SHARE 藤田雄介 / Camp Design inc.による東京都足立区の「花畑団地27号棟プロジェクト」
photo©Kentahasegawa
藤田雄介 / Camp Design inc.がデザイン監修をてがけた東京都足立区の「花畑団地27号棟プロジェクト」です。
以下、建築家によるテキストです。
建具が再編する風景
東京都足立区にある花畑団地のボックス型住棟の改修プロジェクトである。
一棟の改修であるが、その射程は都市再生機構が保有する約76万戸の団地風景を再編していくことに向けられている。
この棟のための特殊解ではなく、団地というビルディングタイプに汎用可能な設計を提示しようと考えた。
そのための手立てとして建具を設計の主対象とし、それ以外の部分は標準設計仕様を編集的に扱い計画している。
具体的には、既存のスチールサッシを木製サッシに取り替え、さらにサッシを取り除いたままの半屋外の部屋=ルームテラスを点在させている。
木製サッシは、これからの団地再生において共有されるマテリアルとなり、団地風景に人間性のある表情を与える存在となる。
ルームテラスは、テラスでありながら部屋のような、部屋でありながら穿たれた開口のある半外部という両義的な場所をつくりだす。
さらに点在することでプランにバリエーションが生まれ、異なる機能の部屋が積層する多様な立面をつくりだす。
建具一部分を設計の主対象として、団地が半世紀を経て育んできた素晴らしい環境を最大化し、関係性の綾が織り込まれた風景をつくることを目指している。
■建築概要
所在地|東京都足立区
建築面積|170.66㎡(EV棟・自転車置場含む)
延床面積|669.92㎡(EV棟・自転車置場含む)
階数|地上5階
戸数|10戸(住戸面積:39.07~40.95㎡)
構造|住棟:鉄筋コンクリート造 EV棟:鉄骨造
既存竣工|1966年4月(EV棟増築:2011年5月)
設計期間|2012年5月~2013年6月
施工期間|2013年7月~2014年2月
デザイン監修|藤田雄介 / Camp Design inc.
建築|独立行政法人都市再生機構東日本賃貸住宅本部
実施設計|山設計工房
施工|江州建設
写真|Kentahasegawa