SHARE 木村浩一 / フォルム・木村浩一建築研究所による、滋賀のアトリエ併用住宅「呼応する空間」
photo©浅田美浩
木村浩一 / フォルム・木村浩一建築研究所が設計した、滋賀のアトリエ併用住宅「呼応する空間」です。
敷地は、田園地帯を通る幹線道路沿いにある。周辺には、民家が立ち並び、神社の参道 を囲む鎮守の森が広がっている。
鈍い光を放つ亜鉛鉄板とモルタルで仕上げられた量感のある建物は、L字の敷地形状に 沿うように配置されており、向かい合う神社の社と対峙するかのように佇んでいる。
この建物は、写真家のアトリエとギャラリーの併用住居として利用される。 クライアントの要望は、作品制作するアトリエと暮らしが一体化した空間である。そこで、機能ごとにスペースを分節するのではなく、住み手がどのように暮らしたいのかを明確にすることで最適なプランを導き出した。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は、田園地帯を通る幹線道路沿いにある。周辺には、民家が立ち並び、神社の参道 を囲む鎮守の森が広がっている。
鈍い光を放つ亜鉛鉄板とモルタルで仕上げられた量感のある建物は、L字の敷地形状に 沿うように配置されており、向かい合う神社の社と対峙するかのように佇んでいる。
この建物は、写真家のアトリエとギャラリーの併用住居として利用される。 クライアントの要望は、作品制作するアトリエと暮らしが一体化した空間である。そこで、機能ごとにスペースを分節するのではなく、住み手がどのように暮らしたいのかを明確にすることで最適なプランを導き出した。
エントランスアプローチから続く薄暗がりの通路は、繋がるギャラリーの天井から射し 込む光によって、訪れる人を内部奥へと誘導する。 ギャラリーは、風景そのものを展示したかのように開口部によって風景が切り取られ、 コントラストを付けたスケールと自然光が共鳴し合う空間になっている。日々の暮らしの中に静かな高揚感を感じさせるこの空間は、フォトジェニックな撮影場所としても機能する。
ギャラリーを巡る路地のような細長い通路空間は、アートや写真を壁に飾ることの出来 るスペースとしても利用され、単なる移動空間ではない機能を備え持っている。視線の切り返し、天井高さの変化、自然光が創り出す陰影によって通路空間は美しく演出される。建物中央に位置し、フロアレベル差のあるホールは、各スペースを結ぶ八ブ空間になっている。暮らすための必要な水回り、カウンター、階段が配されており、かつ中庭からのアプローチと繋がる構成は、機能面からの快適性に加えて美しい場面を演出する。
生活空間としても利用するアトリエは、フォトスタジオとして対応するためのプロポーションとスケールを持ったダイナミックな空間となっている。ハイサイドライトから降り注ぐ光が、室内を柔らかく包み込み、自然光を活かした撮影を可能にする。 随所に置かれた撮影機材やビンテージ家具、楽器、アート作品などが溶け込む空間は、 写真家の感性や美意識と呼応し、新たな創作や活動を生み出す拠点となっている。
■建築概要
所在地:滋賀県犬上郡
主要用途:アトリエ併用住宅
設計:木村浩一/フォルム・木村浩一建築研究所
施工年:2017年6月
構造:木造軸組
規模:地上2階
敷地面積:420.94m2
建築面積:138.99m2
延床面積:169.41m2
1階:135.80m2 2階:33.61m2
写真:山内紀人 浅田美浩