

工藤浩平+小黒日香理 / 工藤浩平建築設計事務所が設計した、群馬・高崎市の「プラス薬局みさと店」と、実際にこの建築を訪問した6組の建築家たち(西澤徹夫・宮内義孝・榮家志保・澤田航・森純平・竹内吉彦)による感想を掲載します。
病院を含む医療・福祉系の施設はクロス、塩ビシートといった清潔感があるとされている設えがあたりまえの世界のなかに、外のようなラフであっけらかんとした空間をつくったり、薬局建築では無駄なものとされがちな大きな気積のある空間をどうつくるかという課題があった。結果、モノをとても合理的に経済的につくることでなし得たが、振り返るとそれは偽りの合理性、または免罪符に近いかもしれないと思ったりもした。地元ゼネコンに1.5倍の金額を提示されたとき、カタチを出すということは装飾的な一部なのかもしれないとも思ったし、透明な空間がいい環境をつくれているのかということにも私たちを立ち返らせてくれた。そういった思いを自分たちの中で払拭したいという気持ちで、必死にエンジニアリングやコストコントロールを行い、つくり手側に介入もしていった。その手続きは「私たちの」空間をつくりたいエゴなのかもしれないという迷いもあったが、立ち上がったモノの強さを目の当たりにして、そんなちっぽけな心配は消えていった。