



山之内淡 / AWGLが設計した、インスタレーション「Anywhere Door」です。
ヴェネチアでの建築展への出展を契機に世界の4箇所に設置されました。建築家は、寺院の“山門”と“アニメ内のドア”に着想を得て、日本の伝統と現代カルチャーの交差点としての建築を志向しました。また、中央集権的ではない分散型の作品として作られました。本作品の公式サイトはこちら。4つのうち2つは常設となっています。
建築インスタレーション作品「Anywhere Door」は、建築家である自身が思いをはせる世界の4拠点に設置された。
きっかけは、2025年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展期間中に開催される、European Cultural Centre主催「Time Space Existence」への公式招聘である。本作は、国際的な“繋がり”をテーマに据えた分散型・ネットワーク型の建築インスタレーションとして設計された。
「Anywhere Door」は、日本の伝統と現代ポップカルチャーの交差点から生まれ、日本文化とクラフトマンシップを伝える複層的な建築である。着目したのは、日常に最も身近な建築要素である「ドア」。
ドアそのものではなく、その向こうに広がる風景を主役に据え、ランドスケープと一体となるよう設計した。目指したのは、ひとつのドアを介して鑑賞者が自然や動物、建築、文化的背景、記憶、そして人との繋がりを想像し、それを日常に持ち帰るきっかけを生み出すことである。
本作は、日本の伝統寺院における“山門”の柔らかな境界性から着想を得た。
境界の向こう側に、精神的な広がりや物理的な奥行き、時間や距離の跳躍を感じ取る日本伝統の考え方が本作の根底にある。加えて、ドアが風景の中にポツンと立つイメージ、ドアの向こう側のどこかと“繋がる”イメージは、これまで日本の漫画やアニメーションの中で、繰り返し、数多くの物語に描かれてきた象徴的モチーフのひとつである。近年の例としては、日本のアニメーション映画監督・新海誠氏による長編アニメーション作品「すずめの戸締まり」が挙げられる。
「Anywhere Door」は、日本の伝統と漫画やアニメーションといった現代ポップカルチャーの交差点に誕生している。日本の伝統と日本の現代ポップカルチャーの交差点に建築を生み出すことは、自身の建築家としてのアイデンティティの核でもある。









