SHARE TANK / 柴田祐希による、プロダクト企業・大蔵山スタジオの展示会の為の会場構成「Okurayama Studio IFFT 2016」
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TANK / 柴田祐希が設計した、プロダクト企業・大蔵山スタジオの展示会の為の会場構成「Okurayama Studio IFFT 2016」です。
伊達冠石の採掘元である大蔵山スタジオによる展示会の会場構成。
伊達冠石は、世界的にも稀にみる表情を持ち、自然の風化により丸みを持ち、表面は錆色、黄土色でありながら内部は一様に黒色を呈している。スタジオがある採掘場からは優に5メートルを超す巨石も産出される。今回展示会の一コマ(3m×3m)の会場構成にあたり、迫力のある原石から生まれる繊細なプロダクトとともに、背景である採掘場の自然、大蔵山スタジオ内にある山堂サロンなどの文化施設などスタジオの活動が感じられる空間が求められた。
今回の展示も石と同様、使用する素材そのものを生かした構成ができないかと考えた。
展示台の土台には、重量のある石を支える構造物として、木軸の櫓のような格子を組むつくりを考えた。また、ビスや接着剤を使わずに組めるよう、25mm角の角材に8φの丸穴を等ピッチで開け、三方向から丸棒を差し込むことにより、組み上げるつくりとした。
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以下、建築家によるテキストです。
伊達冠石の採掘元である大蔵山スタジオによる展示会の会場構成。
伊達冠石は、世界的にも稀にみる表情を持ち、自然の風化により丸みを持ち、表面は錆色、黄土色でありながら内部は一様に黒色を呈している。スタジオがある採掘場からは優に5メートルを超す巨石も産出される。今回展示会の一コマ(3m×3m)の会場構成にあたり、迫力のある原石から生まれる繊細なプロダクトとともに、背景である採掘場の自然、大蔵山スタジオ内にある山堂サロンなどの文化施設などスタジオの活動が感じられる空間が求められた。
石のプロダクトは、一つ一つ表情の異なる原石を「切る」「削る」「磨く」といった手法で素材そのものを生かし、職人の手によって生み出されている。
今回の展示も石と同様、使用する素材そのものを生かした構成ができないかと考えた。
展示台の土台には、重量のある石を支える構造物として、木軸の櫓のような格子を組むつくりを考えた。また、ビスや接着剤を使わずに組めるよう、25mm角の角材に8φの丸穴を等ピッチで開け、三方向から丸棒を差し込むことにより、組み上げるつくりとした。
格子の上に置く展示板は、『磨く』という行為により黒く光沢のでる伊達冠石の特徴から、実験的に身近なラワン合板を『焼く』という行為によって素材そのものから黒い光沢を出せないかと試みた。
会場は、様々なボリュームのプロダクトや、実際の原石の形状に合わせて展示台のボリュームを調整し、回遊しながら一点一点眺められるよう配置している。
繊細な石のプロダクトと、同じく繊細な部材のみで構成された展示空間から少しでも大蔵山スタジオの活動そのものを感じてもらえれば幸いである。
■作品概要
設計:TANK/柴田祐希
施工:TANK + 商美社
写真:長谷川健太
会場:東京ビックサイト内
竣工年:2016年11月