all photos©太田拓実
二俣公一 / ケース・リアルによる、大阪の「イソップ 中之島フェスティバルプラザ店」です。
今回の計画地があるツインタワーの一つには、フェスティバルホールと呼ばれる文化施設がある。ビル名称のルーツにもなっているこのホールは、旧ホールが建設された1958年以降、まだ日本に大きなコンサートホールがない時代から国内外より様々なアーティストを迎え、中之島という地で芸術や音楽文化を育んできた。わたしたちはこのホール、そして芸術や音楽にあふれた街「中之島」へのオマージュとして、小さな美しい劇場のようなストアを作りたいと考えた。それは時にクラシック音楽のようにエレガントで優美な、時にアヴァンギャルドで彫刻的なイメージである。
メインマテリアルには地場近郊で採れる淡いブルーの「竜山石(たつやまいし)」を使用している。大阪には戦前に建てられた西洋風建築が多く現存しており、竜山石はそのファサードにしばしば見られる素材であり、また古代には有力貴族の石棺としても使用された美しい風合いの石でもある。そこへ特殊着色されたゴールドの金属を合わせ、彫刻的でエレガントな空間を目指した。またビルのエスカレーターの関係で一部が大きく傾斜した天井は、その傾斜をそのまま活かし、空間全体に光を拡散させるリフレクターの役割を果たしている。