを薄くし、控え壁が果たしてきた役割を繊細なスチールロッドに任命し直すといった、技術の編集をすることで、力の因果関係を体現するものを生活空間に同居させることを意図しています。

建築家によるテキストより
坂本拓也 / ATELIER WRITEによる、ドーバーストリートマーケット銀座での、ディスプレイデザイン「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance × Snow Peak 2020」
坂本拓也 / ATELIER WRITEによる、ドーバーストリートマーケット銀座での、ディスプレイデザイン「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance × Snow Peak 2020」 photo©仲野康則
坂本拓也 / ATELIER WRITEによる、ドーバーストリートマーケット銀座での、ディスプレイデザイン「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance × Snow Peak 2020」
坂本拓也 / ATELIER WRITEによる、ドーバーストリートマーケット銀座での、ディスプレイデザイン「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance × Snow Peak 2020」 photo©仲野康則

坂本拓也 / ATELIER WRITEが設計した、東京・中央区のドーバーストリートマーケット銀座での、ディスプレイデザイン「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance × Snow Peak 2020」です。※この展示は終了しています。

Snow PeakとNew Balanceが展開するブランド「TOKYO DESIGN STUDIO New Balance」のコラボレーションによるカプセルコレクションのためのディスプレイデザインです。

カプセルコレクションのテーマは、「Camp Fishing(渓流釣り)」。Snow PeakとNew Balanceによる確かな機能性、デザインディテールの融合された、唯一無二のプロダクトラインナップ。

計画地、ドーバーストリートマーケットのBeautiful Chaos(美しきカオス)というショップのコンセプトに基づき、ディスプレイに止まらないインスタレーション性が求められました。

建築家によるテキストより

限られた面積を活かすために、特異な会場形状に合わせて、(境界のカーブに沿わせたり、柱を避けたりして、)布のパタンを設計しました。タープポールはひとつながりとし、ハンガースタンドと、重りとしての機能も兼ねさせています。そこに張られた布が捻じれることで、一方ではアパレルをみせる背景となり、もう一方ではシューズを包み込むように変化していきます。

そして、布の継ぎ代を敢えて広く取ることで、そこに現れる襞やモアレによって、川面のような表情を演出しました。

建築家によるテキストより
三上建築事務所による、福岡・行橋市の、図書館を中心とした複合施設「リブリオ行橋」
三上建築事務所による、福岡・行橋市の、図書館を中心とした複合施設「リブリオ行橋」 photo©行橋イノベーション株式会社
三上建築事務所による、福岡・行橋市の、図書館を中心とした複合施設「リブリオ行橋」 photo©新写真工房 堀内広治
三上建築事務所による、福岡・行橋市の、図書館を中心とした複合施設「リブリオ行橋」 photo©新写真工房 堀内広治

三上建築事務所が設計した、福岡・行橋市の、図書館を中心とした複合施設「リブリオ行橋」です。施設の公式サイトはこちら

公共建築、特に地方では、そこでしかできない建築を創ることが重要だと考えている。地域に残される文脈を汲み上げ、建築がこの場所に定位する意味を創り出したい。

建築家によるテキストより

福岡県行橋市は、北九州市から南南東に約25㎞、人口約7万人の京築地方の中心都市であり、近年は北九州市のベッドタウン化が進んでいる。「行橋」という地名は、町村制施行により合併した旧行事村の「行」と旧大橋村の「橋」を合わせて命名された。計画地はその旧行事村と旧大橋村の境界を流れる長峡川の右岸に位置し、二つの地域はともにかつての地割を残しながら街並みを形成している。

建築家によるテキストより

上層と下層のヴォリュームをそれぞれ旧行事村、旧大橋村の街並みと符号するようにツイストさせた。そして下層は賑わい、上層にいくほど静かな場所となるようにゾーニングし、求められる多様な機能を配置した。下層のヴォリュームは赤レンガ館に向き合い、地域の持つ歴史性を尊重しながらも、市民の活動を受け入れ、街に新たなにぎわいを創出する佇まいとし、上層は長峡川や周囲の山々を望む落ち着いたスペースとして閲覧席や学習機能を配置した。

建築家によるテキストより
富山の「高岡テクノドーム別館(仮称)」設計プロポで、内藤廣建築設計事務所が最優秀者に

富山の「高岡テクノドーム別館(仮称)」設計プロポで、内藤廣建築設計事務所が最優秀者に選ばれています。優秀者は、高岡テクノドーム別館(仮称)新築工事ヨコミゾ・中川建築設計共同体でした。また提案書等はリンク先では公開されていません(富山県庁4Fにて2020年10月16日まで公開されています)。

高岡テクノドーム別館(仮称)新築工事基本設計業務に係る公募型プロポーザルの審査結果について掲載します。
1.最優秀者、優秀者について

■最優秀者
 株式会社内藤廣建築設計事務所

■優秀者
 高岡テクノドーム別館(仮称)新築工事ヨコミゾ・中川建築設計共同体

二俣公一 / ケース・リアルによる、東京・渋谷区の、音楽レーベルmule musiqの為のスペース「STUDIO MULE」
二俣公一 / ケース・リアルによる、東京・渋谷区の、音楽レーベルmule musiqの為のスペース「STUDIO MULE」 photo©志摩大輔
二俣公一 / ケース・リアルによる、東京・渋谷区の、音楽レーベルmule musiqの為のスペース「STUDIO MULE」 photo©志摩大輔
二俣公一 / ケース・リアルによる、東京・渋谷区の、音楽レーベルmule musiqの為のスペース「STUDIO MULE」 photo©志摩大輔

二俣公一 / ケース・リアルが設計した、東京・渋谷区の、音楽レーベルmule musiqの為のスペース「STUDIO MULE」です。主たる機能はミュージック&ワインバーとの事。

国内外のハウス・テクノミュージックシーンを牽引する音楽レーベル「mule musiq(ミュール・ミュージック)」のための新たなスペース“STUDIO MULE”の計画。

ここでの”studio”はミュージックスタジオではなく、フランス語で“小さな部屋”の意。約11坪の限られたスペースに、「エレクトリックでエレガントな音楽」「愛すべきビンテージオーディオ」「本物のナチュラルワイン」といった、レーベルのディレクターでありオーナーの好きなものを凝縮するという、嗜好性の強い空間の計画が求められた。

建築家によるテキストより
牧野恭久建築設計事務所が改築を手掛けた、東京・千代田区の、神田駅高架下の喫茶店「神田珈琲園」
牧野恭久建築設計事務所が改築を手掛けた、東京・千代田区の、神田駅高架下の喫茶店「神田珈琲園」 photo©鳥村鋼一
牧野恭久建築設計事務所が改築を手掛けた、東京・千代田区の、神田駅高架下の喫茶店「神田珈琲園」 photo©鳥村鋼一
牧野恭久建築設計事務所が改築を手掛けた、東京・千代田区の、神田駅高架下の喫茶店「神田珈琲園」 photo©鳥村鋼一

牧野恭久建築設計事務所が改築を手掛けた、東京・千代田区の、神田駅高架下の喫茶店「神田珈琲園」です。店舗の公式サイトはこちら。

「神田珈琲園」は神田駅高架下にて1957年から営業を続けている歴史のある純喫茶である。

鉄道高架橋躯体をそのまま利用した2階建ての従前店舗は、2018年高架橋躯体老朽化による耐震補強工事に伴い解体。
同じ高架下の店舗が次々と閉店や移転を決める中、地権者との交渉により同じ場所での再開は可能となったが、耐震補強をした高架橋躯体には接触せず完全に切り離した建築を入れ子状に新築することが求められた。

前面道路以外は高架橋躯体に囲われ、GLから高架橋躯体までの高さはわずか4.68m、地盤下には高架の大きなフーチングが拡がっているという特殊な条件のもと、施工方法を検討しながらの設計を進めた。

構造は100mm×100mmのH鋼のみで構成した門型のフレームを人力で支えられるサイズに分け、敷地奥から順々に据付ける計画としている。
門型フレームの桁行スパンは1.7mとし、敷地内高架橋躯体を避けるだけでなく、客席の最小単位寸法として設定している。内部で表しとなった構造フレームと鉄骨高架橋を模したブレースは、パーティションのように扱うことで、一つの空間の中に質の異なる居場所を作っている。

建築家によるテキストより
山口陽登 / YAPによる、大阪市の、ビルの一階をコンバージョンした設計者自身のオフィス「YAP OFFICE」
山口陽登 / YAPによる、大阪市の、ビルの一階をコンバージョンした設計者自身のオフィス「YAP OFFICE」 photo©KENJI TOGO
山口陽登 / YAPによる、大阪市の、ビルの一階をコンバージョンした設計者自身のオフィス「YAP OFFICE」 photo©KENJI TOGO
山口陽登 / YAPによる、大阪市の、ビルの一階をコンバージョンした設計者自身のオフィス「YAP OFFICE」 photo©KENJI TOGO
山口陽登 / YAPによる、大阪市の、ビルの一階をコンバージョンした設計者自身のオフィス「YAP OFFICE」 photo©KENJI TOGO

山口陽登 / YAPが設計した、大阪市の、ビルの一階をコンバージョンした設計者自身のオフィス「YAP OFFICE」です。

小さなビル「上町荘」の1Fを自身の設計事務所へとコンバージョンした。上町荘は交差点に放り出されるように角地に位置しているシェアスペースである。周辺は長屋が多く残る下町で、人も車も自転車も通行量がとても多い。元々は倉庫として使われていて、物品と軽トラを出し入れするために約9mの開口で大きく街に開かれていた。

設計事務所はビルの2Fや3Fに位置することが多い。しかし、1F倉庫のために設えられた、この大きな開口を利用して、設計事務所の内部の風景を、まちに向かって放り出してみてはどうかと考えた。

建築家によるテキストより

様々な実験の風景とその結果生まれた空間を、街に向かって継続的に発信・表現している。まずはじめに模型の収納スペースをコンクリートの壁で作った。上町荘は鉄骨造で剥き出し、木材はホームセンターでいつでも手に入る。RC造の建物を設計することもあるのだから、コンクリートが常に目に入っていて欲しいと思った。型枠は自分たちが扱えるベニヤと木の角材で組み、コンクリートは人力で練った。一般的に見て美しいとは言えないジャンカ、コールドジョイントも自分たちで打って、愛でるように磨くと水墨画のような趣が生まれ悪くない。型枠はスペースを形成する反対側の壁に再利用した。

建築家によるテキストより

また、スタッフもアルバイトも含めて大きな机で作業する風景を街から見えるようにしたいと考えた。また一般的な机の角の4つの脚がどうも不自由に感じて、できる限りフレキシブルに使いたいと考えた。1.5m×4.7mの大机の脚は、繊維方向を合わせて圧着し、曲がりやすく加工されたベニヤ(曲げベニヤ)をくるんと曲げて、無造作に配置し、天板を載せているだけの作りである。パソコンや本など荷重がかかるあたりに曲げベニヤ製の脚を配置する。机の上の重いものが移動されれば、机の脚も移動する。

建築家によるテキストより
富永大毅へのインタビュー「時間軸のある建築をつくる」 定方三将 / 上町研究所による、兵庫・西宮市の「苦楽園の住宅」
定方三将 / 上町研究所による、兵庫・西宮市の「苦楽園の住宅」 photo©平野和司
定方三将 / 上町研究所による、兵庫・西宮市の「苦楽園の住宅」 photo©平野和司
定方三将 / 上町研究所による、兵庫・西宮市の「苦楽園の住宅」 photo©平野和司

定方三将 / 上町研究所が設計した、兵庫・西宮市の「苦楽園の住宅」です。

阪神間の落ち着いた住宅街に建つ住宅である。

この敷地の周辺は少し古い住宅が立ち並ぶ地域で、遠くの景色を眺めることはできないが、北側の隣地にある植栽が隣家の目隠しになっている。
この隣地の植栽を手掛かりにしつつ南北に長い敷地を活かして中庭をもつコートハウスの計画とした。

子供室以外の諸室は1階に配置し、ダイニングやキッチンと主寝室が中庭を中心としてつながっている。
子供室のある南の道路側を2階建にして、北へ向けて建物の高さが低くなる断面構成である。

建築家によるテキストより
山口陽登 / YAPによる、京都の、集合住宅の住戸リノベーション「一乗寺の住宅」
山口陽登 / YAPによる、京都の、集合住宅の住戸リノベーション「一乗寺の住宅」 photo©Kenta Hasegawa
山口陽登 / YAPによる、京都の、集合住宅の住戸リノベーション「一乗寺の住宅」 photo©Kenta Hasegawa
山口陽登 / YAPによる、京都の、集合住宅の住戸リノベーション「一乗寺の住宅」 photo©Kenta Hasegawa

山口陽登 / YAPが設計した、京都の、集合住宅の住戸リノベーション「一乗寺の住宅」です。

マンションの一住戸をフルリノベーションする計画である。
対象住戸は築40年、RC造9階建てのビンテージ マンションの5階角部屋で、三面から採光・通風を確保できる。また、周辺よりやや高い場所に位置し、東 側バルコニーからは瓜生山を望むことができる自然豊かな場所に建っている。

建築家によるテキストより

この心地よい光と風を部屋ごとに分断するのではなく住宅全体で感じられ、それでいて落ち着けるスケールの空間を作れないか。

一室空間のスケルトンを敷地と見立てて、幅1間半(2.7m)奥行き4間(7.2m)のポーラスな「巣」を住宅の 中心に建設した。RCの堅くて強いマンションの躯体と、生活風景を生み出す家具の間をつなぐような、25mm角の鋼管で組まれた立体物である。

建築家によるテキストより

住戸中央に配置された「巣」は、鉄骨造のポーラスな構築物である。25mm×25mmの角形鋼管を中心に構築し、強度と薄さを両立している。

22個に分割した各ユニットは、普段高い精度でプロダクトを製作する、東大阪の鉄工所で製作した。運び込まれた各ユニットをクレーンで吊り上げ、北側のルーフガーデンに仮置きした後に搬入し、現場で溶接する。

建築に近いスケールの空間を、家具に近いスケールの小さな部材で構築した「巣」は、巨大な家具(GiantFurniture)のようでもあり、小さな空間(SmallSpace)の連続体でもあるような、不思議な質感の生活風景を生み出す。

建築家によるテキストより
ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による連載エッセイの最新回「熱気球にのって」

ピーター・ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による連載エッセイの最新回「熱気球にのって」が公開されています。

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