山下大輔建築設計事務所が設計した、愛知県愛西市の住宅「波板の家」です。
愛知県の西、愛西市に建つ、夫婦と子供3人のための住宅である。母屋の敷地と隣接する広い所有地の一角に計画された。この地域は市街化調整区域であったことから周辺にも必然的に余白が多く、読み解くべき明快なコンテクストが希薄な環境であったため、計画された建物は結果的に極めてシンプルな幾何学形態となった。
鉄骨造3階建ての9グリッド、約8.2メートルキューブをメインヴォリュームとする。この厳格な形態を成立させる構造は、井桁状に組んだH形鋼の柱梁や土台、ブレースと、垂直荷重を負担する中央と四隅の8本の細い鋼管の柱で構成され、その鉄骨フレームがコンクリートの基壇の上に軽やかに載せられた形式である。そのヴォリュームを母屋や既存の庭との関係に配慮した上で、絶対軸である南北軸に合わせて配置し、前面道路との余白にエントランスやポーチ、基壇から拡張されたアプローチ階段や駐車スペースをつくり、敷地境界との余白にいくつかの新たな庭を構築した建築である。